ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「小泉さん、本気で脱原発考えてるなら、細川・宇都宮両氏と共に即時脱原発一斉行動呼びかけて」志葉氏

2014年02月11日 | 日本とわたし
いろんな記事を書きそびれたままですが、後ろを振り返っていても仕方がありません、前をしっかり見据えて一歩、また一歩と進みたいと思います。

これまでの、これが選挙と呼べるのか?と、首を傾げているだけでは済まない投票率について、考えていることがあります。
それは、他国でも実施されている『義務投票制』。
そんなものを義務づけてどうする?という意見をお持ちの方もおられるでしょうけれども、
ここまで低い率が、当たり前のように、別にええやん、みたいに続いているような国は、本当に考え直す必要があると思えてなりません。
そしてまた、選挙の期間が短いこと、候補者同士の公開討論がしっかりと行われないこと、それを報道機関が無視し、こともあろうに偏向極まる報道を、堂々とし続けていること。
もう本当に、これが日本という国の実際の姿だったのかと、唖然とせざるを得ない日が続いています。

そのようなことを考えながら、あれこれと思いを巡らせていると、この記事に出会いました。
時々、ここで紹介させてもらっている、志葉玲さんのものです。

以下、転載はじめ

舛添都政は短命。
では、脱原発派都民の課題は?
マスコミ世論操作への対抗策は?

2014年2月10日
志葉玲 [フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)]

予想通りであったが、今回の都知事選のマスコミの報道ぶりが、最初から最後までヒドすぎた。
「舛添氏圧勝」「安倍政権に信任」……、
そんなに安倍政権や原発業界に媚を売りたいのか、それとも脳ミソ空っぽで何も考えていないのか。

冷静に今回の得票数を観てみよう。
宇都宮健児氏、細川護煕氏の、いわゆる「脱原発候補」の得票はそれぞれ、98.2万票、95.6万票。
合計すれば約200万票だ。
それでも舛添氏の得票数には及ばないが、肉薄する数である。
一方、都知事選で唯一、「原発推進」を訴えていた田母神俊雄氏は、約61万票であった。
舛添氏が「私も脱原発」と語り、脱原発の争点外しにやっきになっていたことから考えれば、脱原発200万票はバカに出来ない数字である。
安倍首相は、あまり調子に乗り過ぎない方がいい。
原発再稼働が承認されたわけではないのだから。


さて、新都知事となった舛添要一氏だが、おそらく4年間の任期を務めあげることはできないだろう。
拙稿でも取り上げた通り、舛添氏は、政党助成金の不正使用疑惑など、「政治とカネ」でのツッコミどころが多すぎるからだ(該当記事)。
女性関係のスキャンダルも、色々と追及されることであろう(関連記事)。
だから、今回、宇都宮氏や細川氏を応援した都内の人々は、「舛添後」を考えて動き始めた方がいいだろう。

その上で、いくつか課題がある。


■低投票率への批判と制度改革

首都圏を襲った大雪のせいもあってか、今回の投票率は46%と、半数にも満たなかった。
この様な低投票率では、選挙の正当性だけでなく、民主主義そのものが成り立たない。
だから、提案したい。
日本も、義務投票制を導入すべきではないだろうか。
実際、オーストラリアなどでは、投票に行かないと罰金が科せられるため、投票率は常に90%台である。

無論、身体にハンディキャップのある方々のことは考慮しないといけないが、
日本が代議制民主主義制度を採用し、主権が国民にあると憲法に明記されている以上、
特に理由もなく投票に行かない、ということは、この国の根底部分を揺るがす。
「投票したい候補がいない」という人々もよくいるが、彼らがどれ程、各候補の政策を読み、理解しているのか。
投票が義務化されたら、少しは政治に関心を持つようになるかもしれない。

ただ、不投票の摘発は、法改正が必要だろうし、裁判等のコストもかかる。
ならば、投票にいくことへのインセンティブを持たせる、というもの良いかもしれない。
私のフェイスブックに、
「投票した人に、1週間有効の、5千円分の地域クーポンを配るのはどうでしょう。低コストで、投票率と地域経済の向上に貢献できると思います」という提案があった。
非常に良い提案だと思う。
こうした制度改革についての議論が、もっと行われるべきだ。


■勝ち馬予測的な報道から、政策・実績の分析重視の報道へ

日本の政治報道は、その多くが、政局報道であって、政策報道ではない
有力政治家の派閥争いやら、誰が誰とくっついた離れたやらと、芸能ゴシップとさして変わらない内容だ。
特に、選挙戦中は、「公平さ」という大義名分の元、
各政党・各候補の政策・実績の分析よりも、世論調査で「どの党・どの候補が人気」という、競馬の勝ち馬予測的なものが大半となる
今回の都知事選でも、早い段階から、「舛添氏が最有力候補」という報道が繰り返された。
有権者は、自分の投票がムダになるのを嫌う傾向があり、こうした世論調査は、「世論操作」という側面もある。
だから、諸外国では、選挙前の一定期間、世論調査を禁じていたり、世論調査を行うにしても、厳格なルールを定めているということも多い関連論文)。
そして、実は日本においても、公職選挙法138条の3において、「選挙戦での人気投票を禁じる」という規定があるのである。

『第百三十八条の三  
何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては、政党、その他の政治団体に係る公職に就くべき者、又はその数、
参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、政党、その他の政治団体に係る公職に就くべき者、又はその数、若しくは公職に就くべき順位)を予想する、人気投票の経過、又は結果を、公表してはならない』

出典:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO100.html

マスコミ側は、「世論の分析であって、人気投票ではない」としているが、
上記したような日本の政治報道のお粗末さや、結局は、知名度に勝る候補が当選しやすいという、昨今の日本の有権者のレベルから考えて
公職選挙法138条の3は、より厳格に守られるべきだろう。

今回の都知事選でも、日本の政治・選挙報道の弊害は、際立った。
猪瀬前都知事の辞任引き金が、「政治とカネ」であったにもかかわらず、
舛添氏はじめ、各候補の「クリーンさ」は、十分に論議されることはなかった。
安倍首相の、「原発は国政の問題、都知事選とは関係ない」という主張をタレ流しにしている報道も目立ったが、
東京都は東電の大株主であり、最大の電力消費地である。
東京都のエネルギー政策は、自ずと原発の是非にも関わってくる。
こうした政策論争が、もっと活発に行われるべきだったのだ。
開票後の、宇都宮事務所での会見で、NHKインタビューでの「政策が届かなかったということか?」との質問に対する宇都宮氏の、
街頭宣伝では届く範囲が限られている。テレビ討論が16回もなくなったのは残念。
NHKはなぜ、政策討論会を開かなかったのか?私はききたいですね
」という切り返しには、全く頷けるものがある。
正直、私自身、日本のマスコミが劇的に変わるとも思えないのだが、
NHK会長・経営委員人事を観ればわかるように、安倍政権は、露骨なメディアへの介入を、何の躊躇もなく行っている
視聴者や読者が声を上げなければ、日本のマスコミはますます劣化していくことだろう。


■既存メディアしか目にしない人々に、どう伝えるか

報道によれば、舛添氏は、高齢者から圧倒的な支持を得たという。
「福祉の舛添」というイメージ戦略が、成功したのだろうが、大変皮肉なことだ。
先日、拙稿でも触れたように、
舛添氏はテレビで、高齢者を「ジジイ、ババア」「ヤツら」と罵り、「高齢者から金を取ればいい」と発言していたメンタリティの持ち主である。
そして、舛添氏は、厚生労働大臣時代に、
「姥捨て山制度」「高齢者いじめ制度」として悪名高い、後期高齢者医療制度を、「長寿医療制度」として正当化。
後に、同制度の見直しを示唆したが、「制度の根幹は変えない」との発言の通り、高齢者の保健負担額はむしろ増大した。
「医療費適正化計画」として、医療費削減を推進した、という「実績」もある。
「適正化」の掛け声の元、多くの高齢者達が、入院してもすぐ病院から放り出されるという憂き目にあったのだ


だが、今回の投票傾向でも明らかになったように、多くの高齢者の方々は、「福祉の舛添」というイメージに流された。
その原因として、高齢者の多くは、ネットも使わず、情報源はテレビや新聞といったマスコミだけ、ということがあげられるだろう
デジタル・デバイドであり、メディア・デバイドでもある。
つまり「情報格差」だ
少子高齢化が進む中、高齢者の票の動向は、バカにできないものがある。
既存のマスコミ情報に頼る高齢者達に、いかにオルタナティブな情報を届けるかは、日本の市民社会の課題だろう。
ツイッターで私に寄せられた意見では、
ずっと自民党支持だった高齢の母に、Youtubeでいろいろな動画を紹介したら、別人のように意見が変わりました」というものもあった。
ネットメディアにはネットメディアの弊害もあるものの、ともかく、もっと多種多様な視点や分析が、より多くの人々にとどくことは重要である。


■あくまで日頃が大切―もし、200万人が官邸前に押しかけたら

所詮、短い選挙期間でできることは限られている。
だからこそ、普段からの行動が大事なのだ。
今回、東京都だけで、約200万人の人々が、脱原発候補に投票した。
この200万人が、一斉に行動を起こす―例えば、首相官邸前に押しかけるなどすれば、
それ自体の効果のみならず、広範な連鎖反応を呼び起こし、脱原発への道は一気に開けるであろう

私は、小泉純一郎氏は全く信用していないし、彼のイラク戦争支持・支援は、絶対に許すことはできないのだが(関連記事)、
もし、小泉氏が、本気で脱原発を考えているのならば、細川氏や宇都宮氏らと共に、即時脱原発一斉行動を呼びかければいい
あるいは、脱原発派の都民が、そう求めればいい。

今回の選挙結果を、ただ敗北と受け止めるのか。
それとも、次の行動のステップとするのか。
それは、脱原発派の人々の、一人ひとりに問われること
なのである。


志葉玲
フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
パレスチナやイラクなどの紛争地取材、脱原発・自然エネルギー取材の他、米軍基地問題や反貧困、TPP問題なども取材、幅広く活動する反骨系ジャーナリスト。
「ジャーナリスト志葉玲のたたかう!メルマガ」 http://bit.ly/cN64Jj や、週刊SPA!等の雑誌で記事執筆、BS11等のテレビ局に映像を提供。
著書に『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、
共編著に『原発依存国家』『母親たちの脱被曝革命』(共に扶桑社新書)など。
イラク戦争の検証を求めるネットワーク(http://iraqwar-inquiry.net )の事務局長。
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9 コメント

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まさに!ですね。 (ひろみ)
2014-02-12 02:36:07
私も、何だかな・・・という感じで悶々としてました。。。

ほんと、一人一人の生き様が問われているような気がします。

何を最重要課題と考えるか・・・。

50%に満たない投票率のうちの半分くらいの得票ということは、都民の25%の支持率。
あと残りの75%の都民の声はどこへ消えてしまうんでしょうね。。。
そう考えると、なんか、納得いかないですよね。
都民じゃないけど、熱くなっちゃいます。

福島原発事故の後の、2回の国政選挙、そして今回の都知事選挙。。。
3度目の正直になって民意が反映されるのではないかと期待していましたが・・・。

もっといくところまでいかないと、だめなんでしょうかね。。。

まぁ、それも、ありでしょう。。。
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書き忘れ・・・。 (ひろみ)
2014-02-12 02:54:09
原発ゼロ、元総理が団結して行動して欲しいものです。
命の前では、右も左も、経済も政治も関係ない・・・。
そのくらい切羽詰まっていると思うんですけどねぇ~。
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Unknown (かまどがま)
2014-02-12 11:17:30
投票を強制するのは如何なものでしょう、投票へ行かない理由に無関心のほかに、政治への不信感があると考えます。
白票、ボイコット、無関心も含めて意志表明としてカウントする。それが民意なのです。
投票数の中での勝敗ではなくて、選挙権のある全ての有権者の何割が支持したかをカウントする。
投票率が極端に少なければその選挙は無効とする。
投票率の少ない選挙でも勝てば官軍という札を与えてしまう事が問題だと考えます。
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ひろみさんへ (まうみ)
2014-02-12 11:32:27
ひろみさんの「元総理が団結して」という言葉に触発されて、ツィートをダダダッと流しました。
あの二人だけが元総理ではない、そうでしたね、いっぱいいましたね。
そして誰もが、ポチのように、黒幕たちに言われるままに、御用聞きのように、自分の信念も理念も無いままに、総理という椅子にどっかり居座っていたのでしたね。

ツケを払わせたい。そう思います。
みんなみんなを、市民に押し付けないでもらいたい。
せめて、危機であること、切羽詰まっているということを、自覚ぐらいしてほしいです!
返信する
かまどがまさんへ (まうみ)
2014-02-12 11:38:25
政治への不信感。
それはわたしの中にも充満しています。
白票、ボイコット、無関心の意思表示を、選挙というもので表すのではなく、
選挙以外の場で表せるような社会を作ることが、とても大事なのではないかと思っています。

かまどがまさんがおっしゃる、投票率が極端に少なければ(極端をどの数字にするかは慎重に考えなければなりませんが)選挙は無効、これはとても良い考え方であると思います。
いずれにせよ、選挙というものに対して、みながもっと論議するべき時に来ていると思います。

こんなでたらめな、詐欺紛いの選挙が、これからも続いていくことは危険だと思うのです。
返信する
Unknown (Unknown)
2014-02-12 11:50:49
投票の義務化は疑問です。

義務化すれば政治に関心を持つ…と言うのは順番が逆でしょう。

公開討論ができなかったのは細川陣営が逃げたとの見方が正しく思えます、原発を止めた後どうするか、案が無いではあまりに無責任、討論ができるはずありません。

また、常々思う事ですか、積み上がった核廃棄物をどうするのか誰も論じません。

原発を止めたとしても核廃棄物をどうにかしないと無意味ではないでしょうか?


返信する
Unknown (yomogi)
2014-02-12 16:05:20
都知事選の結果 がっかりしましたが、ある意味
予想通りとも言えるかもしれませんね。
選挙の仕組み自体がおかしいと言うか
決まりきった茶番のようなものでは 有権者は
行く気もしなくなりますよね。

既存メディアしか目にしない人々に、どう伝えるか
これもありますよね。ネットがすべて正しいとは
言えないでしょうが、テレビや新聞にない情報が
ありますから、判断の材料になります。
名前や世論操作に惑わされないようにするのが
肝要ですよね。

選挙結果を敗北ととると、先はないので、ステップ
ですね。選挙はまだたくさんあるようですから
経過を見ていきたいですね。
あくまで日頃が大切 そう思います。
返信する
Unknownさんへ (まうみ)
2014-02-13 10:46:36
まず、投票の義務化について、いろいろな意見が交わされることで、また、さらに良いアイディアが出てくると思います。
賛成、反対、その中間、または全く別の発想など、とにかくもっともっと話していかなければならない問題だと思っています。

原発の、積み上がった核廃棄物をどうするのか誰も論じない。
本当にその通りです。
論じかけているものは何度も目にしましたが、やはりもう、どうすればいいのか本当にわからない、完全に暗礁に乗り上げているのに、
それをとにかく必死で誤摩化している連中と、現実を見たくない、知りたくない連中の思惑が妙に合致してしまっていて、
結局は、日本は、うだうだと、地球をものすごく汚染し続けている上に、さらに汚染を上乗せしようとしています。

この浅はかさ、破廉恥さは、本当に情けないし恥ずかしいし申し訳がない。

もうこうなったら、外圧しかないのかもと、これまでも、少なくない人たちが、必死になって様々な運動をし続けているのですが……。
返信する
yomogiさんへ (まうみ)
2014-02-13 10:52:12
毎回、事ある毎にがっかりさせられてきましたが、この気持ちは慣れるということはありませんね。
もちろん、慣れてしまってはいけないのですけれども。
それにしても、最初っからの出来レース丸出しで、もうそろそろというか、いい加減に、日本の市民はモノをしっかり言うべきだと思います。
でも、多分、え?なにがあかんの?と、逆に聞いてくる人も少なくないのだろうと……。

報道機関にだまされている。
これはもちろん実際にそうなのかもしれませんけれども、そしてこの風潮は、長い長い年月をかけて作り上げられてしまったものかもしれませんけれども、それにしても幼稚で情けないです。
それが自覚できないことも……。
本当に、日頃からのモノの取り方、考え方を、市井の周りから変えていかなければなりませんね。
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