ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

いささかも自責の念を抱かず、笑い話のように『従軍慰安婦』を語っていた産経新聞総帥・鹿内信隆

2014年09月08日 | 日本とわたし
驚きました。
そして呆れ果てました。
どうしてこんなことが、今もまだ、きちんと知らされないままにいるのか、
どの国の軍にも、醜悪な実態が存在します。
その中のひとつとして考えても、受け入れ難い酷さであると、わたしには思えます。

↓以下、転載はじめ

LITERA・本と雑誌の知を再発見

「女の耐久度」チェックも!
産経新聞の総帥が語っていた、軍の慰安所作り
2014.09.07


『いま明かす戦後秘史 下』(サンケイ出版)


朝日新聞の慰安婦報道の失態で、勢いづいている右派・保守陣営だが、中でも、一番大はしゃぎしているのが産経新聞だろう。
産経は、慰安婦が政治問題化した1990年初頭から、慰安婦の強制連行はなかったと否定し、
河野談話や村山談話を批判慰安婦を記述した教科書を糾弾するキャンペーンを展開してきた。

 
さらに、同紙の社説にあたる「主張」や月刊オピニオン誌「正論」では、強制連行の否定だけでなく、
慰安婦は、「民間業者が行っていた商行為」で、「自ら志願した娼婦」
日本軍は従軍慰安婦に「性病予防対策などで関与していた」だけ
「公衆衛生面で関与していた」にすぎない、という主張を繰り広げてきた。
 
そして今回、朝日が「吉田証言」の間違いを認めた事で、こうした自分たちの主張がすべて正しかったと、勝ちどきをあげているのだ。
 
97年に結論が出ていた「吉田証言」の虚偽を、朝日が今になって認めたというだけで、どうしてそういう結論になるのかさっぱりわからないが、
とにかく産経は自信満々で、日本軍に慰安婦の責任はまったくないかのような、論調を繰り広げている
 
だが、彼らは、自分たちの会社で中興の祖とあおがれている人物が
その「軍は公衆衛生面で関与していただけ」という主張をくつがえすような、衝撃的発言をしていたことを知っているのだろうか。
 
その人物とは、元産経新聞社長で、フジサンケイグループ会議議長だった故・鹿内信隆

鹿内は、日経連専務理事からニッポン放送、フジテレビを開局して社長を歴任した後、産経新聞の経営権を握り、社長に就任。
現在、フジサンケイグループの原形を築き上げた人物だ。
その権力と政治力は絶大なものがあり、1990年に亡くなるまで、事実上のオーナーとして、同グループを独裁支配。
経営方針だけでなく、現在の同グループのタカ派的な姿勢も、すべて鹿内がつくりあげたものだ。

「鹿内さんは、産経新聞社長に就任時するや、同紙を反共タカ派の拠点にする方針を掲げ
自分に逆らうリベラルなスタンスの社員のクビを、片っ端から切っていった
800人に及ぶそのリストラの凄まじさは、当時、マスコミ界でも、“産経残酷物語”といわれたほどです。
こういうことがあって、産経は、今のゴリゴリの右派一色に染まった訳です。
この鹿内さんのDNAはもちろん、現在の経営陣、編集幹部にも引き継がれています」(産経新聞OB)

 
その鹿内は戦中、陸軍経理部に招集されていたのだが、産経新聞社長就任後に、桜田武・元日経連会長との対談集『いま明かす戦後秘史』(サンケイ出版/絶版)を出版。
陸軍時代の思い出話を、こんなふうに語っている。

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鹿内: 
(前略)軍隊でなけりゃありえないことだろうけど、戦地に行きますとピー屋が……。
 
桜田:  
そう、慰安所の開設
 
鹿内:  
そうなんです。
そのときに、調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか
それから、ムシロをくぐってから出て来るまでの“持ち時間”が、将校は何分、下士官は何分、兵は何分……といったことまで、決めなければならな(笑)。
料金にも等級をつける
こんなことを規定しているのが、「ピー屋設置要綱」というんで、これも経理学校で教わった。
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鹿内は召集後、1939年4月から9月にかけて、陸軍経理学校で、軍の後方支援のノウハウを学んでいたのだが、
そのときに、慰安所の作り方も叩き込まれたというのだ。
しかも、その内容は今、右派メディアがしきりに喧伝している、「公衆衛生の管理だけ」というようなレベルではない。
鹿内の発言に、「調弁する女」という表現が出てくるが、「調弁」というのは、軍隊用語で、兵馬の糧食などを現地で調達するという意味。
つまりこれは、陸軍が、慰安婦の調達に関与していたということではないのか
 
さらに衝撃的なのが、「女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか(中略)といったことまで決めなければならない」という発言だ。
当時の日本軍が、現地の女性を完全にモノ扱いし、どんな女がいいのかを品定めする作業までをも、士官に命じていたことを証明するものだ。
 
断っておくが、この鹿内発言は、老人の妄想でも記憶違いでもない。
靖国神社の一角に、靖国偕行文庫という図書館があるのだが、そこに、この鹿内発言を裏付ける、一冊の本が所蔵されている
 
300ページ以上はあろうかという、分厚いその本のタイトルは、『初級作戦給養百題』。
昭和16年に、陸軍主計団記事発行部が発行した、いわば経理将校のための教科書だ。
 
表紙はハードカバーで、「日本将校ノ外閲覧ヲ禁ス」という文字
その9ページ目、第一章総説に、師団規模の部隊が作戦する際に、経理将校が担当する15項目の「作戦給養業務」が解説されているのだが、
その最後の項目「其他」の解説に、以下の任務が列挙されていたのだ。

1 酒保ノ開設
2 慰安所ノ設置、慰問団ノ招致、演藝會ノ開催
3 恤兵品ノ補給及分配
4 商人ノ監視

 
ようするに、陸軍の経理将校向け教科書に任務として、「慰安所ノ設置」が掲載されていたのである。
軍が関与したのは衛生面の管理だけ、という保守派の主張が、明らかな嘘だということがよくわかるだろう。
 
もちろん、こうした事実を、産経新聞をはじめとする右派、保守派が、知らなかったわけはない。
少し前に、中曽根康弘元首相が「土人女を集め慰安所開設」していたという戦時記録を紹介したが、
今回は、自分たちが中興の祖とあおいでいる人物が、自社の単行本で、軍の組織的な関与を認めていたのだ。
 
しかも、中曽根元首相の証言でも明らかになったように、軍は、現地で、娼婦でない女性たちも徴収している
これでほんとうに、従軍慰安婦のことを、「自ら志願した高級娼婦」などと信じているとしたら、どこかおかしいとしか思えない。

ようするに、保守系メディアは、こうした事実を知っていながら、それをネグり、
あらかじめ、強制連行の定義を、「軍が銃剣を慰安婦に直接突きつけて連行した」という、非常に狭いものに限定し、
それを否定することで、巧妙に、情報を誘導してきたのである。
朝日が歴史を捏造したというなら、産経をはじめとする保守メディアも、まったく同罪なのだ。

 
しかも、中曽根首相、今回の鹿内信隆フジサンケイグループ元議長の発言で、もうひとつはっきりしたことがある。
それは、彼らが、従軍慰安婦に対して、いささかも自責の念を抱いていない事だ。
それどころか、まるで笑い話のように
「慰安所をつくってやった」
「女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとかまで決めなきゃならない」と語っている。

 
狂気のるつぼだった戦中ならともかく、戦後20年以上たっても、こんな発言を嬉々としてできるというのは、
そのベースに、「女性はセックスのための使い捨ての道具」という、差別意識が横たわっているという事に他ならない。
そして、このメンタリティは、従軍慰安婦像に紙袋をかぶせるような性差別ギャグを、
嬉々としてほめたたえる今の右派メディアや嫌韓本、百田尚樹などの右派言論人にも、しっかりと引き継がれている

 
彼らの姿が、今の日本人を代表するものだと思われているとしたら、それこそが「日本の恥」ではないか。
(エンジョウトオル)

↑以上、転載おわり

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2 コメント

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米国の人種差別問題をはぐらかしているように思えます (右左あんつぁん)
2014-09-09 13:52:42
わたしは、福沢諭吉が、米国帰りの船で、皆に写真を見せてアメリカ人の娘とデートしたという、嘘をついたのと殆ど替わらない、たわいのない内容だと思いますが・・。

少なくとも、こういう記事を転載する場合は、「その時代の米国は未だおおっぴらに人種差別をしていた」と、枕詞を付け加えておくべきでは無いでしょうか。
返信する
右左あんつぁんさんへ (まうみ)
2014-09-09 23:23:23
ご意見をありがとうございました。

たわいのない内容だとは、わたしには到底思えません。

それから、記事を書く際の言葉や方向の選択は、自分なりに考えて書いていますが、
この記事の主旨と、「その時代の米国における人種差別の実態」は、同時に問題視する類いのものではないとわたしは思います。
返信する

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