木曜の午後からの生徒さんに、少しずつ早めの時間にずらしてもらい、運良く同じくらいの時間に終わった旦那とふたり、NYC行きの電車に飛び乗る。
こういう時、駅まで徒歩5分、というロケーションは超~助かる。
講演終了の時間が定かではないため、マンハッタンの駅の構内で軽く夕飯を食べることに。
旦那は野菜スープとビール。わたしはレント豆のスープとほうれん草のキッシュ。
旦那のビールをふた口飲んだだけなのに、ちょいとポワンとなる。
地下鉄に乗って、会場の教会に向かう。
教会の周りは長蛇の列。日本人ばっかり。そりゃそうや。今日の講演は日本語のみやもんね。
やっと入り口付近に来た。
チケットというても、わたしは偶然に、4日に行われる予定の記者会見に出席できるかどうかと、主催者の方にメールをしたところ、
記者会見は無理だが、3日の講演会があるので、小出氏の渡航代の寄付をしてくださったらチケットを差し上げます、とおっしゃってくれた。
そういう流れで手に入った席は、前から3列目のど真ん中。ありがたや……。
大判のスクリーン上には、こういう題目が書かれていた。
『日本に帰る前に知っておきたい「放射能」のこと』
なるほど、これは、そういう指向の講演会やったのか。
と思っていると、主催者の川井さんから、
「こんなに大勢の方に来ていただけるとは思っていませんで、会場時間の設定を甘くみておりました。
講演の開始を20分ほど遅らせていただきます」、との挨拶があった。
川井さん、ピンクの宗教者ガウンのようなものを羽織っていらっしゃる。旦那もわたしも、しばしガン見……。
講演に先立ち、イスラム教と仏教の僧侶による祈りと慰霊が行われた。
僧侶の中垣さんは、一昨年の広島の被ばくピアノコンサートin NYCでご一緒した。懐かしい再会!
その間、脇で見守る小出先生。長旅の疲れが心配。
けれども、この凛とした清々しさはなんやろう。
何度も何度も、もう数えきれないくらいに、彼の姿をインターネットの画像で見てきた。
声も、話も、そして最近では、怪人に変した演技も。
同じ内容の話が続き、彼が口癖のように言う『絶望』や『怒り』、そして責任の取り方を繰り返し聞くことに疲れたこともあった。
今回も多分、彼が話す内容は、ほとんど知ってることやろう。そう思ってた。
そして講演は始まった。
印象に残ったものだけを少し。
原子力発電所の数グラフ。アメリカと日本。
アメリカは、とおの昔に原子力発電というものに見切りをつけてて、勢いで作った原子炉のみが残ってた。
そのアメリカから原子炉を押し付けられたか誑かされたか、それとも日本のある人物が欲に目が眩んだか、
アメリカにオンブに抱っこで原発を建ててはまた建てして、深刻な事故が起ころうが地震が起ころうが、なり振り構わず増え続けてる日本。
そして福島の事故が起こり、世界のほとんどが原子力について考えを改めようとしている中、
東芝は、事故を起こした沸騰水型原子炉を作ってるGEにさっさと見切りをつけ、
事もあろうに、三菱が提携してたWHを買収し、三菱を追い出して、加圧水型原子炉でまた一儲けしようとしてる。
追い出された三菱は、新たにフランスのアレバと提携し、欧州加圧水型原子炉に手をつけることになった。
やめられへんのや、この東芝と日立と三菱は……。
教会のドームの中に、小出先生の声が静かに響く。いつもの、文脈最後の、のです、を離して言う癖は同じ。
休憩が15分あった。
その間に、教会に来ている400人あまりの者が、小出先生への質問を用紙に書く。
あれ?
ちょっとこの人……坂本龍一さんちゃうかしらん?
彼は最前列の、わたしの席の真ん前に座っていた。
iPhoneで、講演の様子を録画しながら、時折うなづいたり、じっと小出先生を見つめたりして、とても真剣に話を聞いておられた。
小出先生のすぐ後ろの天井。
講演が終わり、質疑応答が終わり、先生にサインや握手を求める長蛇の列ができた。
その長さを見ただけで、こりゃあかんとあきらめがついたので、会場に来ているはずの想田監督と、奥さんでダンサーの規与子さんを探した。
原発のこと、世界のこと、人類のこと、大阪のこと、国民投票のこと、人権運動のこと、話す事は尽きない、尽きるはずがない。
けれども、家に帰らねばならない。旦那も少し離れた所で我慢して待ってくれている。
後ろ髪を一万本ほど引かれながら、皆と別れた。
別れ際に、話の輪に加わってきた男性が、なんと、船橋監督ご本人だと知りびっくり仰天!
彼は『Nuclear Nation』を引っさげて、ベルリン国際映画祭で高い評価を受けた。
絶対に観たいと思っていた映画の監督さんだと知り、急に改まったしゃべり方をしている自分……とほほ。
帰りの地下鉄、平日の夜というのに本数少な過ぎ!
そんなイライラを溶かしてくれる、若者の胡弓の演奏。素晴らしかったので寄付!
やっと来たかと思ったら、新聞回収電車?!売り場のおっちゃん、全速力!
電車駅構内はかなり暑くなってきた。音がやたらとうるさい巨大扇風機。
こういうのをあちらこちらに置いてあるだけの、でもそれが今のような心持ちのわたしには嬉しい、蒸し暑いアメリカの電車駅構内。
講演を聞いて、というより、あの場に他の400人もの方々と共に、小出先生の説明する現実を聞き、気持ちに関わらず受け止めたこと、
受け止める側のわたし達は、みなそれぞれ違う環境で暮らし、違う感性と感覚と常識と主義と嗜好を持っていて、
けれどもあそこで、話を聞きながら笑ったこと、涙ぐんだこと、呆然としたこと、憤ったこと、
いろんな感情を、他の人の息づかいや体温を感じながら持ったこと、
その感情が、これまで一途に、自分が正しいと信じたことを、どんな中傷や迫害や苦境にも曲げずに貫いて生きてきた小出先生のそれと混じり合ったこと、
その体験はやはり、いくらネットでビデオを観ようが、ラジオからの声を聴こうが、絶対に得られないものだった。
彼が何を言ったかしたかではない、今まで彼がどのように生きてきたか。
それがやっと、肌で感じることができたような気がした。
旦那が「小出さんってハンサムやな」と言った。佇まいがすっきりして美しかったと。
わたしは、日本という国に、彼のように、ハンサムな生き様を貫いてきた人がいてくれて、本当に良かったと思う。
彼は常々、原発事故が起こる前に、日本のシステムを変えられなかったことを嘆いておられる。
けれどもわたしは、あの事故以降、生まれて初めて真剣に日本の社会の在り方を考えるようになり、
それで初めて知ったこの小出裕章という人が、こうやって日本のみならず、アメリカまで来て講演をしてくださる健康な心身を維持しておられることの意味を、今夜また、しみじみと考えている。
明日、というか今日、日本の原発が全基停止する。
原発からの電気を使わなくて済む日が始まる。
子ども達の未来のために、この日が永遠に続くよう、大人のわたし達は、気を抜かず、あらゆる手を尽くし、日本に巣食っている愚かなシステムと闘わなければならない。
こういう時、駅まで徒歩5分、というロケーションは超~助かる。
講演終了の時間が定かではないため、マンハッタンの駅の構内で軽く夕飯を食べることに。
旦那は野菜スープとビール。わたしはレント豆のスープとほうれん草のキッシュ。
旦那のビールをふた口飲んだだけなのに、ちょいとポワンとなる。
地下鉄に乗って、会場の教会に向かう。
教会の周りは長蛇の列。日本人ばっかり。そりゃそうや。今日の講演は日本語のみやもんね。
やっと入り口付近に来た。
チケットというても、わたしは偶然に、4日に行われる予定の記者会見に出席できるかどうかと、主催者の方にメールをしたところ、
記者会見は無理だが、3日の講演会があるので、小出氏の渡航代の寄付をしてくださったらチケットを差し上げます、とおっしゃってくれた。
そういう流れで手に入った席は、前から3列目のど真ん中。ありがたや……。
大判のスクリーン上には、こういう題目が書かれていた。
『日本に帰る前に知っておきたい「放射能」のこと』
なるほど、これは、そういう指向の講演会やったのか。
と思っていると、主催者の川井さんから、
「こんなに大勢の方に来ていただけるとは思っていませんで、会場時間の設定を甘くみておりました。
講演の開始を20分ほど遅らせていただきます」、との挨拶があった。
川井さん、ピンクの宗教者ガウンのようなものを羽織っていらっしゃる。旦那もわたしも、しばしガン見……。
講演に先立ち、イスラム教と仏教の僧侶による祈りと慰霊が行われた。
僧侶の中垣さんは、一昨年の広島の被ばくピアノコンサートin NYCでご一緒した。懐かしい再会!
その間、脇で見守る小出先生。長旅の疲れが心配。
けれども、この凛とした清々しさはなんやろう。
何度も何度も、もう数えきれないくらいに、彼の姿をインターネットの画像で見てきた。
声も、話も、そして最近では、怪人に変した演技も。
同じ内容の話が続き、彼が口癖のように言う『絶望』や『怒り』、そして責任の取り方を繰り返し聞くことに疲れたこともあった。
今回も多分、彼が話す内容は、ほとんど知ってることやろう。そう思ってた。
そして講演は始まった。
印象に残ったものだけを少し。
原子力発電所の数グラフ。アメリカと日本。
アメリカは、とおの昔に原子力発電というものに見切りをつけてて、勢いで作った原子炉のみが残ってた。
そのアメリカから原子炉を押し付けられたか誑かされたか、それとも日本のある人物が欲に目が眩んだか、
アメリカにオンブに抱っこで原発を建ててはまた建てして、深刻な事故が起ころうが地震が起ころうが、なり振り構わず増え続けてる日本。
そして福島の事故が起こり、世界のほとんどが原子力について考えを改めようとしている中、
東芝は、事故を起こした沸騰水型原子炉を作ってるGEにさっさと見切りをつけ、
事もあろうに、三菱が提携してたWHを買収し、三菱を追い出して、加圧水型原子炉でまた一儲けしようとしてる。
追い出された三菱は、新たにフランスのアレバと提携し、欧州加圧水型原子炉に手をつけることになった。
やめられへんのや、この東芝と日立と三菱は……。
教会のドームの中に、小出先生の声が静かに響く。いつもの、文脈最後の、のです、を離して言う癖は同じ。
休憩が15分あった。
その間に、教会に来ている400人あまりの者が、小出先生への質問を用紙に書く。
あれ?
ちょっとこの人……坂本龍一さんちゃうかしらん?
彼は最前列の、わたしの席の真ん前に座っていた。
iPhoneで、講演の様子を録画しながら、時折うなづいたり、じっと小出先生を見つめたりして、とても真剣に話を聞いておられた。
小出先生のすぐ後ろの天井。
講演が終わり、質疑応答が終わり、先生にサインや握手を求める長蛇の列ができた。
その長さを見ただけで、こりゃあかんとあきらめがついたので、会場に来ているはずの想田監督と、奥さんでダンサーの規与子さんを探した。
原発のこと、世界のこと、人類のこと、大阪のこと、国民投票のこと、人権運動のこと、話す事は尽きない、尽きるはずがない。
けれども、家に帰らねばならない。旦那も少し離れた所で我慢して待ってくれている。
後ろ髪を一万本ほど引かれながら、皆と別れた。
別れ際に、話の輪に加わってきた男性が、なんと、船橋監督ご本人だと知りびっくり仰天!
彼は『Nuclear Nation』を引っさげて、ベルリン国際映画祭で高い評価を受けた。
絶対に観たいと思っていた映画の監督さんだと知り、急に改まったしゃべり方をしている自分……とほほ。
帰りの地下鉄、平日の夜というのに本数少な過ぎ!
そんなイライラを溶かしてくれる、若者の胡弓の演奏。素晴らしかったので寄付!
やっと来たかと思ったら、新聞回収電車?!売り場のおっちゃん、全速力!
電車駅構内はかなり暑くなってきた。音がやたらとうるさい巨大扇風機。
こういうのをあちらこちらに置いてあるだけの、でもそれが今のような心持ちのわたしには嬉しい、蒸し暑いアメリカの電車駅構内。
講演を聞いて、というより、あの場に他の400人もの方々と共に、小出先生の説明する現実を聞き、気持ちに関わらず受け止めたこと、
受け止める側のわたし達は、みなそれぞれ違う環境で暮らし、違う感性と感覚と常識と主義と嗜好を持っていて、
けれどもあそこで、話を聞きながら笑ったこと、涙ぐんだこと、呆然としたこと、憤ったこと、
いろんな感情を、他の人の息づかいや体温を感じながら持ったこと、
その感情が、これまで一途に、自分が正しいと信じたことを、どんな中傷や迫害や苦境にも曲げずに貫いて生きてきた小出先生のそれと混じり合ったこと、
その体験はやはり、いくらネットでビデオを観ようが、ラジオからの声を聴こうが、絶対に得られないものだった。
彼が何を言ったかしたかではない、今まで彼がどのように生きてきたか。
それがやっと、肌で感じることができたような気がした。
旦那が「小出さんってハンサムやな」と言った。佇まいがすっきりして美しかったと。
わたしは、日本という国に、彼のように、ハンサムな生き様を貫いてきた人がいてくれて、本当に良かったと思う。
彼は常々、原発事故が起こる前に、日本のシステムを変えられなかったことを嘆いておられる。
けれどもわたしは、あの事故以降、生まれて初めて真剣に日本の社会の在り方を考えるようになり、
それで初めて知ったこの小出裕章という人が、こうやって日本のみならず、アメリカまで来て講演をしてくださる健康な心身を維持しておられることの意味を、今夜また、しみじみと考えている。
明日、というか今日、日本の原発が全基停止する。
原発からの電気を使わなくて済む日が始まる。
子ども達の未来のために、この日が永遠に続くよう、大人のわたし達は、気を抜かず、あらゆる手を尽くし、日本に巣食っている愚かなシステムと闘わなければならない。
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「いいね」の連打!!!
Kくんのコントローラ連打には負けるけど…^^;
この記事ちゅうかコラムちゅうか うまいことまとめてあるわ
お気に入りに入れとこ。
3月11日以後立ち止まって考えることができるようになっていま。、でもまだまだ頭とからだが同時に動かないので困ります。
小出さんに関して感じる所が共通していてそれを言葉にしていただいて感謝しています。
そのうち、お目にかかりたいと思います。
でもな、まだなんかまとまってないねん。
自分の心の中に渦巻いてる気持ちや言葉が。
昨日、眠れんままに考えたり、今朝ボケボケで考えたりしてんけど、言葉にならへん。
ほんで今、夕飯食べてからやっと書き出したんけど、う~ん……。
でも、そうやって読んでもろて、伝わったことがあるみたいやとわかって、ちょっとホッとした。
ありがと♪
まさん、はじめまして!ようこそおいでくださいました!
っていうか、昨日、お会いしていたんですね?
そんな、声をかけてくださればよかったのに……残念です!
もしかしてわたし、バタバタばたばたしてました?
すみません、かなり興奮してたのかもしれません。
まさんは、すばらしい編み物をされるんですねえ……。
わたしは生まれて初めて挑戦したのが、生成りのアラン模様でして、
それがもう、加減を知らないというか、全然わかってないというか、ギュウギュウと編み込み過ぎて、
出来上がったセーターは、そのまま床に置くと、人間の形をしたまま立てるようなごっついものでした。
宇宙服のように……。
もちろん、着て欲しかったボーイフレンドは着てくれず(重過ぎたそうです)、たんすのこやしになってしまいました。
なんてことを思い出しながら、お返事を書いてます。
ぜひぜひ会いましょう!近いうちに!
初めまして、まうみさま。いつも興味深く読ませて頂いております。
僕は小出さんの事は以前から存じ上げてたのですが、あの日から動画を拝見したり新刊を読ませていただいたりで、自分の無知を教えていただきました。
基本的人権の尊重、戦争放棄、権力分立制、国民主権、人身の自由・・
こないだは憲法記念日でした。
今日は子供の日。日本中の原発が一つ残らず停止します。
小出さんのおっしゃる「騙された責任」と言う言葉が身に沁みます。
長々と失礼致しました。また読ませていただきますね。
ツイッターは、よく解かってないくせに昨日、初めてやってみました。
ありがとうございました!
当方のFacebookで、私の友人、知人にも拡散させて下さい。
ありがとうございます。
また、お邪魔します。
泊原発がまもなく止まります。嬉しいです。
私の本業はパペット・デザイナーなのですけれど、今年は仕事が少なくくって副業の方がほとんどになっています。両方とも楽しいのでその辺は何とも幸せなやつです。
Have a good weekend!
事後ですみませんが弊ブログにて転載させて下さいませ。
わたしも最初、慣れへんかって、それはそれは戸惑いましたが、
すぐに慣れますよ、大丈夫です。
ただ、情報の量がめちゃくちゃ多いので、まともに読んでたらクラクラしてしまいますよね。
あまりきっちり読もうとせん方がいいと思います。
なんちて、ちょっとだけ先輩面してみました♪
わたしも、あの震災以来なので、ほんの一年生なんでした。がはは!
憲法も、今ほどきちんと読んだことは無かったかもしれません。
わたしはほんとに、考えずに生きてきたんだと、つくづく思い知らされました。
いつもブログを読みに来てくださって、ほんとにありがとうございます。
こんなとこですが、いつでも遊びに来てください。
そしてよかったら、長々大歓迎!おしゃべりしてってくださいね♪