長年、酒の世界に関わっていると、実名ブログで発信する情報にはそれなりの配慮が必要になります。本当にいろんな人の目に留まるんですよね。ウエブでの情報発信に慣れない頃は、自分の日記なんだから思ったことを素直に書こうと、振り返るとずいぶんオトナげないことを書いてせっかくの酒縁を台無しにしてしまったことも・・・。
酒について書くのは、あくまでも仕事として、第三者の校正の眼が入る媒体のみにすべきかも・・・と思ったこともありましたが、やっぱりブログのおかげで、遠い世界の人から、思いがけないアクセスをいただき、別の酒縁が広がったりするので、どうにもやめられません・・・。
今年に入って、そんな新たな酒縁をくださったSさん。酒に関しては、私とは全く別の立場で深いかかわりがある方で、以前、静岡県内に勤務されていて、地酒イベントで名刺交換をしたことがありましたが、ご本人いわく「國香さんが県知事賞を取った年だった」とおっしゃるので、かなり前の話・・・。
Sさんはその後、東京に異動され、その後は互いに音信不通でしたが、昨年末、このブログで、東京のある新酒イベントを紹介したところ、思いがけず、Sさんから「スズキさんの情報のおかげで参加できました!」とメール。「自分も都内で酒の会をやっているので機会があったらぜひ」とお誘いを受け、今年2月に参加させていただきました(こちらの記事)。
その後、Sさんからは、静岡のローカルライターでは、すぐにはゲットできないレアな酒情報を定期的にいただけるようになりました。
昨日(11日)、いただいたメールによると、今、政府の国家戦略室に、日本酒を政府一丸で世界へ輸出促進するプロジェクトが立ちあがり、有識者6人による“ENJOY JAPANESE KOKUSHU推進協議会”という会がスタートしたようです。そういうプロジェクトが水面下で動いているという話は、それとなくうかがっていましたが、昨日(11日)午前の古川大臣の定例会見で明らかになったので、ここでも書かせていただくこととしました。
国家レベルのプロジェクトなんて、私には遠い遠い世界の話なんですが、ここ1~2年、『吟醸王国しずおか』を海外にも発信できる映像作品に、という気持ちで仕切り直しをしているだけに、流れとしては間違っていなかったのかなと感じます。
土俵が大きくなればなるほど、地方の限定された存在や情報が持つ価値も変わってくるでしょう。世界の中の静岡酒、という視点にも、それなりの意味が出てくると思います。静岡のポジションを俯瞰でとらえる視点は、静岡の中だけで縮こまっていたら持てませんが、自分は幸運にも県の広報の仕事に長年関わっているおかげで、多少は養われたかもしれません。
たまたまですが、今、知り合いのアーティストを蔵元につなげ、新たなマーケット層に訴求できる地酒のブランドデザインが出来ないか提案しているところです。私にできることといえば、ローカルの中で、いろんな分野のプロフェショナルに種を蒔いて、酒に内在する潜在能力を引き出してもらう・・・そんな縁結びみたいなことしかありませんが、私の存在を煙たがらず、受け入れてくれる蔵元がいる限り、力を尽くしたいと思っています。
ブログでの酒情報発信に躊躇していた頃に比べると、そんなふうに能動的に行動する機会を与えてくれたのは、まぎれもなく、ブログを通して酒縁が復活できたSさんのような存在です。そういう酒縁を心からありがたく、大切にしていかねば・・・。
なお、ENJOY JAPANESE KOKUSHUプロジェクトに関する公表物は国家戦略室ホームページにアップされています(こちら)。ブルームバーグのウェブニュースにも紹介されています(こちら)。ぜひご参考に。