ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ドイツワインの動き@日本

2017-01-13 17:32:37 | ワイン&酒
Sopexa(ソペクサ。フランス食品振興会)が2016年の年末に発表した
「2016 WINE TRADE MONITOR」の調査結果の中に、気になる内容がありました。

「2016 WINE TRADE MONITOR」は、世界の7つのキー市場(アメリカ、カナダ、ロシア、中国、香港、日本、韓国)のワイン輸入、卸、小売りなど、1100の業界関係者に対し、ワインに関するこの先2年の予測調査を行なったものです。
ワインは、スティルワインだけでなく、スパークリングワイン、酒精強化ワイン、スピリッツも含みます。

日本市場に関する結果で、私が非常に気になったのが、ドイツワインへの評価です。

ドイツワインについて、日本の業界関係者は、2011年の77ポイントから2016年の57ポイントへ、20ポイントも評価を下げています。
理由は書かれていません。

7つの市場での総合評価の上位を見ると、トップはフランスの94%で、イタリア80%、スペイン76%と続きます。

4位以降は明らかにされていませんが、日本市場におけるドイツワイン衰退は、他と比べて大きく目立った変化だったのでしょう。



ドイツワイン は、もう何年も前から、日本市場では微妙な位置にありました。

以前あったドイツワイン基金日本事務所が2009年に閉鎖され、ドイツワインインスティテュート(DWI)の日本での出先機関がなくなりました。
それが、ちょうど1年前の2016年の年初に、「Wines of Germany」日本事務所として復活しました。

ドイツワインの輸出先で見ると、1位アメリカ、2位オランダ、3位イギリス、4位ノルウェー、5位スエーデン、6位カナダの後、7位が日本となり、8位に中国が来ます。※2013年のデータ(DWI)

ドイツワインにとっては、いまだ日本は重要な輸出市場のひとつに違いないのでしょうが、日本の売り手側の意識の方は、この5年でガクッと下がってしまった、というのが、この調査結果でしょう。

販売側の意識が下がったということは、扱いをやめたり、店の棚のスペースが小さくなったり…ということが起きている、ということ。
発信が少なくなり、消費者の意識にも届きにくくなり、まさに負のスパイラル。。。




Rhingau地方“Steinberger”畑 ―美しかった…


ドイツワイン法の格付けの定義は近年よく変わり、昔ながらの甘口ワインの基準もある上、ドイツ語の発音は難しく、文字も読みにくく、頭で覚えようとすると、はあ~、とため息が出そう。

知的なのはわかるけれど、飲む前から難解で、取っ付きにくい、重い、暗い?(笑)

華やかなイメージのフランスワイン、明るくスタイリッシュなイタリアワイン、陽気で親しみやすいスペインワインに比べたら、やっぱり、ドイツワインって近寄りにくいイメージでしょうか?

何度もドイツワインのことを取り上げてきましたが、現代のドイツワインは、若手生産者の勢いが非常にあります。
彼らは、大学や醸造学校で最先端の知識を学び、国外のワイナリーで修行経験を積んでいます。
ただ、彼らの舞台が“ドイツ”なだけです。




ラインガウ訪問時に会った若手生産者 「Rheingauer Leichtsinn at Eltvinum」のナイスガイたち



カジュアルに楽しめる彼らのラインガウのリースリングワイン



明るいし、カッコいいし、スタイリッシュ!(笑)

間違いなく、“先入観” なんです。
まずは、プロフェッショナルに気付いてほしいと思っています。




この時は、彼らのほかのワインも色々と楽しみました。



ラインガウは赤ワインもあります。
右はメルロ。エチケットがユニーク!


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2 コメント

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はじめまして (Joe)
2017-01-14 16:39:23
ドイツワインを愛する日本人の一人です。
日々日本でドイツワインを愛でることが簡単ではない(種類・数ともに少ない)と嘆いているのですが、評価が落ちていると聞き、やはりそうなのかと納得した反面、それは日本市場における商品訴求力的なことを表わしていて、ドイツワイン自体の評価としたなら全く納得がいかないです。
売れなくなれば取扱量が減る。取扱量が減れば、規模の経済性が悪くなり単価が上がる。単価があれば、ドイツワインって高いけど大したことない、となってさらに買われなくなる。ブログに書かれておられるようにドイツワインは日本市場でまさに”負のスパイラル”に入ってしまっていると思います。

私自身もワインを飲み始めた当初はドイツワインはほとんど気にもしてませんでした。けど今ではモーゼルリースリング命です(笑)
一人でも多くの人がドイツワインの素晴らしさに気づいてくれることを願ってやみません。

長文失礼いたしました。
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おっしゃる通り! (まゆ@管理人)
2017-01-15 16:03:51
Joeさん、コメントありがとうございます。
本当におっしゃる通りです。
ワイン自体の評価から考えると、ドイツが劣っているということはありませんよね。国際市場で高く評価されている素晴らしい高品質のドイツワインがもちろんあり、手頃な価格でも良い品質のドイツワインがたくさんあります。ただドイツワインというだけで、マイナスのフィルターがかかっているのが残念です。
ドイツワインに関しては、今週中にもう一度記事を書きたいと思っていますので、良かったら、引き続きご覧いただき、ご意見、感想をお寄せいただきましたら嬉しいです。
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