ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

フェテアスカ・レガラ@ルーマニアの白ワイン

2012-05-09 10:05:21 | ワイン&酒
友人のところで飲んだワイン第二弾は、ルーマニアの白ワインです。


Feteasca Regala Special Reserve 2010 Cramele Halewood (ルーマニア)

フェテアスカ・レガラ は、Grasa(グラサ)とFeteasca Alba(フェテアスカ・アルバ)を交配させた、ルーマニア独自の白品種。
1930年代に誕生した新しい品種ですが、現在ではルーマニアで最も多く栽培されています。

このワインは花のエチケットがかわいらしいですが、味わいもこの花のイメージ通り。果実味がピュアで、しっかりとした酸味が加わり、イキイキとした味わいが心地よい白ワインでした。
フェテアスカ・レガラはマスカットや桃のような芳香が特徴といわれていますが、これはアロマに関しては比較的控えめに感じました。そのおかげで、シーフードをはじめ、日本の食卓によく合うように思います。アルコール度数は12.5%。(輸入元:ユーロアジア交易株式会社)



ワインの神ディオニソスは現在のルーマニアのドブロジェア地方(黒海沿岸地域)で生まれた という伝説があります。
ディオニソスはギリシャのクレタ島に行く途中で、今までに見たことがないほど美しくてか弱い植物(ブドウの木のこと)を見つけ、それを鳥の骨やライオンの骨、ロバの頭蓋骨に隠しながら大事に携え、クレタ島のNaxosの地に植えて育て、人々にワインづくりを教えた、といわれています。

ルーマニア は、2000年もの古い歴史のあるワインづくりが行なわれてきた国です。
紀元前1世紀にローマ帝国の侵攻を受けてブドウ栽培が禁止されたりしたこともありましたが、ルーマニア内の各地域で連綿とワインづくりが行なわれてきました。
中世の時代に人気のあったのはコトナリ地域(ルーマニア北東部)でつくられる白ワインで、ヨーロッパ諸国の国王や皇帝たちが好んで飲んだようです(コトナリの白ワインは現在も有名です)。

しかし、第二次大戦後に社会主義国家となったことで、ルーマニアワインは国際市場から姿を消します。
1989年の社会主義崩壊でようやく、ルーマニアワインは再び国際市場に登場してきますが、他の欧州諸国に認知度の点で大きく遅れを取りました。

しかし、現在ルーマニアは、東欧では最もワイン生産量が多い国となっているらしく、ワイン消費量においても世界トップ10の10位 にランクインしています(2011年度)

とはいえ、今回のフェテアスカ・レガラをはじめ、フェテアスカ・ネアグラ、バベアスカ・ネアグラ、ブルグンド・マレ(赤ワイン品種)など、耳慣れない品種があり、産地の情報なども非常に少ないことから、日本におけるルーマニアワインの認知度はまだまだ低い状況です。


Vinexpo Hong Kong 2010 でのルーマニアブース

白ではシャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、赤ではピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロなどの国際品種のワインも多くつくられており、その品質も非常に高いのですが、消費者がルーマニアワインに求めるニーズとどう合致させていくかがポイントのように思います。
(私見では、独自品種が面白くてよいと思いますが)


ローカル品種から国際品種まで多彩(Vinexpo Hong Kong 2010)

ちなみに、「フェアテスカ・レガラ」は「少女のブドウ」、「フェアテスカ・アルバ」は「祖母のブドウ」という意味だとか。レガラの方が多く生産されている理由はネーミングにもある?(笑)



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