ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ワインの適正飲酒量&健康効果

2011-11-24 14:02:10 | ワイン&酒
11月も後半に入り、アルコールを飲む機会が増えてきていませんか?
12月になれば忘年会や各種パーティー、クリスマス会、年が明ければ新年会と、肝臓の休まる間がありませんね(笑)

アルコールの過剰摂取による疾病リスクについては誰もが知るところではありますが、
気になるのは、何をどれくらい飲むなら許容範囲? という点です。

11月21日、イタリアのシエナ国立ワイン展示館(ENOTECA ITALIANA)の主催により、
適正飲酒とワインの健康効果をテーマにしたセミナーが東京にて開催されました。
このセミナーは、2011年6月9-10日にイタリアで開催されて非常に成功したものをベースにしており、海外で取り上げるのは日本が初です。

今回のセミナーでは、イタリアから来日したフランチェスコ・オルランディ氏(医師、アンコーナ大学教授)が講師を務められました。


右)フランチェスコ・オルランディ氏
左)ファビオ・カルレージ氏 (シエナ国立ワイン展示館 理事長)



さて、結論からお知らせしましょう。

1)適正飲酒量はワインなら 男性は 1/2本(375ml)、女性は 1/4本(187ml)

2)ワインを適量飲むことは健康によいが、他の食品摂取や運動などの要因が加われば加わるほど、健康保護の度合いは高まる

アルコールの過剰摂取は疾病の原因になりますが、毎日10gのエタノールの摂取は、まったく飲まないよりも、例えば腎臓がん、甲状腺がん、リンパ腫などの発症を抑制する効果がある、という論文が発表されています(Allen NJ, J NAtl Cancer Inst 2009:101:296)

また、ワインは他のアルコール類よりもがん発症リスクの数値が低いので、
「ワインは健康にいい」とよくいわれるのは、ある面で当たっているといえます。

ただし、喉頭がんや食道がん、口腔がんについては、ワインを含め、アルコール摂取による発症のリスクは高くなりますし、また、他の疾病の発症についてのリスクも否定できませんので、ご注意ください。

なお、喫煙によるがん発症リスクは、アルコール摂取によるリスクの400~500倍にもなるようですから、愛煙家で酒好きの方は要注意ですよ。



さて、ワインが健康によい、といわれる理由は、フェノール類を含むことです。
ワインに含まれるフェノールは、レスベラトロールと、ケルセチンの2つ。
どちらも抗酸化効果があり、その他に前者は、がん、心臓疾患、アンチエイジング、糖尿病に、後者は、がん、若年性認知症などに効果があるという論文が出されています。

ただし、ワインを適量飲めば、それだけで健康によいか?と、単純に考えればいいものではなく、holistic program(包括的プログラム)として実践しましょう、というのが今回のセミナーの2つめのテーマです。

すなわち、1つの食品を摂取すると病気になる、健康になる、と考えるのではなく、
健康維持や疾病の予防には複合的な要素の関与が重要、ということです。

オルランディ氏は、アメリカ人医師Ancel Keysがイタリアで従軍中の1944年に命名した“Mediterranean Diet”(地中海式ダイエット)と運動の組み合わせが大事 といいます。

ポイントは10点あります

■よく食べると良いもの
  1)野菜 2)豆類 3)果物 4)魚

■常食すべきもの
  5)オリーブオイル 6)適正量のワイン

■少量にすべきもの
  7)肉類 8)家禽類 9)高脂肪チーズ

■食品以外
  10)定期的な運動



オルランディ氏いわく、
「適正なワイン摂取はチームの一員。少なくとも2つ以上のアイテムを組み合わせることが効果的。身体を動かすことも必須」

要は、身体によい食品を積極的に摂取し、適度な運動を行い、適正量のワインを飲む、ことが健康の秘訣です。

適正量のワイン・・・ドキッ!自分はもっと飲んでる!と思った方も多いかもしれません(笑)
私も、家ではほぼ適正量ですが、外食すると、どうしても多くなりがち。

そういう方は、ぜひ休肝日を設けましょう。
特に、これからの宴会シーズンでは、休肝日は大事です。
私も実践していますよ



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