ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

レバノンワインとフレンチのマリアージュを検証

2013-04-24 14:30:01 | ワイン&酒
レバノンワインとフレンチのマリアージュ会 があるというので、参加してきました。

今回の舞台は、この3月にオープンしたばかりという、西麻布 「帝國食堂」
辻調理師専門学校フランス校を首席卒業!という横田浩丈さんがシェフを務めています。



今回は、以前に紹介したことのある レバノンの3ワイナリーの4種のワイン が登場しました。


左より)
Perseides 2007 Chateau Khoury / Domaine de Tourelles Rose 2012
Cloud Nine 2011 Karam Winery / Reve Blanc 2011 Chateau Koury

“クラウド・ナイン”は、ミュスカ、ヴィオニエ、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、
“レーヴ・ブラン”は、リースリング、シャルドネ、ゲヴュルツトラミネールのブレンドの白ワイン。

“ドメーヌ・デ・トゥレール ロゼ”は、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、テンプラニーリョ、サンソーをブレンドしたロゼワインになります。

※白ワインとロゼワインの詳細は、以前に紹介した記事を参照ください → コチラ

ペルセイド”は、シラー50%、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロ各25%をブレンドした赤ワイン。

※赤ワインの詳細は、以前に紹介した記事を参照ください → コチラ



さて、いよいよ、ワインと料理とのマリアージュです


ホタテとブルグル&クスクスのサラダ

クスクス(couscous)は小さい粒状のパスタとして知られていますが、ブルグル/ブルグール(bulgur)の名前は初めて聞きました。
ブルグルは全粒小麦を粒状に挽き割ったシリアルフードの一種。ブルグルもクスクスも小さな粒状なので、見た目では区別がつきにくいですが(ブルグルの方が少し茶色がかっています)、練った小麦粉から作られるクスクスとは別物になります。
ブルグルはトルコ(レバノンの北)が起源のようですが、周辺諸国、中東、ヨーロッパ、南アジアなどで広く食べられており、レバノンでもおなじみの食材だそうです。

ブルグルとクスクスを混ぜたもにに生のホタテを載せ、玉ねぎをすりおろしたものとマスタードを加えたヴィネグレットソースをかけたサラダで、ソースに甘酸っぱい酸味があります。ホタテが甘い!

生ホタテがあるので、まず白ワインでしょう。

“レーヴ・ブラン”は、酸がしっかりした果実味のアタックがあり、キリリとキレのあるタイプ。酸が食欲を刺激してくれるので、食前酒にもピッタリ。

“クラウド・ナイン”は華やかなアロマのあるワインです。飲んでも華やかな印象があり、酸は“レーヴ・ブラン”よりグッと控えめ。軽やかでデリケートなワインです。
ホタテが甘いので、酸のキリリとした“レーヴ・ブラン”よりも、やわらかさのある“クラウド・ナイン”の方がよりピタリとハマるように思いました。クスクス&ブルグルも、酸味系タイプよりソフト系のワインが合いますね。



チキンのトマトソース

鶏のささみに、酸味のあるオクラ入りトマトソースがかけられた一皿。

この料理には、酸味がしっかりした“レーヴ・ブラン”がよく合いました。“レーヴ・ブラン”の酸はキリリとしていますが、フードを突き放すのではなく、仲よく寄り添ってくれるタイプ。
“クラウド・ナイン”は、ワインの方がやさしく、料理にちょっと負けてしまう感じでした。



サーモンのスモーク

ミキュイ(半生)にスモークされ、ハーブとゴマを振りかけた、やわらかなサーモンです。
レバノン産のオリーブオイルが下に敷かれています。
スモークが香ばしく、サーモンはトロットロにジューシー。


サーモン色のロゼワインとサーモンを合わせます

赤い果実の風味が豊かで、ジューシーで伸びやかな“ドメーヌ・デ・トゥレール・ロゼ”は、サーモンによく合います。
料理とワインを色で合わせる、というのは、一理ある合わせ方です。
このサーモンはとても脂が乗り、まろやかな食感だったので、華やかなスタイルの白ワイン“クラウド・ナイン”を試してみたところ、こちらもほどよく合いました。

ひとつのお皿に複数のワインを合わせるのは、贅沢で面白いチャレンジですね



羊肉と牛肉のパイ包み ナスのソース

肉の煮込みをパイで包み、甘酸っぱいナスのソースを添えたメイン料理。
これには、しっかりした赤ワインを合わせたいですね。

“ペルセイド 2007”は、以前に試飲した時は非常にパワフルで硬く、飲み頃はまだまだ先かも、と思ったのですが、この日は美味しく飲めました。
タンニンは相変わらずしっかりしていますが、果実味が豊かで、非常になめらかでスムーズ。酸も健在。いいバランスです。しっかりした大きさのあるボルドーグラスに注いでいたおかげもあるのでしょう。時間を追うごとに、どんどん開いて甘くなってきました。
この日のワインの状態がとても良かったこと、しっかりした味わいの料理と合わせたことで、今おいしく飲め、素晴らしいマリアージュを堪能できたと思います。



デザート



レバノンワインとフレンチのマリアージュってどうよ? と思っていた方、上記の紹介を見て、何の違和感も感じなかったのではないでしょうか?



レバノン は古くからワインづくりが行われている国。広く 「地中海」 という同じ食文化圏にフランスもレバノンも所属しているわけですから、マリアージュがうまくいかないわけがありません。

ワインの世界では、例えば、フランスのロワール産の食材とロワールワインを合わせるとベストマリアージュ!と考え、同じ産地のワインと食を合わせる のがマリアージュの定石とされていますが、となると、地中海沿岸国同士のワインと食を合わせるのも当然アリ なわけです。

レバノンワインとフランス料理、イタリア料理、スペイン料理、ギリシャ料理、トルコ料理etc...と可能性が広がります。

また、「自分のワインは和食に合う」とアピールする海外のワイン生産者も非常に多く、ワインと和食とのマリアージュは、もはや特別なことでもありませんので、レバノンワインを和食に 合わせてみるのも楽しいですね

フランスをはじめとした定番ワインに飽きてきた人にとって、
これまであまり縁のなかった産地 ―レバノン のワインは、好奇心を刺激する、いえ、それだけでなく、飲んで、食べておいしく、満足感の得られる存在 になるに違いありません。




ちょうど会が終わった頃、店でオンリストされているレバノンワインが配送されてきました。
レバノンワインを飲んでみたい方は、「帝國食堂」でどうぞ


帝國食堂
   東京都港区西麻布2-15-13
   http://teishoku.jp/

※ワイン輸入元:Vin d'Olive
   http://www.vinsdolive.com/ja/


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