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北タイ陶磁の源流考・#13<インドシナ各地の窯構造・#3>

2017-01-23 08:12:03 | 北タイ陶磁
<続き>

2.ベトナムの窯構造

今回は前回の北ベトナム諸窯の紹介に続き、中部ベトナムの窯について概観する。残念ながら現地を訪れた経験はない。従って文献や資料を検索し情報収集することになるが、適切な窯址写真は入手できていない。

2-3.チャンパ・ゴーサイン窯
以下、窯址挿図や情報の出典は、上智アジア学第11号所収の論文「ベトナム陶磁の編年的研究とチャンパ古窯の発掘調査:長谷部楽爾他」に依る。
●所在地
 中部ベトナム ビンディン省アン二ョン県二ョンホア社
●平面プラン
 長方形 (論文では平窯単房式と記す)
●窯諸元
 全長:14m
  燃焼室長:3m
  焼成室長:10m
 全幅:2.8m
 全高:記載なし
 昇焔壁高:0.5m
 斜度:15度
●開窯時期
 推定14世紀
●出土陶磁
 無釉陶磁:壺、鉢
 施釉陶磁:青磁碗、青自鉢、青磁盤、褐釉壺、黄茶釉壺、灰緑釉縦耳壺、
      暗緑釉壺、瓦類
●轆轤回転方向
 右回転
●特記事項
 ●匣鉢を用いる
 ●煉瓦も用いるが匣鉢を積み重ねて窯体を構築しいている。
 ●青磁鉢類の重ね焼きは、2通り存在する。見込みの蛇の目釉剥ぎと、5点目跡である。
 ●耳付壺は肩に縦耳が付く大型壺で四耳、六耳の例がある。
 ●耳の形状は特徴的で、上部先端を巻き込み、下部の先端は外部側へ折り曲げる。この
 ような事例は、13世紀・福建の六耳壺に認められると云う。
(褐釉花卉刻花文六耳壺・ハノイ女性博物館にて当該ブロガー撮影)

2-4.チャンパ・チュオンクー窯
写真・情報等の出典は、VIEJO・ベトジューベトナムニュース:2016年10月12日版に依る。情報が少なく詳細不明である。

●所在地
 中部ベトナム  ビンディン省アンニョン県二ョンロック社
●平面プラン
 未記載、ゴーサイン窯とは近距離、従って似ていると(写真では似ているようだ)すれ
 ば、平窯単房式窯となる。尚、写真をみるとゴーサイン窯と同様に匣鉢で窯体が構築さ
 れているように見える。
●窯諸元
 未記載
●開窯時期
 13世紀
●出土陶磁
 施釉陶磁:高坏、碗、皿、瓶、甕
(出土陶磁:出典・ベトジョーベトナムニュース2016.10.12版)
チャンパはインド文化の影響を受けているが、出土陶磁を見るかぎり福建・華南の影響を受けているように思われる。
同じベトナムでも、北ベトナムのドゥオンサー窯とは、やや窯形状が異なるようである。単室窯で昇焔壁をもち横焔を用いる点は共通しているが、平面プランがやや異なっている。




                                    <続く>