あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

SMC Takumar 20mmF4.5

2016-09-29 19:56:55 | タクマー・レンズ
希少な超広角レンズで、中古品を探してもなかなか出てきませんし、カメラ屋さんの中古品棚を見ても置いていないレンズです。Webページで検索しても紹介記事は少なめで、フィルムを使っていた昔は、広角レンズは28mm位までと思っていました。広角レンズといえば35mmレンズが一般的で、28mmまで揃えたのは近年になってからでした。

タクマー20mmF4.5レンズはスーパータクマー時代から販売されてていますので、そんなに昔のことではありません。しかし、当時は学術的用途が主体であったと思われ、購入にいたる方も少なく、生産数もそれほど多くはなかったと考えています。

狭い場所でそれなりに歪曲の影響が出ない広角撮影を行える要求は、そこそこあったと思われます。このSMCタクマー20mmF4.5のレンズも暗いレンズなのですが、丁寧に光束を曲げているおかげで、歪曲収差も余り目立たない優秀な作り込みになっています。すなわち現代になってからも使えるレンズで、探している人も多いと思っています。

最短撮影距離も現代レンズと遜色が無く、20cmまで近接できますから、背景をぼかした広角マクロ撮影も容易です。適度なやわらかさで背景がぼけてくれますので、広角レンズとは思えない雰囲気の画像を手に入れることが出来るのは、開発された時代から考えるとかなり先進的な特徴であったであろうと思います。

狭い場所であっても、狭さを感じさせないくらいに撮影できる、程よく収差の取り除かれた画像を得ることが出来る優秀レンズですから、ディジタルでもフィルムでも違和感無く扱うことが出来て便利です。超広角系タクマーは20mmと24mmがありますが、いずれのレンズもしっかりと作りこまれていますので、写りの良さは確かなものと感じています。

これらのレンズも中古品棚に余り並ばない、ある意味希少レンズですからWebページで紹介されてもびっくりするほどに高額です。しかし、紹介されると程なく売れていくようなレンズですから、じっくりと探してチャンスがあれば即購入したほうが良いと思われるレンズです。レンズ以上にびっくりするのが専用のフードで、とにかく大きくてプレミア価格ですから、余り購入して装着する気分が沸きません。

元来逆光に強いレンズですから、ノー・フード撮影も出来ますが、直接光の進入によるゴーストはかなり強く出ます。画角が広いためにAPS-Cサイズのディジタル一眼レフ・カメラでは見えない部分の直接光がゴーストとなって現れることがあります。このため、フードはつけておいたほうが良い訳で、何か良いフードと探し回った挙句に、ジャンクの広角フードを買ってきて少し長さを短く削って、少し小さめのフードとして活用しています。

後はファインダー像をよく確認して、ゴーストが出ない角度を探して撮影する。この事で昔レンズと思えないような繊細でダイナミックな結果を得ることが出来ますので、病み付きになります。歪曲をもっと出してダイナミックなパースを得たいときには、コシナさんの20mmレンズがありますので、次に撮影行で撮影するシーンを想像しながら、レンズを決めています。

それでは、今月中旬に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 SMC Takumar 20mmF4.5
撮影データ:1/125sec F11 ISO200
アメリカ楓もそろそろ紅葉してきました。一気に紅葉して、そして一気に落葉していきますので、毎週気がかりな感じです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広角レンズは面白い

2016-09-27 16:50:20 | レンズいろいろ
少しずつ秋になってきて、夏の蝉から秋の虫に切り替わってきました。草むらで鳴く虫の音は寂しさが感じられるようになります。夏の間は熱帯夜に蝉の鳴き声が夜まで響いて、写真撮影のほうも億劫になるほどでしたが、涼しい風が吹き始めると俄然健康ウォーキングと写真撮影に目が向いてきます。

夏の間は日差しが強いので、主に深いフードをかぶせる望遠レンズやマクロレンズが主体となります。空を見ても水色のような少し曇った青色ですから、余り空を入れないようにして撮影する感じです。秋になってくると空気が澄んできて、空が高くなったように感じますから、空の色もきれいな青色となります

光の強さも徐々に和らいできて、フレアやゴーストも余り気にならなくなってきますから、この時期から広角レンズが活躍を始めることになります。秋の寂しさを表現するために、広々とした空間や誇張されたすぐ近くの被写体、そして深い被写界深度が稼げる広角レンズは、これからの時期のアイテムと言えるかもしれません。

夏の広角撮影は、どちらかというと中判カメラで、ひずみの少ない広角画像を狙います。広角レンズのような広い画角が確保できますが、レンズ自体は中望遠レンズな訳で歪曲収差の少ない端正な画を記録してくれます。旅先の風景撮影で歪曲があると、観賞した時に違和感を感じますので、お供に連れて行くのは中判カメラと言うことになります。

空の雲はほうき雲やひつじ雲、そしてうろこ雲など空の割と大きな面積を占めるものが多くなってきて、全体を撮影しようとすると広角レンズの出番と言うことになります。いつもの風景を撮影していても、広大さを出していける広角レンズで、ある程度広い深度範囲をパン・フォーカスで撮影するほうが印象的な画になります。

とにかく被写体に近付いて、ディフォルメーションによる迫力を出し、背景もある程度はっきりと見せることで広がりを演出します。どんよりとした夏の雰囲気からはっきり・くっきりの秋の雰囲気に変わってきていますので、広角レンズを用いる場合も解像度の高いレンズを用いるほうが満足感が高くなります。

今回の撮影行では、タクマーの20mmにするか、ニッコールの20mmにするか、選択に迷いましたが、色々な秋の実が薄く色付きだす時期でもありますので、彩度の確保できるタクマーをチョイスすることにしました。やはり現代レンズでは優等生の写りとなるのですが、反面色のパンチ力が欠ける感じで、あっさりと描写しますから変わり始めた色合いの世界をビビッドに表現するときには、タクマーの出番となります。

秋風になったとはいえ、日中の光の強さはまだ強く、空の雲を入れて撮影するとゴーストがはっきりと出てきます。この季節の特徴としてゴーストも味わいとして入れてみることにしました。かなり広い画角の光を取り込みますから、フレアはフードが取ってくれると考えて撮影を行います。

涼しくなってゆっくりと撮影行、やっと行動しやすい季節がやってきました。
それでは、今月中旬に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 SMC Takumar 20mmF4.5
撮影データ:1/160sec F8 ISO100
帰り道で空の一角にひつじ雲。空の青さと相まって、一段空が高くなったように感じます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

暑さが戻ってきた

2016-09-25 08:35:37 | 季節は進む
9月に入って、台風が過ぎていくと予想以上に朝晩が寒くなり、これで秋の気候に変わったかと思ったら、じわじわと熱帯夜の再来を思わせる暑さで、夜間のクーラーも必要になってしまいました。これで朝遅めの撮影行が出来ると楽しみにしていましたが、またもとの早朝撮影行に逆戻りです。

日中に撮影行に行くと、全身汗びっしょりになりますし、熱中症の危険も高まります。9月最初の日曜日は、時々豪雨が襲ってくるとの予報が出ていましたので、余り無理をせずに近場を歩いて撮影行を行ってきました。やはり昔レンズには雨は禁物で、衣服の中に入れて持ってこれる距離で我慢しています。

戻ってきても暑いので、半年ぶりのピアノ掃除を行います。クリーナを布につけて磨くと、白っぽく指紋のついたピアノが黒光りして、新品になったように感じます。色々な場所を拭きあげてぴかぴかになったところで、掃除用の布を洗うと見る見る水が薄黒くなってきて、汚れがかなりたまっていたことを感じさせてくれます。

ペダルのほうはゴムサンダルを使っているおかげで、さびも余り無いのですが部屋の湿気を吸って表面が少し曇っています。軽くクリーナでさび落しをした後で、クーラーを除湿モードにしてピアノのふたを開け、湿気取りを行います。あまり上のふたを開けることが無いのですが、開けると中から熱気が出てくる感じで、しばらく開け放しておきました。

ペダルは発表会の少し前からしか使わないので、踏み始めると違和感があったりします。練習をしているときでも踏んで動かしているのが一番良いそうで、鍵盤のように毎回動かしているところはタッチも好みになっています。レッスン室のピアノが弾きやすいのは、毎日鍵盤もペダルも動かすからということで、練習のときから少しペダルを使う曲を選んでもらいました。

ピアノの湿気が取れると、どんよりしていた音が明るくなって、よく響いてくれるようになります。これからは湿気の少なくなる秋ですから、気分よく練習が出来ると思っています。涼しくて空気がからっとした秋空になると、歩いていても気持ちがよくて写真のほうも気持ちよく撮影が行えます。音楽も写真も楽しめる秋が今から待ち遠しい感じですが、過ぎて行く夏も名残惜しいわけで、逆にシャワーを浴びたりして楽しんでいる感じです。

そのような感じで、天気の悪い休日は、新しい季節に向けて準備をしていると言った感じです。季節が変わると被写体もまた変わっていきますし、新しい曲の練習で目先も変わって、また新しい視点が出来ると言うわけです。この原稿を掲載する頃は秋本番と言った感じであろうと思いますが、まだしばらくは夏の雰囲気が満載と思います。良い汗かいて夏の残りを満喫しています。

それでは、今月始めに撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 SMC Macro Takumar 100mmF4
撮影データ:1/125sec F8 ISO200
夏も終わりになると柿の実が熟してきます。そろそろ食卓を賑わせる秋の果実も旬を迎えたようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SMC Macro Takumar 100mmF4

2016-09-23 19:15:13 | タクマー・レンズ
SMCなのだけど逆光や斜光にはとかく弱くて、フレアまみれになるマクロレンズであり、順光重視で撮影を行うことが必須で、気を遣う事が必要なレンズです。線の細さや解像度など、マクロレンズに要求されることは実現できますので、時間をかけてじっくりとファインダー画像を確認して撮影することが必要な、気むずかしやレンズです。

このレンズが発売されるまでは、ベローズと100mmベローズタクマーが必要でしたから、このSMCマクロタクマー100mmF4は大歓迎されたであろうと思います。100mmマクロレンズをきっかけにして、望遠マクロレンズが日の目を浴びて、色々な種類が生産されていったわけですから、開拓者レンズと言えるのかもしれません。

一番希求されていたことは、ワーキング・ディスタンスの確保で、何しろ50mmの標準マクロレンズでは、最大近接時にフードの先と被写体がくっつきそうになりますので、動物には逃げられるし、虫もいなくなってしまいます。何とかしたいと云う心でベローズタクマーを使いますが、その重さから手持ちは無理で望遠レンズにクローズアップ・レンズを取り付けて撮影していた感じです。

そのような時代に発売されたレンズですから、手持ちでマクロ撮影が行えることは大きな魅力で、多くの方が買い求めたと言うことも判ります。しかし、このSMCマクロタクマー100mmF4は、マクロに特化したレンズであることも、忘れてはいけない特長であろうと思います。

SMCマクロタクマー50mmF4と同じく、全群繰り出しのマクロレンズですから、今のレンズに流行のフローティング機構はついていません。すなわちマクロ域でよく写るように調整されていますので、それ以外の撮影は不利になってきます。中景や遠景などの撮影では、暗いF4レンズであることが災いして、被写界深度が深くなってしまい、大きなボケ味を得ることが出来ません。

俗称コンパクトカメラのような薄っぺら描写になってしまうわけで、近接撮影を求めないのであればSMCタクマー105mmF2.8の方が逆光特性も大きなボケ味も得られますから、しっかりとその日の撮影行で求めるシーンを想定して持ち出すことが必要になってきます。あまりチャンスに恵まれないレンズでもありますので、敢えてお勧めはしませんし、不要だからともらってくる機会の多いレンズでもあります。

紫式部ややまぼうしなど、少し小さめの秋の実が色付いてくると、大きく拡大して記録に残したくなります。基から暗めのF4レンズですから、絞り開放から解像感の高い結果を得ることが出来ます。しかし、最大近接時で前後1mmくらいの被写界震度になりますから、ある程度絞り込んで撮影することが必要になります。絞り込むとぼけの形状が角張って来ますので、F8くらいに抑えておくことも必要です。

色々な小さな木の実を撮影して、時間が過ぎていきます。初秋とはいえ汗びっしょりになりますので、帰ってからはシャワーで汗を流します。もう少しで気持ちの良い秋空、期待しながら撮影行は続いていきます。

それでは、今月始めに撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 SMC Macro Takumar 100mmF4
撮影データ:1/200sec F8 ISO100
川の土手を歩くとはっかの花が咲いていました。葉をちぎって手でもむと清涼感のある香りが広がります。つかの間の涼しさで元気が出ます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀色の蜘蛛

2016-09-21 17:15:05 | 季節は進む
当ブログでも検索対象になっている銀色の蜘蛛ですが、数年前に教えてもらってそれからは初秋のころの撮影対象になっています。地味な感じの蜘蛛ですが、お腹が銀色のすごく小さな蜘蛛です。ジョロウ蜘蛛の巣にいるのですが、何しろ相手が小さいのでマクロレンズを用いて等倍に撮影してもまだ小さな感じです。

居候蜘蛛といって、ジョロウ蜘蛛の巣に居候してかかった獲物をいただいているようです。さすがに大家のジョロウ蜘蛛でも判らない様な大きさですから、居候蜘蛛が動いていても気にはならない感じです。家の周りの蜘蛛の巣にはいませんし、ある特定の場所で多く見かけるような場所を選ぶ蜘蛛でもあります。

ジョロウ蜘蛛の巣を丹念に観察しないと、何せ体長が一番大きくて2mmほどの蜘蛛ですから、ぱっと見では判りません。銀色のお腹がきれいとは言っても、裸眼で見るとゴマ粒程度ですから、きれいさなどは判りません。マクロレンズを使って初めて判るような小ささですので、この時期になって判る蜘蛛であるとも言えます。

春先にもいることはいるのですが、何しろ卵からかえったばかりで、ジョロウ蜘蛛の巣や大家さんの蜘蛛の大きさから考えても、相当に小さいことが想像できます。大体0.2mmくらいですので、目を凝らしてみても砂粒と判別がつきません。やはり目に付くのがお盆過ぎの初秋で、その頃になると大きさが数mmまで大きくなっていますので、ようやくごみとの区別がつきます。

出張時にジョロウ蜘蛛の巣を見つけると探したりしますが、結構見つけることが出来ますので、ほぼ全国的に見かける居候蜘蛛であろうと思っています。特別希少な蜘蛛ではないのですが、見つけるのが相当に難儀しますので、特別な蜘蛛のように思えてしまいます。シロカネイソウロウグモと言うそうで、ジョロウ蜘蛛の巣にしかいない蜘蛛のようです。

台風がやってくると蜘蛛の巣自体がなくなってしまいますので、時期を見るようにこの蜘蛛もいなくなってしまいます。すなわちお盆過ぎから台風がやってくるまでの短い期間が見ごろな訳で、時期を逃さないように撮影するわけです。前日に蜘蛛探しをして、見かけたら次の日の早朝にカメラを持って、撮影に挑戦するという事を行います。

今回の撮影にはSMCマクロタクマー100mmF4を装着しています。0.5倍までしか拡大できませんが、APS-CサイズのK-5では0.75倍まで拡大することが出来ます。超近接撮影でワーキング・ディスタンスが稼げることは有難く、逃げられなくてすむ感じです。蜘蛛が危険を察知すると、逃げるよりは地面に落ちてしまいますので、撮影がその時点で出来なくなります。

朝晩の風が凪ぐ時間帯でないと、蜘蛛の巣自体が風でなびきますので、画面は大揺れ状態になり撮影が出来ません。あくまでもそっと撮影が行えるように、時間帯を選んで行動します。蜘蛛の撮影までは道すがら木の実や花を撮影します。色々な木の実が色付いて来ていますのでのんびり撮影行、これもまた良いものです。

それでは、今月始めに撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 SMC Macro Takumar 100mmF4
撮影データ:1/125sec F7 ISO400
何とか0.75倍で撮影して、拡大トリミングでここまで大きくしました。おなかの部分が1mm程しかありませんので、ここまでがやっとという感じです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする