あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

SMC Takumar 50mm F4

2012-06-30 21:42:38 | タクマー・レンズ
この1週間、出張で出ていました。梅雨の晴れ間を縫って撮影に出てきました。

SMCタクマー50mmF4のレンズを持ち出すのは、久しぶりになります。このレンズは最近になって購入したものですが、昔から我が家にあるスーパータクマー50mmF4も、大切に使っています。文献複写に何かと重宝したレンズでもあり、コピー機のなかった昔は、このレンズとフジのミニコピー・フィルムを使っていました。ミニコピー・フィルム用の印画紙まで販売されていましたので、引き伸ばし機を活用して、何日もかかってコピーをした昔の時代が偲ばれます。一般撮影では、風景などを撮影すると被写界深度が深くなってしまい、コンパクト・カメラで撮影した様な写真になってしまいますが、1/4倍よりも大きくマクロ撮影をした場合には、格段に被写界深度が浅くなり、立体感のある堂々とした写真を得ることができます。

50mmマクロの特徴として、背景の輪郭をある程度残せることがあります。花はどこに咲いていたのだろうという、大まかな証拠を残せますので、100mmマクロに比べて何かと重宝する1本でもあります。テッサー・タイプのマクロ・レンズですから、背景の輪郭がある程度残せることも、頷けます。対してSMCタクマー100mmF4は、ヘリアー・タイプであろうと思われ、柔らかな中にも線の細さがある描写が得意です。

撮影を行ってみると、テッサー・タイプのレンズの特徴である、硬調な絵作りを感じることができます。遠景を撮影すると、広角レンズでパン・フォーカス撮影を行っている様な、ある意味味気ない雰囲気となりますが、被写体に近寄ってマクロ撮影をすると、ある意味硬調になりますが、解像感のある抜けの良い写真を得ることができます。ある意味すり鉢の底に小さなレンズがちょこんと鎮座している、昔ながらのマクロ・レンズですが、解放絞り値がF4と無理のない設計でもあり、絞り解放からかなりはっきりとした画像を得ることができます。

それでは、本日の撮影結果から。


PENTAX K-5 SMC Macro Takumar 50mmF4
撮影データ:1/125sec F5.6 ISO400
薄暗い場所の撮影は、K-5が便利です。どくだみの花のしべ部分が、解像感良く撮影されています。


PENTAX K-5 SMC Macro Takumar 50mmF4
撮影データ:1/125sec F5 ISO200
ねむの木の花が咲き始めました。輝度差が大きいため、露出に注意して撮影しています。


PENTAX K-5 SMC Macro Takumar 50mmF4
撮影データ:1/500sec F5 ISO100
うちわかえでの実も大きくなりました。葉裏のトーンが美しい1枚です。

解放F値が4と暗いレンズですが、暗い分絞り解放から解像感もよく、立体感のある画像を吐き出してくれます。無理をしていないレンズは、写りもよいことを実証しているレンズでもあります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

身近なライカ

2012-06-24 22:21:30 | コンパクトデジカメ
M42マウントの世界にいると、なかなか出会わないレンズがライカ・レンズではないでしょうか。写りに関しては、雑誌に掲載されている写真を見ると、思わず素晴らしいと感じてしまいます。しかし、レンズはライカ・マウントであり、M42に改造されたレンズもありますが、どれも立派な価格設定で、おいそれと購入できるものではありません。

ライカ・レンズの好きなところは、写りだけではなく、レンズのコーティングにもあります。Leitz Wetzlerの古いレンズを見ると、深い海の色のコーティングが施されています。吸い込まれそうな青色のコーティングであり、中古品店に行くと、飽きもせずに見てしまいます。いつかは、買ってみようと考えていますが、おいそれと手が出るような代物でもありません。

今では、コンパクト・ディジタルカメラでもライカ銘を付けたカメラが出てきています。LUMIXがそうなのですが、丁度昔から使っていたコンパクト・ディジタルカメラの調子が悪くなり、探していたところでもありますので、店員さんに無理を云って、電気を入れて、レンズを見せてもらいました。小さいながらも、吸い込まれそうな深い青のコーティングは健在です。もしかしたら、写りもそれなり、と云う期待感も手伝って購入となりました。

ディジタルカメラのレンズ部分には、VARIO-ELMARと書いてあります。白黒で使うと、諧調表現がよくできそうな感じですが、それよりも沈胴エルマーの姿を真っ先に思い出し、どことなく柔らかみのある表現を期待して、試写をしてみました。撮像素子が小さいため、大きなボケを得ることはできませんし、1,600万画素は、少し荷が重い感じがします。しかし、屋外の明るい順光下では解像度の高い絵を吐き出してくれます。加えて、色の階調感もよく出してくれる感じがします。流石ライカです。反対に薄暗い所では、眠たい調子になり、解像感もあまりあがりません。無理をするな、と云うことでしょう。

それでは、連休の時の写真になりますが、


LUMIX DMC-FH5
撮影データ:1/100sec F3.1 ISO100
細かなところまで描写するレンズです。被写界深度が深いので、簡単にきれいな写真が撮れます。


LUMIX DMC-FH5
撮影データ:1/320sec F3.1 ISO100
菜の花の黄色の階調をよく再現しています。タクマーでもなかなか出せない諧調表現です。


もとはと云えば、このコーティングに魅せられてしまったことが始まりです。

今では、コンパクト・ディジタルカメラも、かなり安く手に入れられるようになってきました。昔の値段からは想像ができないような安さです。旅行などの時に気軽に忍ばせておける1台として、活用しています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富岡光学のレンズ

2012-06-23 12:44:31 | 国産レンズ
富岡光学というレンズメーカーは、つい最近まで知りませんでした。これも、ねじマウントの世界で続けていたから、知りえたことでしょうか。M42という世界共通のマウント規格であったからこそ、知ることができたと思います。
現在は、京セラオプテックになっていますが、かつては色々なメーカのOEM品を製造していたようです。

とにかく、写りが凄いのですよ。と云われ、内心興味が沸いてきたところで、レンズを探したのですが、M42マウントではほとんど中古店に姿を見せません。OEM品が多かったせいでしょう、OEM品にはTOMIOKAの銘が打たれていることがほとんどありません。

仕方がないので、いろいろ調べてみると、ヤシカ、チノン、レフエ、セコールなど、オリジナルのトミノンとほぼ同じな外観のレンズがあることがわかってきました。中には併記でTOMIOKA銘が打たれているレンズがあるのですが、ほとんどがOEMメーカ銘のみ、打たれています。
その中で、オートチノン55mmF1.4が目に留まりました。外観を基に探してみると、結構たくさん並んでいるようです。お値段もそこそこで、購入となりました。

試写を行って愕然としました。写した写真のほとんどが、軽いピンボケになってしまっています。手持ちで撮影するスタイルなので、体の前後や被写体のほんの少しの揺れで、ピントが外れてしまうのです。撮影した写真を基に、おおよその被写界深度を推測すると、絞り開放で前後1mm位です。実際はもっと狭いのかもしれません。
しかし、その被写界深度の浅さもさることながら、ピント面の解像度は絞り解放からかなり高いようです。凄い写りを見せてくれるレンズは、色々と教えてくれるレンズなのかもしれません。富岡光学恐るべし、です。

とにかく、被写体とじっくり向き合って、時間をかけながらピント位置と被写界深度を合わせこみ、体の振れを抑えてそっとシャッターを切る。何枚か撮影して、ベストな1枚を得る。昔から行っている撮影スタイルを、地で行くことが必要となり、体力を必要としますが、満足感の高い写真を手に入れることができます。また、色調が少し温かみを持ちますので、暖色系の被写体を選ぶと、きれいに写ります。買ってよかったといえるレンズですが、撮影に精神力と体力を必要としますので、あまり持ち出す機会がありません。撮影前に被写体と目的を決めて、期待感を持って撮影に臨むレンズと云えるでしょう。

それでは、梅雨の晴れ間をぬって、本日撮影した写真から。


PENTAX K-5 Auto Chinon 55mmF1.4
撮影データ:1/320sec F4 ISO100
風蝶草がきれいに撮れました。解像度の高さとグラデーションが美しく再現されています。


PENTAX K-5 Auto Chinon 55mmF1.4
撮影データ:1/2500sec F2 ISO100
紫陽花の花は、青い額片の真ん中に小さく咲いているのです。咲いている部分を見つけるのに、一苦労します。


PENTAX K-5 Auto Chinon 55mmF1.4
撮影データ:1/1250sec F4 ISO100
たちあおいの花が咲き始めました。天辺まで咲くと梅雨が明けると云われていますが、梅雨明けはいつごろでしょう。


PENTAX K-5 Auto Chinon 55mmF1.4
撮影データ:1/400sec F5.6 ISO100
近くにつゆくさも咲いていました。この花が咲き始めると、梅雨に入ります。

ピントが合うと、描写力の高さがわかりますが、なかなかピントが合いません。ライブ・ビューを行って、拡大してピント位置を確認する必要があるのでしょうが、三脚も必要になります。歳をとると、近くが見難くなりますので、鬼門のレンズとなりそうです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レンズとフード

2012-06-20 09:39:19 | アクセサリー
台風がようやく過ぎ去ろうとしており、雨も小降りになってきました。また、写真でも撮りたいですね。
先週紹介した、Takumar 200mm F5.6ですが、月曜日に少し晴れ間があったので、追加して撮影してみました。やはり、光量が多いとファインダーが暗くならないためか、ピントの山がつかめます。そして、このタクマー自体がピントの山がつかみやすい、はっきりとした描写をするレンズであるという事がわかってきました。

しかし、時代が時代のレンズですから、逆光撮影は慎重に行う必要があります。今回の撮影では、オリジナルのフードを使いましたが、(カメラ店の店員さんによると、初代タクマーのぴかぴかのフードは希少品で、めったに付いてこないそうです)レンズの画角とフードの直径が合っており、コンパクト性と機能性が合った感じですが、今一つのところがあります。そこで、口径を大きくして、懐を深くしたフードを自作すると、効果はかなり上がります。長いレンズに大きなフードで、一見バズーカ砲の様相になりますが、画像の抜けはファインダーで見て上がるほどになります。

自作方法として、標準レンズ用のゴムフードに、開口径より少し大きな紙筒を探して切ってはめ込み、黒色の塗装をするといった、単純な構成です。また、ステップ・アップ・リングを準備して、その外径に合うアルミの筒やプラスチックの筒を準備して接着する等と云った、自作ならではの楽しみ方もあると思います。

それでは、撮影してきた写真から。


PENTAX K-5 Takumar 200mmF5.6
撮影データ:1/125sec F9 ISO200
睡蓮の花を撮影していると、糸トンボが横の葉にとまりました。花のグラデーションが美しい写真です。


PENTAX K-5 Takumar 200mmF5.6
撮影データ:1/125sec F7 ISO400
鑑賞用リンゴの実も大きくなり、少し色づいてきました。質感描写の良さには驚かされます。円形絞りのため、背景のボケも安心して入れることができます。


PENTAX K-5 Takumar 200mmF5.6
撮影データ:1/125sec F9 ISO400
ヒマラヤ杉の実も大きくなってきました。なめらかに背景がぼけていく様は、かなり気に入っています。

昔々のレンズですが、今の景色やクローズアップ撮影を行っても、特に破綻せずに写る描写能力には驚かされます。暗い・重たい・長いの三拍子がそろったレンズですが、逆に無理をしていない設計から生み出される描写は、今でも通用する味のあるものではないでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Takumar 200mm F5.6

2012-06-17 21:43:15 | タクマー・レンズ
昔レンズへの興味は尽きないのですが、中でも無理をしていないレンズ構成には、一層惹かれる何かがあります。
無理をしていないために、解放F値はかなり暗い。鏡胴は長めであり、かつ重い。しかし、レンズ自体の中央付近を使うためかも知れませんが、解像度や口径食においては良好な特性を示します。
昔のフィルム撮影においては、感度の高いフィルムを使う必要があったり、日中の照度が十分に採れる範囲での撮影であったりと、かなりハンディを負わなければならなかったために、活躍範囲が狭められていたのではないでしょうか。
しかし、今ではディジタル一眼レフの高感度画質が飛躍的に向上し、また高感度フィルムの粒度も細かくなって、それほど苦労はしなくなりました。三脚なしで使用できる自由度が広がった感じです。レンズ開発から半世紀を経て、改めて良さに気づかされるレンズと言えるでしょう。
タクマー200mmF5.6は、そこそこ暗いレンズですが、旭光学工業の開発した、初めてのテレフォト・タイプのレンズであり、円形絞りを採用した意欲的なレンズであると思います。
期待感多めで、試写をしてみました。


PENTAX K-5 Takumar 200mmF5.6
撮影データ:1/125sec F7 ISO400
天候は小雨で、あまりコントラストが高くありません。夏つばきの花も少し眠たく感じられますが、解像感は高く感じられます。


PENTAX K-5 Takumar 200mmF5.6
撮影データ:1/125sec F5.6 ISO1600
ひいらぎの花が春に咲き、今は実が付いています。周囲が暗く解放絞り付近ですが、解像感はかなり高いと思います。

天気が良くなったときに撮影すると、かなりコントラストの高い、抜けの良い画像を得ることができそうです。シャッター・スピードはあまり稼げませんので、微ぶれに注意する必要があります。開放付近で画像が柔らかくなりますが、少し絞ることで解像感が高くなります。円形絞りを使っているという事を活用して、絞って使用することが大切であろうと思います。今から半世紀ほど前に作られたレンズですが、かなりしっかりとした絵作りをするレンズと、感心させられた次第です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする