MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

聴くにはいいが…

2013-09-11 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

09/11 私の音楽仲間 (534) ~ 私の室内楽仲間たち (507)



              聴くにはいいが…




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




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               ゆっくりな楽章の難しさ
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              Schubert のコントラスト
                  伝え合う幸い
                  第三主題?
               牙をむく2本のチェロ
                 悟って楽しむ?
                  シューさん命
               音で閉じ込めた静寂
               ヴィーンの中継プレー
                  鎮静か暗澹か
                 年季が入ってるよ
                 聴くにはいいが…




 「ご希望の楽章はありませんか?」

 一とおり曲を通した後の、私の問いかけです。



 私たちの集まりでは、午後の4時間を2コマに分け、
アンサンブルを楽しんでいます。 その間に、お茶の
休憩があるので、1コマは2時間足らず。

 準備や後片付けの時間も必要ですし、休憩で話が
弾むと、時間はさらに短くなります。




 さて今回の曲は、シューベルトの 弦楽五重奏曲 ハ長調
室内楽曲としては長大で、50分ほどかかります。

 もちろん最初から手を着けますが、楽章毎に繰り返している
余裕は無い。 取りあえず、全曲を通すしかありません。



 そして、一ひととおり終わってから、先ほどの私
の問いかけがあったわけです。

 さてメンバーの反応は…? もし貴方が曲をよく
ご存知でしたら、予想してみてください。



 結果は…。 第Ⅰ楽章でした。 美しく、安定した
テンポの “Allegro ma non troppo”。

 そして、ごく僅かですが、さらに時間が余りました。
出て来た希望は、第Ⅱ楽章の一部。



 これ、今回に限ったことではありません。 いつも
人気がある、第Ⅰ、第Ⅱ楽章。

 反面、リクエストの出にくいのは、Presto、3/4拍子
の第Ⅲ楽章。 そして、2/2拍子の第Ⅳ楽章もです。
どうしてかな…?




 この第Ⅳ楽章、最初はそれほど速いテンポではありません。
Allegretto ですから。

 しかし最後は、Più allegro、Più presto と、二段構えで加速し、
興奮が高まります。



 「この楽章、こんな速いテンポでやることは、まずないです。」

 これは、あるメンバーから言われたこと。 今回ではありま
せんが、私のテンポについてです。



 (えっ! それ、どこの部分のこと? 最初? それとも
最後? まさか、出だしのことじゃないだろうな…。)

 日頃この場でも、「“Allegretto” が速すぎてはまずい」…
と書いている私ですから、気になります。



 この曲では、それが特に重要です。 なぜなら、「1、2、1、2」
…と型にはまったリズムや、最初から突っ走っるようなテンポだ
と、曲の雰囲気が出にくいから。

 激しい舞踏風のリズム、俗謡調の歌。 そして、最初は呟きに
始まり、やがて徐々に高まっていく、五つの楽器の呼び交わし。



 楽章は、狂乱のハ長調で終ります。

 この曲を書き上げて数ヶ月後、シューベルトは他界します。



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 演奏例の音源]は、第Ⅳ楽章の冒頭で、一部カット
してあります。 一度しか通していないので、冒頭から
“狂乱の楽章” になっています。 どうぞお赦しください。

 [譜例]は、いずれも Vn.Ⅰ のパート譜です。







 この間に30小節あります。









            五重奏曲 音源ページ