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ことばと学びと学校図書館etc.をめぐる足立正治の気まぐれなブログ

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シンポジウム「災害復興に役立つ情報活動とは」

2005年03月19日 | 知のアフォーダンス
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3月19日(土)に神戸の兵庫県立男女共同参画センターで行なわれたシンポジウム「災害復興に役立つ情報活動とは」に行ってきました。
 災害復興ということに焦点を当てて、その過程で必要な情報活動の在り方について話し合われたこのシンポジウムの模様は、神戸のIT企業有志がインターネット・ブロードバンド技術を持ち寄って行なっているインターネット・ブロードバンド放送局で見ることができます。現在は開会の挨拶とイントロ部分の「集められた震災資料」と題するスライドショーが放映されていますが、これから順次、シンポジウムの全体がアップロードされる予定です。

 比較的こじんまりとしたシンポジウムはパネリストの人選が適切であったこととコーディネーターの相川康子さん(神戸新聞論説委員)がパネラーの要点を的確に把握して歯切れのよい進行をされたこともあって密度の濃いものとなりました。
 震災当時同センターで電話による心理相談を担当されていた川畑真理子さん(とよなか男女共同参画推進センター相談担当主任)は、震災後の心理相談が情報とどう繋がっていたかという話をされました。目的を限定しない総合相談とすることで、どんな相談にも対応したが、受けた相談をただ聞くだけでなく、どう対処できるか、実際の生活をサポートすることにどう繋げていくかという課題に直面したこと。そこから「心のケア」ということを「役に立つ情報をきちんと伝えること」「現実的に対応すること」としてとらえなおす必要があると感じられたこと、などを話されました。
 つづいて市民が情報の担い手になるという視点からネットワークを作り「震災・活動記録室」で情報を残す、伝える、使う活動に取り組んでこられた実吉威さん(市民活動センター神戸理事長)は、復興住宅の供給に関する市の情報が伝わりにくいことから、噛み砕いて分かりやすく作り直す「手引き作り」「マップ作り」の活動を中心に話されました。行政から流される情報を分かりやすく伝えるというだけでなくて、行政に対しても市民の声を伝える双方向のコミュニケーションを行なっておられたというコーディネーターからの補足がありました。
 最後に、当時神戸大学で震災資料の収集活動を行い、「震災文庫」の立ち上げと公開準備にたずさわられた稲葉洋子さん(国立民族学博物館情報サービス課長)が、研究用に資料の収集・保存を行なうだけでなく、市民に使いやすい形で資料を提供するインフラの充実という視点から、その経緯とノウハウを詳しく話されました。会場では稲葉さんの書かれた『阪神・淡路大震災と図書館活動 神戸大学「震災文庫」の挑戦』(西日本出版社)を手に入れることが出来ましたが、一般書店では4月10日から市販されるとのことです。
 この後、フロアからは必要な人に必要な情報が届いたかどうかを把握することが必要ではないかといった指摘もありました。私自身は、1980年代に中尾ハジメさん(京都精華大学学長)が、『スリーマイル島』(新泉社、1981)で、私たちが朝刊でスリーマイル島の事故の記事を読んでたいへんなことが起こったと思いながら何も出来ないでいるときに、現地の人たちは日中で仕事に出かけており、家に帰ってテレビや新聞を見るまで自分たちのところで起こっていることが何も把握できないでいたという状況を描いてみせ、各地の集会などで問題提起を行なっていた頃から、この情報伝達の宿命とでもいうべき状況を情報化時代に生きる私たちに課せられた問題として胸に抱き続けてきました。打つ手は平常のときから講じておくことはいうまでもありませんが、あえて学校教育と結びつけると、それは情報教育の課題であるともいえるでしょう。

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