『君が代』の歌詞のなかで,多くの人がわだかまっている箇所として,「さざれ石の巌となりて」という文句がある.『君が代』を訳詞しようとする人は,このクダリで必ずつまずくのだという.曰く,小さな石が大きな岩へ成長することは科学的にありえない,と.
もっとも,石灰質の特殊な石が,長い年月をかけて大きく成長する例はあるにはある.この特殊な石は,『君が代』の歌詞にちなんで「さざれ石」と名付けられている.
しかし,『君が代』の歌詞をすなおに解釈すれば,作詞者の念頭にあったのはそのような特殊な石でなく,ごくありふれた小石だったにちがいない.したがって,これが大きな岩になるという文脈は,確かに非科学的である.
これには定石ともいうべき反論が存在して,どれだけ時間が経っても小石が巌になることはない,要するにそれだけ長く,すなわち永遠に「君が代」が続きますように,という文学的表現として成立しているのだという.
ここでは,数学的感覚から,この反論がまったく的外れであることを論じたい.
まず,時間の経過 t に対し,小石の大きさを表わす関数 f (t) を考える.小石はどんどん細かくなり,いつかは粉々になって消え去ってしまうのだから, f は収束しない単調減少関数である.「さざれ石の巌となりて」を数式化すれば,
f (t) = C f (0) ( C > 1 は定数 )
を, t の方程式とみなして解くということになる. t > 0 の前提からこの方程式に解は存在せず,したがってこれを永遠の比喩として用いることは適切でないのである.
代替案としては,時間の経過 t の増大に伴い収束する関数 g (t) ,すなわち,
limt→∞ g (t) = C ( C は定数 )
なる関数 g (t) が挙げられる.詩句としては例えば,「単振り子が(空気抵抗によって)完全に止まるまで」なんかが思い付く.この場合,単振り子の振幅 g は典型的な指数関数となる.
もっとも,石灰質の特殊な石が,長い年月をかけて大きく成長する例はあるにはある.この特殊な石は,『君が代』の歌詞にちなんで「さざれ石」と名付けられている.
しかし,『君が代』の歌詞をすなおに解釈すれば,作詞者の念頭にあったのはそのような特殊な石でなく,ごくありふれた小石だったにちがいない.したがって,これが大きな岩になるという文脈は,確かに非科学的である.
これには定石ともいうべき反論が存在して,どれだけ時間が経っても小石が巌になることはない,要するにそれだけ長く,すなわち永遠に「君が代」が続きますように,という文学的表現として成立しているのだという.
ここでは,数学的感覚から,この反論がまったく的外れであることを論じたい.
まず,時間の経過 t に対し,小石の大きさを表わす関数 f (t) を考える.小石はどんどん細かくなり,いつかは粉々になって消え去ってしまうのだから, f は収束しない単調減少関数である.「さざれ石の巌となりて」を数式化すれば,
f (t) = C f (0) ( C > 1 は定数 )
を, t の方程式とみなして解くということになる. t > 0 の前提からこの方程式に解は存在せず,したがってこれを永遠の比喩として用いることは適切でないのである.
代替案としては,時間の経過 t の増大に伴い収束する関数 g (t) ,すなわち,
limt→∞ g (t) = C ( C は定数 )
なる関数 g (t) が挙げられる.詩句としては例えば,「単振り子が(空気抵抗によって)完全に止まるまで」なんかが思い付く.この場合,単振り子の振幅 g は典型的な指数関数となる.
> limt→∞g (t) = C ( C は定数 )
>なる関数 g (t) が挙げられる.
>詩句としては例えば,「単振り子が(空気抵抗によって)完全に止まるまで」なんかが思い付く.
>この場合,単振り子の振幅 g は典型的な指数関数となる.