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A.ネルソンス+ボストン響=ショスタコーヴィチ「交響曲第11番」他

2017-11-04 | 音楽 - ショスタコーヴィチ
 夕方,フェスティバルホールにて行なわれた,A.ネルソンス指揮+ボストン交響楽団の演奏会を聴いた.めあてのショスタコーヴィチは,遅めのテンポで細部まで丁寧に描き出した演奏.ボストン響は,持ち前の力強いブラスセクションを中心に,高水準の技術に安定した充実のアンサンブル.ライヴゆえの単純なミスもごく少ないのであるが,曲目に対する不慣れのためか,休符の数え間違いによる飛出し事故が散発したのは残念.もっとも,これは分かりやすいキューを出さないネルソンスの棒にも原因があるだろう.そのネルソンスの曲作りはというと,各楽器間のバランスやテンポ配分を注意深く制御し,また,この交響曲の大きな魅力であるソロパートに対しても,細かなニュアンスを要求するなど,終始変化に富んだもの.ただし,フィナーレ冒頭での独特のテンポチェンジは,師匠ヤンソンスのそれに倣ったものと思われるが,これは笑ってしまうほどおマヌケな演出.

 なおこの曲,静かなシーンが多いが,それにも係わらず(もしくはそのせいで?),客席のノイズがやたら大きいのが気になった.止むに止まれぬものとは思えないような遠慮のない咳とくしゃみが響き渡り,最終音のあとも,鐘の残響は奏者がすぐに止めたとはいえ,早すぎる拍手が出るなど,お客の一人として気まずいことしきりだった.

 前プログラムのチャイコフスキーは,シャハムの清新ながらも自由な息遣いの独奏が目にも耳にも楽しい演奏だった.曲自体は,長ったらしくてやはり好きになれないけれど.


アンドリス・ネルソンス 指揮 & ボストン交響楽団
【演奏者】ギル・シャハム (ヴァイオリン),アンドリス・ネルソンス (指揮),ボストン交響楽団
【日時】2017.11.4 16:00-
【場所】フェスティバルホール
【曲目】
■チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
■J.S.バッハ: 無伴奏ヴァイオリンパルティータ第5番より (ソロアンコール)
■ショスタコーヴィチ: 交響曲第11番 ト短調 作品103「1905年」
■  〃  : 「モスクワ・チェリョームシキ」より (アンコール)
■バーンスタイン: オーケストラのためのディヴェルティメントより (アンコール)