人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの新刊単行本「アイネクライネナハトムジーク」を読みました。
発行元は幻冬舎で、2014年9月26日に発行された新刊です。台風19号が近づく中での“晴耕雨読”でした。
最新作「アイネクライネナハトムジーク」は6編の短編で構成されています。最初の「アイネクライネ」と二作目の「ライトヘビー」は、伊坂さんと親しいシンガーソングライターの斉藤和義sさんの楽曲「ベリー ベリー ストロング ~アイネクライネ~ 」の歌詞の元となった短編の連作だと、後書きに紹介されています。この2編に登場する若い男女の出会いと結婚した後の夫婦の日常生活が、この作品の進行役であり、様々な人生があることを伝えます。
個人的には第一作目に登場する事実上の進行役の織田一真が語る奇妙な感想などの発言と、二作目に登場するボクサーのウインストン小野の素直な感想が気に入りました。
この短編集を読み始めた時に、古いフランス映画の「輪舞」の構成を思い出しました。登場する人物がいろいろな意味で互いに関連する人生を送るという趣向です。想像するに、伊坂さんは、二番目の「ライトヘビー」に登場する、ふとしたきっかけで結婚した二人の人生を軸に、その後の連作を試みたと想像しています。一作目は2007年に、二作目も続いて書かれた短編です。
2011年に発表された三作目以降の短編によって、それぞれの短編がつながっていく趣向は、なかなかのものです。伊坂さんの筆力の高さを感じます。自分の人生を無邪気に楽しく生きる登場人物たちは、ふと結婚相手と出会い、恋愛し結婚し、家族を持ちます。家族の子供たちも自分の人生をそれぞれ生きていきます。多少、やや奇妙な体験をしながらですが。
最後の「ナハトムジーク」は、今回の短編集をまとめる書き下ろし作品で、各短編のつながりなどの謎解き編です。「ナハトムジーク」は謎を解き明かす分、面白くもあり、白けるものでもあります。何か大きな神の力で我々は生かされているものではありませんが、この短編に登場する主人公たちは、伊坂さんという“神”によって操られています。
この短編集の面白さは、二番目の「ライトヘビー」から適当に生きているようで、自分の人生をそれなりに“健気”に生きる“主人公”たちの日常生活での言動や行動などに面白さにあります。やや謎めいた行動の裏にある動機などが次第に明らかになっていく点が面白さです。
正直にいうと、6編の短編集の主人公たちの関係は、伊坂風にやや軽めに書かれているために、その関係をつかむために、合計3回読み直しました。この辺が伊坂さんの狙いかもしれません。三連休を楽しむことができました。第一作の美人主人公に聞こえたモーツアルトの「アイネクライネナハトムジーク」に似た音とは何かは謎のままです。これも伊坂ワールドです。
この短編集は傑作がどうかは議論がありそうですが、軽くて奇妙な味わいがありながら、とても気になる作品になっています。
発行元は幻冬舎で、2014年9月26日に発行された新刊です。台風19号が近づく中での“晴耕雨読”でした。
最新作「アイネクライネナハトムジーク」は6編の短編で構成されています。最初の「アイネクライネ」と二作目の「ライトヘビー」は、伊坂さんと親しいシンガーソングライターの斉藤和義sさんの楽曲「ベリー ベリー ストロング ~アイネクライネ~ 」の歌詞の元となった短編の連作だと、後書きに紹介されています。この2編に登場する若い男女の出会いと結婚した後の夫婦の日常生活が、この作品の進行役であり、様々な人生があることを伝えます。
個人的には第一作目に登場する事実上の進行役の織田一真が語る奇妙な感想などの発言と、二作目に登場するボクサーのウインストン小野の素直な感想が気に入りました。
この短編集を読み始めた時に、古いフランス映画の「輪舞」の構成を思い出しました。登場する人物がいろいろな意味で互いに関連する人生を送るという趣向です。想像するに、伊坂さんは、二番目の「ライトヘビー」に登場する、ふとしたきっかけで結婚した二人の人生を軸に、その後の連作を試みたと想像しています。一作目は2007年に、二作目も続いて書かれた短編です。
2011年に発表された三作目以降の短編によって、それぞれの短編がつながっていく趣向は、なかなかのものです。伊坂さんの筆力の高さを感じます。自分の人生を無邪気に楽しく生きる登場人物たちは、ふと結婚相手と出会い、恋愛し結婚し、家族を持ちます。家族の子供たちも自分の人生をそれぞれ生きていきます。多少、やや奇妙な体験をしながらですが。
最後の「ナハトムジーク」は、今回の短編集をまとめる書き下ろし作品で、各短編のつながりなどの謎解き編です。「ナハトムジーク」は謎を解き明かす分、面白くもあり、白けるものでもあります。何か大きな神の力で我々は生かされているものではありませんが、この短編に登場する主人公たちは、伊坂さんという“神”によって操られています。
この短編集の面白さは、二番目の「ライトヘビー」から適当に生きているようで、自分の人生をそれなりに“健気”に生きる“主人公”たちの日常生活での言動や行動などに面白さにあります。やや謎めいた行動の裏にある動機などが次第に明らかになっていく点が面白さです。
正直にいうと、6編の短編集の主人公たちの関係は、伊坂風にやや軽めに書かれているために、その関係をつかむために、合計3回読み直しました。この辺が伊坂さんの狙いかもしれません。三連休を楽しむことができました。第一作の美人主人公に聞こえたモーツアルトの「アイネクライネナハトムジーク」に似た音とは何かは謎のままです。これも伊坂ワールドです。
この短編集は傑作がどうかは議論がありそうですが、軽くて奇妙な味わいがありながら、とても気になる作品になっています。
一見軽い冗談のような伊坂ワールドは、なかなか奥が深いです。
仙台を舞台にした作品が多く、仙台市に行ってみたくなります。
作家はいろいろなモチベーションから小説を書くのだとも知りました。