ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

ソニーのパソコン事業部門から分離・独立したVAIOが事業活動を始めました

2014年07月07日 | 日記
 2014年7月6日発行の日本経済新聞紙の中面に掲載された「日曜日に考える」の中にある解説「VAIO 独立で復活期す ソニー離れ 240人の船出 パソコン市場停滞 脱却へ」を拝読しました。

 ソニーは自社の構造改革・事業再建の一環として、ブランド名「VAIO」で販売していたパソコン事業部門を投資ファンド会社の日本産業パートナーズに譲渡しました(一部、資本参加しています)。これを受けて、2014年7月1日に新会社VAIO(バイオ、長野県安曇野市)が設立され、新会社としてパソコン事業を始めたという記事です。



 ソニーのバイス・プレジデントからVAIOの代表取締役社長に就任した関取高行さんは「パソコン事業は再スタートラインに立てた」と話を始め、今後のパソコンの商品企画、開発、販路などを説明したそうです。

 関取さんは、ソニーの元構造改革担当バイス・プレジデントからVAIOの社長に転籍しました。

 関取さんは、今後も「パソコンはなくならない」と主張します。「スマートフォンやタブレット型情報端末が普及しても、何かを創造する作業ではパソコンが不可欠」と主張します。パソコンは成熟期に入り「パソコンはプロ向けに本質的機能や性能を追求した製品にしなければならない」といいます。そのことを「本質+α」というキーワードで表現し、プロ向けの一点突破の発想や審美眼を追求する」ことでパソコン事業を再建するそうです。
 
 新会社の初製品となるノート型パソコンは、ソニー時代のモデルをベースとした「VAIO Pro 11」「同13」「VAIO Fit 15E」という製品群だそうです。一般向けには7月1日から、法人向けには8月上旬より受注を開始します。

 現在、パソコンは全世界で1年間に約3億台売れています。そのパソコンの販売実績の上位5社は、中国のレノボ、米国のヒューレッド・パッカード(HP)、米国デル、台湾エイサー(Acer)、台湾エイスース(ASUS)だそうです。上位3社だけで、全体の半分近くを販売しているそうです。シェア面では、日本企業の出番はありません。

 こうした中で、日本企業としては善戦していると考えられるソニーは1年間にパソコンを約870万台販売していると推定されています。販売台数の規模がかなり異なるために、かなり独自の製品を販売するしか生き残り策はないことが分かります。

 ソニーから独立したVAIOの先輩としての事業戦略をとった企業としては、エプソンやパナソニックなどがあります。

 エプソンはだいぶ以前に、当時主流だったNECのパソコンの廉価版を出し、ある程度の販売実績を確保していましたが、その売り方が時流に合わなくなると、ユーザーから直接注文を受ける販売態勢に移行し、それなりに成功しています。

 また、パナソニックは売れ筋のノート型パソコンに製品を絞り、同時に周辺機器販売などの販売戦略に移行して、それなりに成功しています。

 パソコンは中国や台湾のパソコン企業が比較的安い価格帯のパソコンの汎用品を売る販売戦略をとり、これに真っ正面から対抗する手段がありません。高付加価値の製品をユーザーニーズに応じて販売していく、日本企業の製品戦略として、VAIOはしばらく注目を集めそうです。