AYAKO’s MOVING CASTLE

映画は楽しいね!

「森のなかの海」小説

2004年11月29日 | 小説
著者 宮本 輝(光文社)

阪神大震災の朝 希美子の運命は大きく変わろうとしていた。
赤の他人だった毛利カナ江との運命の糸が希美子の人生そして震災で家族を無くした少女たちの運命に絡み付くのだった。
被災した希美子と少女たちが亡きカナ江の人生を知るにしたがって これから自分がどう生きて行けば良いかを知って行く物語。

冒頭から震災の惨さに目を覆いたくなる。
実際経験した人にとっては こんなのまだましな描写だよと言われそうだが 惨い。
全体に 今回は宮本氏が国や行政に言いたいことが沢山あるみたいで そう言う話が所々に出てきて小説としては気になってしまうが いつもの小説と変わらず前向きに生きようとする女性の姿が描かれていていい。

毛利カナ江の人生が少しずつ少しずつ明かされていく。
最後のシーンでカナ江が旅館の主人夫妻に「ありがとうございました。」と深々と頭を下げるところは涙がとまらなかった。

宮本氏の小説は 30代の女性が主人公と言うのが結構多い。
普通に頑張って生きている女性。
それと時には信じられないほど気丈に生き続けている女性。
みんなひたむきに前向きだ。
もちろん男性が主人公の小説も沢山ある。
私はほとんど女流作家の小説しか読まないが(女性を理解しないで書いている男の小説家も多いので)宮本氏の描く女性は好きなのでみんな読んでいる。

今回の希美子は それほど好きな女性ではないが 頑固で自分を決して曲げない老婦人 毛利カナ江と言う女性にはとても興味をそそられた。
宮本氏の小説によく出て来る陶器が今回も重要な役割を果たしている。

宮本氏の小説を読むと「私ももっと頑張れるぞと思える。」から好きだ。


「森のなかの海」 2001年 書籍

「ハウルの動く城」劇場

2004年11月24日 | ☆☆☆☆映画
一番危惧していたキムタクの声はとても良かった。
美形のハウルにとても合っていて 本人の顔も浮かぶことも無く、物語に没頭できた。

作品としては それほどの感動作では無かったかなぁ。
ディズニーみたいに「冒険とロマンスとハッピーエンド」って感じ。
ロマンスがメインと言うと「耳をすませば」があったね。
「耳をすませば」は青春で「ハウル~」は大人の愛かな。
でも主人公が90歳のおばあちゃんというところが 宮崎さんぽくっていい。
ハウルが登場した時にソフィと空中散歩するのだけど このシーンがとてもワクワクして美しい。さすが宮崎さんです。

この映画で素晴らしいところは 出て来るキャラクターがみんな愛すべきキャラクターというところだ。
私は愛すべきキャラクターが大好き。
特に宮崎作品では 愛すべきキャラクターを求めてしまう。
「となりのトトロ」も出て来るものすべてが可愛いキャラクターだった。
そういう意味ではこの映画は最高のキャラが揃った。

ハウルは今までにない美形だし(ハクが大人になった感じだけど ほんと恰好いい。)、ソフィはおばあちゃんになっても前向きで可愛い。
マルクルは愛らしく やっぱり声の神木隆之介君がうまいから安心してみてられる。
荒地の魔女なんか 最高に可愛いおばあちゃんだし。
炎のカルシファーは炎なのにメインキャラだ。
ほとんどしゃべらない案山子のカブや犬のヒンがキャラとしてはとても立っている。
そしてなんと言っても「動く城」がいい味だしてます。

物語としては ちょっと期待の方が大きくて 悪くないのだけど 今までの作品と比べると 余韻が残らない って感じだね。
たぶん何度も観てるうちに気に入った作品になるんだと思う。

この作品に出て来る人物や城などは 声も含めて パーフェクトです。




「ハウルの動く城」 2004年 日本映画