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シリーズ深読み読書会「横溝正史の大ベストセラー!“犬神家の一族”」

2017-09-05 23:25:09 | テレビ感想
日本ならではの“本格探偵小説”を開拓した横溝正史。その最大のベストセラー「犬神家の一族」は何がスゴイのか?さまざまなジャンルの“文学探偵”たちが徹底的に読み解く

必読の作家・作品の魅力に迫る文学エンターテインメント。
今回は、日本ならではの本格探偵小説を開拓した横溝正史の代表作「犬神家の一族」。
信州の新興財閥の遺産継承問題に、複雑な姻戚関係、戦争による出征・復員が絡み合い、前代未聞のトリックが展開する!
安藤裕子(歌手・女優)や綾辻行人(ミステリー作家)など“文学探偵”たちが“秘密の読書会”を開催して徹底分析。
横溝ミステリーを“戦後文学の傑作”として読み込む。
【出演】安藤裕子,綾辻行人,道尾秀介,関川夏央,橋本麻里,【語り】角田誠二



横溝正史の小説は読んだ事が無くて、テレビなどの映像でしか観てなかったから、細かい処を見逃してて
三種の神器「菊・琴・斧』で金鍍金であり、実は天皇家をモチーフにしているとか
驚く様な情報が満載でした
何故神器を敢えて金鍍金にしたのか、一代で築いた成金であると表現したかったんだろうね。


時代背景も戦後直後で復員兵を登場させ、堂々と傷病兵を扱ったりとこの時代には考えられない事らしく
戦争嫌いであった横溝正史なりの復讐だったのではとか

あの「スケキヲ」が足をV字にさせて突き刺さってる衝撃のシーンは諏訪湖だった。意外にメジャーな場所だったのね
何でも懐かしい思い出の地を舞台にしたかったとか??

そうそう犬神家のモデルと言われた片倉家のご当主が、すごい迷惑そうだったのは笑ったわ
家は遺産相続でもめてないしとか言ってて本当によく番組に出て来てくれたと思うよ


犬神家の人間関係は「源氏物語」と類似点が多いと言う橋本麻里さんの指摘も斬新だったわ
光源氏を亡くなった当主の佐兵衛になぞられて語ってたけど、紫式部もびっくりして当惑してたりしてね
それにしても佐兵衛は何を考えてあんなパズルのような遺言書を作成したんだろうか?
自分の死後の一族の繁栄を願っていたとは到底思えないんだけどね
まあ、あの遺言状がなければ物語は始まらない訳だし、殺人事件が起こるにはぴったりのアイテムだけどね


横溝正史自身の生い立ちも複雑で、元々妾の子で先妻の子や後妻の子と一緒に暮らしてて
母親の顔も覚えていないらしい。子供達は皆腹を探り合いながら暮らしていたそうです
こういう幼少期からの経験が「犬神家の一族」のような小説を書かせたのね


父性愛を徹底して否定しオイディプス・コンプレックスで母性愛を神聖化していた
小説の中での金田一耕助は探偵ではあるんだけど、閉塞的な場に登場するトリックスターのような扱いだし
本人も現実にそういう人物が近くに居てくれたらなあと切望してたような気がします



とにかく情報が満載で、ただのおどろおどろしい推理小説だと思っていたけど
横溝正史なりの政府批判も込められていたとは考えた事もなかったし、本当にこの深読みは面白かったです



シリーズ 深読み読書会「ホームズの最高傑作!?“バスカヴィル家の犬”」

2017-09-05 20:13:35 | テレビ感想
ホームズ最高傑作は新手法を開拓した問題作だった!不気味な荒野、伝説の魔犬…細かく読み解くと違う結末・犯人が隠されている?さまざまな分野の“文学探偵”が徹底分析!

必読の作家・作品の魅力に迫る文学エンターテインメント。
今回は、ホームズ・シリーズ最高傑作と言われる「バスカヴィル家の犬」。
濃霧立ちこめる荒野、名家一族に伝わる“伝説の魔犬”…細かく読み解くと、結末の犯人以外に別の殺人者が見つかる?
奇妙な登場人物や魔犬はホームズの分身?実は文学史上最大の“未解決事件”だった?
さまざまなジャンルの“文学探偵”たちが徹底分析、世紀の古典ミステリーに遠慮会釈なく切り込む!

【出演】綾辻行人,有栖川有栖,島田雅彦,鈴木杏,橋本麻里




再放送をされていたのを偶然見つけて、録画して観てみました
ミステリー作家の綾辻行人や有栖川有栖の顔を見れただけでも儲けものって感じです


元々コナンドイルは歴史小説を書きたかったらしく、ホームズに人気が出た事が不本意で
悩んだあげく「最後の事件」で宿敵モリアーティ教授と滝壺に落ちて死んだことにします


しかし読者からの猛烈な抗議に合い、8年後に「最後の事件」よりも前に起きた事件としてホームズものを執筆しました
それがこの『バスカヴィル家の犬』です

この本は多分私も読んだと思うけど、結局犬が人間を襲ったの?どうやって操ったのか?など謎が多くて
犯人も本当にその人かどうか怪しいとワトソンは訴えるのだけれど
最後はホームズもワトソンにまあそんなことよりもオペラを楽しもうなんて言って誤摩化してしまう


登場人物にモーティマーと宿敵モリアーティ教授と名前の良く似た人物がいるので
黒幕はモリアーティ教授ではないかと綾辻氏と有栖川氏が番組で主張してしてた
この話が「最後の事件」よりも前と考えればなくもないのかなあ?


正直ホームズっていきなり犯人が出て来る感じで、ミステリーとしてはイマイチなんだよね
だから冒険活劇だったり、ホームズとワトソンの関係性、なりよりもホームズそのものの魅力があっての面白さだと思う
この作品はホームズとワトソンが出ずっぱりなのが読者にとって何よりも良かったらしい
(最初は先にワトソンを視察に行かせたと見せかけて、ホームズもこっそり現地入りしてた)


結局コナンドイルはホームズを生還させて本格的に復帰するんだけど、これがホームズの神格化につながった
という島田氏の例えは面白かった。死んで生還したのはキリストだけですよ、とね
死んだと見せかけて生きてたって話は案外多いと思うんだけど、これが最初だったのかな?


コナンドイルは最後にホームズには感謝してると述べています
自分が本当にやりたい事と世間が求めているものとのギャップがあって、それでも作品は自分の分身みたいなものだからね
色々な葛藤はあっても満足した人生を送ったようなので良かった思いました



ところでこの深読み読書会、すごく気に入りました
横溝正史の「犬神家の一族」もかなり良かったようなので動画で観てみました
機会があればまた感想を書きたいと思います