客を激怒させ、プロジェクトを3週間遅延させた悪文の事例。
T株式会社はDelo 社の NetBaca を導入するため、以前より利用していた HX 社のデバイスの後継製品(ScoreOnce)を導入する予定で機種選定を行いました。(ほとんどイニシャルトーク)ところがこの後継製品、余りにも新しすぎて Delo 社では NetBaca での動作実績が記載されていない。という事で、HX 社での社内評価を尋ねた結果がこれだ。
-ここから-
T株式会社
システム担当主任
島謙作 様
いつも大変お世話になっております。
日本hx 営業本部
齋藤某 と申します。
弊社のテレマーケットのメンバーよりエスカレーションを受け、本メールを差し上げ
ております。
この度はHX ScoreOne の導入をご検討いただきまして誠にありがとうございます。
ScoreOneとNetBaka システムの動作検証結果がわかる資料のご要望をいただいている
とのことでしたので、下記資料のURLをお送りいたします。
資料の7ページ目に、ScoreOne の各VersionとNetBacaのVersionの対応表が掲載さ
れておりますのでご参考にして頂ければ幸いです。
http://www2.hx.com/hpsc/doc/public/ja_JP
どうぞ宜しくお願いいたします。
--ここまで--
この斎藤某は「資料はある、このURLのこの部分を読め」と言っているに過ぎない。こちらとしては要件を全て明らかにして問い合わせているにも関わらず、資料を出しただけで、その資料のどのポイントを見て、どの様な判断をすればよいかを全く明確にしていない。こちらとしては「動くか動かないか」の実績を尋ねているだけなんだけど、その結果の判断を、資料を提出して、判断を顧客にゆだねている訳ですね。
100歩譲って、テレフォンアカウントとか間の代理店との連絡の行き違いがあったかも知れない。しかしHX社の代表として回答を出しているなら、もっとしっかりした回答をすべきである。大手ITベンダーにありきたりな、ベルトコンベアー式、無責任、流れ作業、責任はワシ持たンもんね的な回答である。
これでHX社の評価が顧客内で大きく下がったことは言うまでもないし、顧客の機種選定が混乱して、他社製品を導入しようか、という判断にまで広がってしまったのである。何しろ、この1月に新社長に代わった HX 社、業界内部ではエラク評判が悪い。ワタシも一度会ったことがあるけれど、セールス能力もエンジニアリングセンスもない、ただのマーケット屋だ。
本来であれば、
「このマトリクスによれば、Y軸とX軸で一致するので、お客様のご要望にはほぼ問題ないと判断できます。ご不明な点は改めてお問い合わせください。調査します」
とでも書けば、それで済んだ所なのだけれど、判断を全て顧客に委ねてしまったことで、顧客の疑心暗鬼がさらに深くなってしまった悪文事例である。
根拠を示して、結論を述べる事は重要であるが、根拠だけを示して判断を出さないのは最低だ。まして判断を出さずに暗に顧客に判断させようとするのは完全な責任逃れである、とワタシは思ふ。
おかげでシステムの導入時期が3週間遅れてしまった。
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