ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

不便な貨幣敬遠 電子マネーが駆逐 っていうけど

2006年05月05日 | 雑記
ちょっと古いが4月5日付け日経で、「不便な貨幣敬遠」として、電子マネーが50円と5円硬貨を駆逐しつつある、というような記事が出ていた。

いわく、貨幣(硬貨)の流通残高は前年同期で100円は増加、500円と10円は横ばい、50円と5円が減少に転じた、その理由は電子マネーだ、とほぼ断言している。

しかし、生活者の感覚として、電子マネーの利用が通過流通量に影響を与えるほど拡大しているとはとても思えない。
そもそも腑に落ちないのは、なぜ5円と50円だけが減少するのか、である。
スイカの発行枚数が1800万枚。しかし、スイカの決済は大部分が電車賃とキオスクだと思う。どちらも、10円単位の値付けだからもともと5円玉は関係ない。

エディの利用は1500万件/月程度だろう。前年同期との差で言えば、多分1000万件程度だろうか?
わが国の小売店でのお金のやり取りの総数なんて、あまり想像もつかないが、一日一回買い物をすると仮定して30億回/月。自動販売機利用などを入れれば、もっと多いだろう。ということは、1000万件は0.1~0.2%といったところ。

もうひとつ。日銀の統計をみると、実際は通貨流通量は全国的に減少しているのだ。
確かに東京、大阪の落ち込みが大きいが、電子マネーが普及しているとは思えない地方でも減少している。

もちろん、電子マネーに限らずネット販売やクレジットカード決済など、現金決済からのシフトは大きなトレンドとして存在するだろう。

しかし、私は消費税内税化による影響も大きいと思っている。

980円などのいわゆる98価格は、外税表示の時には実際の支払額は1029円だったが、内税移行後、小売店は内税表示での98価格を採用し始めた。
移行直後はそのまま小売店の利益ダウンになってしまうためできなくても、次期商品は内税98価格を前提に企画されるようになる。
さらに外税時代は100円のものは105円、1000円のものは1050円だったが、最近税込み100円、1000円に変りつつある。
それが定着しつつある、ということではないのだろうか?

いずれにしても、電子マネーをことさら過熱させようという報道に思えてならないし、WEB上のさまざまな論調がまったく疑うことなくそれを支持しているのも、不気味である。

スマートICを使ってみた

2006年05月05日 | ITS
一昨日、関越自動車道の駒寄PAに設置されているスマートIC(インターチェンジ)を使ってみた。
スマートICはETC専用の簡易型出入り口で、現時点では「社会実験」の位置づけとなっている。利用は軽・乗用車に限られ、深夜の利用はできない。

駐車場の出入り口のようなゲートでETCが認証、課金される。

このスマートICは、当たり前の話だが、そこを使ったほうが便利なユーザーにはとても便利なものだろう。
というか、ETCで集金係員が不要ならば、すべてのPA,SAに設置すればいいと考えるのが普通だろう。

なぜ「社会実験」などという、ちょっとまどろっこしいやり方で進めているのかといえば、交通量増大に関する地域住民との問題だ。
もともとICとしてのアセスはされていない場所で、IC設置によって事故が増える、騒音が増えるという道路に面した住民からの苦情や反対が起きる可能性は高い。

社会実験ということでスタートし、地域住民が利用することで賛成派を増やして、なし崩しに反対派の意見が出ないように持ち込む、というシナリオが見え隠れする。

まあ、社会インフラ的にはスマートICでもなんでも、高速の出入り口は多いほうがいいに決まっている。
そういう意味ではまったく異論を唱えるつもりはないが、実際に駒寄PAの出口にしても、農地のなかの普通の道路で交通量が増大することには耐えられそうにない。

正攻法で、きちんと周辺道路を整備し、正式にICとするほうが余程すっきりしていると思うが、予算や環境の問題で難しいのだろうか?