フルート吹きの物思い

趣味のフルートと、それに関わるもろもろのこと。

夫婦げんかとオーケストラ・ウイドウ

2005-04-29 | 吹奏楽、管弦楽&アンサンブル団体
アマチュアオーケストラには、オーケストラ・ウイドウという言葉があるという。
昔、ベース(コントラバス)弾きの友人がから聞いた。

今となっては真偽は定かではなく、内容もかなりあやしいが、こういうことらしい。
 (うそだったらごめんなさい)

アマチュアオケのベース弾きは週末がすごく忙しい。ベース弾きは自分の楽器と仲間をとても愛している(どの楽器でも同じだけれど)。ベースは人口が少ないので、エキストラとしてもあちらこちらから声がかかる。
すると当然、自分の楽団の練習のみならず、他楽団の練習もあり、多忙を極めた週末となる。

なので、ベース弾きと結婚しても未亡人(ウイドウ)と同じである。

だからといって、ベース弾きの離婚率が高いとか、そういうつまらないおちではないようだ。

・・・なんとも、人口過密で、引く手ほとんどなしのフルート吹きからすると夢のような境遇ではある。


このようなベース弾き、夫婦喧嘩にはならないのか。
ベース弾きは、その体中から発散する独特の魅力で、そのような事態は回避されるのか。
いかりや長助の、ベースを弾いてる姿で出たCMはめちゃくちゃかっこよかった。


そういう私の最初の夫婦げんか。
今思い出したら、ちょうど1年前に書いていた。

・・・・・独身女性の皆様。オケ関係者とは結婚しようなんて思わないほうがいいかも。
・・・・・毎年毎年、同じことを考えてる私。進歩ないんだ。


というわけで、今年の連休もまた、blog休止にはいりまーす。

フルートの造りと性能6 その他もろもろ

2005-04-26 | フルート本体
その他、つくりに関して普段から気になっていることなど。

・ポイントアーム

キーを閉めるのに、ポイントアームによって上からの力で閉まるのと、そうではないもので(名称不明)横からの力で閉まるのでは、キーの閉まり方が違うので音にも影響するという。えー! そんなに違うの? ほんとなの? と思う。
ただ、ルックスは全然ポイントアーム仕様のほうが良いので、多少ならば高くても、私はポイントアームを選ぶ。

・座

キーポストを取り付ける部分のプレート。安いものは、金属プレートそのままであるが、楽器のグレードがあがると端の部分が斜めに面取りされる。メーカーによっては、面取りが直線ではなく、柔らかなカーブを描いている。これは手間がかかりそうだ。トーンホールの逃げの部分も滑らかな曲線がつながり、よくぞここまで、とため息がでるほど手間暇かけて仕上げられてものがある。

・バリ

楽器の接合部分にはバリがある。バリ取りに手間がかかるのはわかるが、新しい楽器は痛いのでもう少し丁寧にとってほしい。

驚いたのは、トーンホールにもバリがあるということ。引き上げ加工で持ち上げられたトーンホールは、加工直後にはどうしてもきれいな平面にならないらしい。そのため、ほんの少しではあるが、トーンホールの平面を出すためにヤスリ?でなめるそうである。

その時に、バリがでる。

国産メーカーでも、トーンホールのバリがばりばりにあるものがあって驚いた。おいおいほんとかよ。ちゃんと作ってよ。そのメーカーのものは、このバリでタンポのフィッシュスキンを破ってしまうのではないか心配しなければならないほどである。購入前には是非トーンホールの内側も確認されたし。

このトーンホールのバリは、丹念に手間をかけてキサゲで削って仕上げると、タンポの閉まりがよくなり、楽器の鳴りが格段に向上するとのことである。


メッキによってもバリ状のものができるらしい。電気メッキの性質上、とがった部分にはより厚くメッキがのる。この現象によって、例えば頭部管の唄口部分に微小な見えないぐらいのバリができる?とのこと。唄口近傍にできた微小なバリ、というかでこぼこは、息の通りに予想以上に大きな影響を与えている。

この、唄口の見えない程度のバリを取り除くことによって、楽器が嘘のように軽く鳴るようになるのを実際に体験した。

恐るべし、唄口チューニング。
間違っても自分でやろうなどとは考えないように。

・巻き管

いくつかのメーカーではハンダ付けモデルのオプションとして、巻き管(シーム管、シームド管)仕様というのがある。

通常、フルートメーカーは田中貴金属からチューブ状になった銀を購入するらしいのである。
なかにはわざわざドイツの金属メーカーから、このチューブを購入するという酔狂な?日本メーカーもある。いやぁ、こういう一見つまらないこだわりってなんか共感するなあ。

この状態で納入された銀は、管体に継ぎ目はない。
シーム”レス”管とも言われる。

巻き管というのは、一枚の銀の板を、たたいて丸めてチューブにしたものである。この作業が非常に大変らしいのだが、メーカーによってそのオプション費用にいろいろあるのが不思議である。
ちなみに、巻き管では継ぎ目の部分が弱いために今のところトーンホールの引き上げ加工ができない。従って、ハンダ付けモデルしか存在しない。

この巻き管、材料の板を「たたく」という作業からか、継ぎ目があるということからか、音色や吹奏感に独特の効果がある。もともとは、ルイ・ロットなどオールド楽器への回帰から始まったもの言われる。クリアで色彩感があり、遠達性の高そうな音色は、好きでお金を出して購入する人にとって十分な満足感を与えるだろう。ただ、ほんのわずかに反応が遅くなるように思う。

私は、長く某メーカーの巻き管の楽器を使っていたが、数年前からはシームレス管の楽器(要は、普通の楽器)をメインに使っている。
私が以前習っていたフルートの師匠は、私が楽器が買うときのアドバイスとして、「予算が許せばハンダ付けが良いが、巻き管は不要」とおっしゃっていた。当時の私はそのアドバイスを半分だけ聞いた事になるが、結局それから8年以上たって、師匠のアドバイス通りの楽器を使う事になった。

だからと言って巻き管を悪いとは決して言わない。

たとえば、アキヤマフルート製のヨーロピアンオールドというモデルの巻き管仕様はとても良かった。シーム管のヨーロピアンオールドは、私にとっては??という感じであったが、巻き管モデルは「そっかぁ、私でもこんな音がでることがあるんだー」というほどの感動。これは、ちょっと古いヘインズ以来の感覚であった。そのヘインズはとてもあまーい音が良かった。これに対して巻き管のそれは、なんというか、雨後の虹のような爽やかさ。

アキヤマフルートには、巻き管というだけでなく、古いヨーロッパのスプーンを溶かして、それを広げて丸めたという、これ以上ないと思えるほどディープなものがある。

試奏の機会があったが、私には手強すぎた・・・・・・・・・・・・


・ストロビンガーパッド

ストロビンガーとか、村松の新しいタンポ。新素材が用いられている。

これを用いると、音色や吹奏感がだいぶ変わる。あの、湿ってじめじめとした音が出る、ムラマツの今はなき名器、AD。これがある日、試奏したら嘘のように明るく反応の良い音が出た。なんか妙だ。

店の人に、ムラマツって変わりましたねと言ったら、どうやら新しいタンポに変わった影響だという。賛否は両論のようだが、私は「嫌い」に一票。

私に入ってくる情報では、新しいパッドは好きでないというのが主流である。ストロビンガーパッドの普及している(?)海外ではどうなのだろうと思うのだが、どうやら外人さんは好きとか嫌いではなくて、「気にならない」のだという。

うーむ。ほんとかなー。
だって、ぜんぜん違うじゃん。

これらの新しいタンポは、デルリンや金属をサポート材に使っているので、タンポが安定して調整がやりやすいということが作り手側の利点。


ムラマツが新タンポを導入している。

ムラマツは、最高級SRモデルに調節ネジをつけてしまったり、SRをはじめとする手のかかるモデルは納期が異常に長かったりと、どうやら手間のかかるモデルを作るのが嫌いと見える。
それでもネームバリューがあるものだから、みんな愚かにも待ってしまうし、新タンポへの移行も強引に進めることができたのだろう。

まあ、製品は進歩・進化があって当然なので新タンポへの移行は悪いことではないし、もしいいものであるならば、私の楽器にも入れたいといつも思っている。


ただ、一つ気になる話を聞いた。

新タンポは調整が容易であるため、従来のフルートを調整する技術を持った職人が育たなくなるというのである。少なくともムラマツからは、世界に通じるフルートリペアマンを排出することは、今後なくなるだろう。

オールド楽器を良い状態に保つことのできるのは、今後数十年だけになるかもしれない。
もしかしたら今使っている楽器は、自分達が死ぬ頃には誰も調整できなくなっているかもしれない・・・・・

フルートの造りと性能5 造りの良さと人件費2

2005-04-24 | フルート本体
私は昔から疑問に思っているのだが、はたしてつくりがよく手間がかかっているほうが、本当に楽器としてよいのだろうか。
ここでの手間とは、トーンホールの半田付けとかそのアンダーカットのように、いかにも音に関係しそうで手間もかかる部分を言うのではない。

もちろん楽器は工芸品としても美しくあるべきであるが、もし音に関係ないのであれば、どこまで手を抜けるのであろうか。
一見音と関係なさそうな部分を美しく仕上げることが、どこまで楽器の「道具」としての良さに影響するのだろうか。


例えば、世界的に評価の高い、米国パウ○ル社のフルート。

先日、一番安い(といっても、とても高価)モデルを試奏する機会があったのだが、このとき非常に驚いた。
なんと、ノックピン(キーを連動させるためにパイプと心金を固定するピン)が上下方向共に出っ張ったままである。しかも、これが演奏中でも時々指にあたって痛い。

私が高校生の時に使っていたヤマハのピッコロは、やはりこのノックピンが出っ張ったままであった。普段は影響ないのだけれども、ドリル(マーチング)の練習で楽器を構える時に、このノックピンで指を切った覚えがある。

あぶないんだよね、ノックピンは。

ちなみに、私の使っているサンキョウは、上下ともに「ちゃんと」切られ、その存在が目立たない程度に削られている。

これは、つくり(仕上げ)ののよさは楽器のよしあしにあまり関係しない面があるだろうという一例である。
単にアメリカ人がおおざっぱなだけ、国民性の違いという言い方もできるが。


日本のフルートは、総じて上級モデルになるほどキーのつくりに手間がかかってくる。下のモデルではキーの裏側は特に何もしていないが、上級モデルではしっかりとバフがけされてきれいになっている、などである。

最高級のものでは、どうしてそこまでと思うほど細かい部分の仕上げに手間がかけられ、そしてお値段もずいぶんお高くなっているものがある。

これらの中には、必要な手間、ユーザーがうれしく感じる手間を通り越して、職人のマスターベーションの領域に踏み込んでいるものはないのだろうか。
また、本当は手間をかけてほしいのだが、どうしてもコストの問題でできないものもあるのではないだろうか。

フルートの造りと性能4 造りの良さと人件費

2005-04-22 | フルート本体
フルートの値段を決めているもので、ややこしいのが「つくり」の良さである。

メーカーによっては、銀の使用箇所(頭部管のみ銀など)が同じでスペック上同じグレードに見える楽器でも、2種類(かそれ以上)のラインアップがあることがある。

同じ頭部管銀モデルでも、例えばヤマハのように片方はやや単調なデザイン、他方は多少凝ったデザインが採用されている場合はまだわかりやすい。凝ったデザインの方が、言われてみれば高級そうな感じである。そして凝ったデザインのモデルのほうが、手間がかかっており全体に精度が高くて耐久性が良いという。その分、値段が上がっているという論法である。

まあ、あり得る。

ところがなかには、素人が見ただけは区別がつかないのに二つのモデルがあるメーカーがある。値段もそれなりに違う。なぜなんだろう。不思議に思ったので、あるところで聞いてみた。

実は、安い方は台湾製、高い方は日本製だという。
おお、なんとわかりやすい。
人件費の違いって大きいんだなあ。

じゃあ、同じ仕様で値段が違うだけなのなら、当然安いほうのモデルがいいですよね?
要するに、Made in Japan を気にするかどうかというだけの問題なんですよね?

そのように問い詰めてみた。
すると、そこには微妙に違いがあるらしい。

まず、微妙に設計が違う。たとえば、座(キーポストが立っている部分)の高さが少し違うという。よーく、よーく、目を凝らして見比べてみると、確かに台湾製のほうがびみょーに高い。そのほうが組み立て易いらしい。海外生産向きということなのか。

座の高さが違えば、当然楽器を持った感触が違うらしい。どっちが良いかは個人の好みという気がするのだが、少なくとも外人さんには全く感じない程度の違いということである。こういうことが気になる(わかる)のは日本人ぐらいだとか。

それから、台湾人の工員よりも日本人の職人の方が、愛情を持ってフルートを作るのだという。そのような事情で品質に差があってはユーザーとしては困るけれども、やはり手作りのものは日本製が一番であってほしいという願いもあって、なんとも複雑な心境ではある。


次回へ、つづく。

BeatJamとHi-MD

2005-04-21 | 関連グッズ
以前、Hi-MDの仕様について不満があるという趣旨の文を書いた。
自分が自分達の演奏をマイク録音したにもかかわらず、複数回PCに転送できないのというのは納得できないという内容である。
http://blog.goo.ne.jp/magicflute/e/9fbdd705038a955d35d0b9918353993c

その奇怪極まりない仕様に気がついてからは、大枚をはたいて購入したにもかかわらずあまり使う気にならないでいる。高い買い物であったからこそ、気持ちよく使いたいのだ。かわいかったからこそ、憎さ1000倍。

サンヨーのMP3対応ボイスレコーダーか、いまだに入手困難なローランドのR-1の購入を真剣に考え始めている。

自分で録音したものに対して、PCに転送して自由に加工して利用することさえできないというユーザー不在のなめきった仕様にたいして非難の声が上がるのは当然である。その後、とってつけたようにWAVコンバージョンツールをダウンロード可能にした。そこまではまあ、許す。

しかし、マイク録音でさえ、たった一回の転送で終わりである。

そんなことは、ぜんぜん事前にわからなかった。発表文のどこかに書いてあったのかもしれないが、保険証書の裏面とおなじで、気がつかないように意図されていたとしか思えない。私が気がついたのは、あの検索しにくいソニーホームページの、SonicStage紹介文の、そのまた奥深くを読んだときである。

あほたれ、そういう重要なことは一番最初に書け。


心にわだかまりをもちつつも、まあいいやと割り切って使えるもの代表は、100円ショップでの購入品である。Hi-MDは、「安かろう、もしかすると悪いかもしれない、あわよくば満足度高し」の100円ショップに遠く及ばない。良いところばかりを主張して、生禄という、いまとなってはニッチな?ユーザーにたいしては、「かゆい所」に爆弾を仕掛けている。

なんて、家の片隅にころがっているHi-MDが視界にはいってしまうたびにハラワタ煮えくりまくり、血圧急上昇の私ではある。高価であったがために、捨てるに捨てられない。早く、ソニーもユーザー軽視、DAT失敗のトラウマ出まくりの状態から脱してほしいものだ。


そんな悶々としたある日、あの徳島のジャストシステムの音楽管理ソフトBeatJamがHi-MDに対応したとの記事を目にした。もちろん、著作権侵害なんてあるわけのないプライベートなマイク録音のPC転送回数制限についてのコメントなんて、プレスリリースや製品紹介記事に書いてあるわけがない。

期待を持ってはいけないのは十分承知しているのではあるが、もしかしたら、あの横暴なマイクロソフトのアメリカ文化ごり押しのWordに対して、劣勢ながら日本固有の文化を堅持するために孤軍奮闘しているジャストシステムさんなら、ニッチなユーザーの淡い期待にこたえてくれるかもしれない。そう思った浅はかな私であった。

早速、ジャストシステムにマイク録音のPC転送制限について質問メールを打ってみた。
結果は、予想通りのものであった。


以下、一部引用・・・

「BeatJam 2005」につきまして、Hi-MD機器からマイク録音した音声を転送することができますが、残念ながら、Hi-MD機器から、権利情報をパソコン側へ受け渡す仕様となっており、パソコンへ転送後、他のパソコンへの再転送ができません。

・・・引用終わり。


私は、まったくジャストシステムの悪口を言うつもりはないのでそこは強調しておきたい。

それどころか、今回のやりとりは驚くほど迅速であったし、ここには引用していないけれども、文面全体も丁寧なものであった。

今この文面を書くに当たってはマイクロソフトIMEを使ってはいるが、やはり日本人としてはATOKを使わねば、と気持ちを新たにしている。

ジャストシステムさん、絶対にATOKを近々購入します!
ちなみに、私はATOK正規ユーザではあるけれども、それはMac版なのでした。

ついでながら、アホなソニーに顧客理解のなんたるかを教えてやってくださいまし。もしもBeatJamのバージョンアップで、ソニーに先んじて、「善良なユーザーの普通の欲求」にこたえるような仕様が実現するならば、よりいっそうの顧客満足度向上間違いなし。でございます。

フルートの造りと性能3 キー材質について

2005-04-20 | フルート本体
木製のピッコロには、キーメカニズムが洋銀のものと銀のものを選べるものがある。キーが銀だととても良いと、なにかの本で読んだ記憶がある。機会があれば確かめてみたいと思っているのだが、本当なのか? あまり木製の楽器では変わらない気がするのだけれど。

そもそもピッコロは苦手なので、その違いを感知できるだけの演奏技術がないかもしれない・・・

ヤマハの木管フルートは、銀製のキーである。ピッコロみあたいに、洋銀よりも銀製メカニズムのほうが音色や吹奏感に優れるのだろうか。それとも、高級フルートは銀、という固定観念から抜け出せず、マーケティング判断で銀製のキーになっているとか??

ところで、クラリネットのキーには洋銀が使われている。クラリネットのキーに銀が使われているというのは聞いたことがない。

木製の楽器でキーは洋銀より銀が優れているとするならば、クラリネットに銀のキーが使われないのはなぜ?。本当は使いたいけど、コストや強度で無理なのか? 単純に、音に差がないか、洋銀の方が好ましい結果が得られたからなのか。

ヤマハの最上級クラスのクラリネットでは、キー材質も吟味した旨の記述を読んだような気がする。やはりキー材質も多少は影響するのか。
もし銀製キーメカニズムのクラリネットが存在するのならば、是非吹き比べてみたい。

買わないけど。

フルートの造りと性能2 フルートの素材

2005-04-19 | フルート本体
本当に洋銀は安物楽器用の素材なのか。

フルートだと、安物に使われる素材の洋銀。これは、良くない低級な金属なのか。

洋銀というのは、パイプオルガンに使われている素材らしい。吹き方によっては、あのぐらい壮大に鳴ってくれるはずなのだろう。

フルート界での大御所であるモイーズという奏者は、カバードキーの洋銀製フルートを使っていたというのはその方面では超有名な話。ケノン(クエノン)というメーカーのものらしい。

私がフルートを習っていた先生が、モイーズモデルという、このモイーズが使っていたのと同仕様らしい楽器を(某楽器店のだまされて??)購入したという。そこで一度吹かせていただいたのだが、なんというか、少なくとも私にとっては全く良くない、という感じであった。
ただ、キーメカニズムには、指の位置や高さを調整するためにいろいろと貼り付けてあるのが面白かった。でも、私にとってはただそれだけ。今、改めて吹いてみると違うのかしら。

だからといって、洋銀がダメとは決して私は言わない。

以前、ヤマハのYFL-211という、購入当時ヤマハで最も安かったフルートを持っていた。洋銀製で、銀メッキなし、というものだった。

洋銀製だと、メッキなしはかなりつらい。すぐに腐食して汚らしくなってしまう。汚くなり方はハンパではない。ちょっとさわると手に金属臭がついて大変。
現代日本の工業製品として、これはちょっとあり得ないでしょう、という感じ。
現在のヤマハのカタログをみると、さすがに洋銀の銀メッキなしモデルはなくなったようである。ただ、メッキなしの方が音色が良いという説(?)があるみたいなので、少し残念ではある。
メッキではない、なにかの表面処理で音色に影響を与えず腐食防止はできないのだろうか。ねえ、ヤマハさん??

しかしこの211、音はとても良かったと記憶している。パッと華やいだ明るい音が出るし、反応も良く演奏性はなかなか好ましいものがあった。価格対性能比で見れば、おそらく世界一ではないかと今も信じている。

しかし問題があった。腐食は我慢する。本管が曲がっているのもご愛敬(トーンホールを引き抜きで作る楽器は、引き抜き時の応力が管の同じ側に残るため、時間がたつと反ってしまうことがあるそうだ)。しかし困ったことに、だいぶ古くなったためか調節ネジがすぐに動いてしまい、演奏中はドライバーが欠かせない。調節ネジをネジロックで固定してもだめ。何か根本的にメカのつくりが良くないのではないだろうか。調整してもすぐに音が出なくなってしまうので、音がどんなに良くても、道具として使い物にならなくなってしまった。

その時わかった。安いものはスチューデントモデルとも呼ばれるように、在学中の3年間、何とか持ちこたえればいい、という程度の精度で設計・製造がされているのだろう。
もったいないなあと思った。あの値段で作るのだから仕方がないのだろうか。

となると気になるのが、つくりの良い「使える」洋銀フルートはないのか、ということだ。
そのようなものは、もう見つけることはできないのか・・・?


それが、見つけてしまったのである。

数年前のことであったが、私の良くいく楽器店。特価品で半額!!のフルート。これはなんだろうと、ショーウインドウを覗き込んで見た。残念ながら(?)頭部管は銀製であったのだが、よく見るとなんと、洋銀製の胴部管に半田付け(!!!!)トーンホールがついている。びっくり。そんなものがあったのか。

そのハンドメイド洋銀(正確には頭部管銀)フルートは、知っている人の間では有名なハンドメイドメーカーのサクライ製。店にオーダーが入って注文したのだが、キャンセルになったものだという。なんでもない町の楽器店では、ネームバリューがないぶん売りにくいらしい。

それではと、即試奏。

さすがにハンダ付けモデルのことはある。音がクリアで、強く息を入れても全く破綻しない。すごいなあ。いいのか、この値段で。

と思ったものの、頭部管が気に入らなかった。音に変化がつかないなあとよく見てみると、アンダーカットがすさまじく、唄口の中がずっぽりと広がっている。ここらへんが初心者向モデルということなのだろうか?? 惜しい!

ちょっとまて。頭部管なんて、別に買えばいいじゃん。それうしたとしても、まともに頭部管銀のフルート買うより安いぞ。あ、サクライさんに洋銀で頭部管作ってもらってもいいじゃん。などと妄想が頭の中を巡った・・・・が。

よく考えてみれば、当時は、まだフルート買ったばっかりだった。
また欲しいとか言うとカミさんに殺されるな。

 ということで、あえなく断念。
 それにしても惜しかったぁ・・・・


最近になって、もう一つよさそうな洋銀モデルを最近見つけた。新大久保方面で楽器屋の巡回をしているときだった。

ネットオークションで業者が出しているのでブランド名は知っていたのだが、その実物が置いてあった。それはノマタフルートという。これの一番安いものは、銀製リッププレートであった。トーンホールは引き上げで、先のサクライに比べると少し仕様的には落ちる。

試奏してみると、なかなかいける。息の通りが良く鳴りがいい。だからといって雑にもなっていない。造りも、手抜きの感じはいみたいで、仕上げもけっこうきれい。サクライと同じく知名度が低そうなのもいい。下取りは不利だろうけど。サクライと同様に個人工房のような感じなので、頭部管の仕様など、注文時にいろいろ融通がきくかもしれないし(確証なし)。

よし、かなり気に入った。オケやブラスのイベント演奏などで使う楽器としていいかも。オケ練習でも十分使えるかしらん。いずれ新大久保方面へ行ったら、また試奏してみるつもり。ただ、生産数量が少ないらしく、なかなか希望の仕様のモデルがおいてないんだよね。

カタログにハンドメイド洋銀も作ります、と書いてある大メーカーがあった。今もそうかは知らないけど。それはアルタスだ。ただ、私はアルタスの楽器と相性が悪いようなので今のところ興味なし。

コタケフルートというのもあるのだけど、未だ実物を見たことなし。どうなんだろうか。


そういえば、アルトフルートを買うとき、リッププレート銀と頭部管銀でどちらにするか迷ったのだった。

当初は、頭部管銀のモデルはなかった。その後頭部管銀のモデルが発売。
吹き比べてみると、リッププレート銀のモデルは、独特の艶のある丸い音。新しい頭部管銀のモデルは、それに比べて少しハスキーで、やや暗い音になってしまったような気がした。

どちらにするかだいぶ悩んだのだけど、頭部管銀の方が、音に遠達性があるよという店員の薦めと、レスポンスが良いという私の試奏結果、両モデルの差額が小さい、などの理由から結局頭部管銀のモデルにした。


未だに洋銀より銀の方が高級で良いという、固定観念から抜け出せないでいるということか・・・・・

フルートの造りと性能1

2005-04-18 | フルート本体
・フルートの値段は何で決まるのか。

中級グレード以下では、カタログを見ればすぐにわかる。貴金属である、銀の使用量によって決められているらしいのである。

安いグレードほど、洋銀とか洋白と呼ばれる、銅と亜鉛とニッケル(だったと思う)の合金が使われている。

総洋銀製が最安値。ここから、唇のあたる部分のリッププレートのみ銀製、頭部管のみ銀製、管体のみ銀製(キーメカニズムは洋銀)、総銀製、と銀の使用箇所が増えるにつれて値段が着実に高くなっていく。

総銀になると、ここでもう一つ大きな値段の山が来る。それは、トーンホールの作り方である。通常は、ドローンとか、引き上げカーリングとかと呼ばれる工法で、管体チューブを引っぱり上げることによって作られている。
これが、いわゆるハンドメイドモデルと呼ばれる上級モデルになると、トーンホールがハンダ付けで作られる。

引き上げカーリングによるトーンホールは、当然の事ながら管体よりもトーンホールの肉厚が厚くなることはない。これに比べて半田付けモデルでは、トーンホールの肉厚は通常0.38mm前後の管体よりもかなり厚い、1mm前後となっている。

フルートには見ての通りたくさんトーンホールがあるので、フルートの総重量は引き上げカーリングのモデルよりもハンダ付けモデルはかなり重くなる。メーカーによっては、トーンホールの肉厚が厚めになっており、金製ではないかと思うような重さのものもある。


なるほど、フルートは高価な貴金属が多く使われるほど高級でいいものだったんだ。


いやいや、ここからが奥深い ・・・・

フルートスタンドの憂鬱

2005-04-16 | 関連グッズ
フルートとピッコロの持ち替えが必要な方。フルートスタンドを使っていますか? え? 椅子に置いている? そんな危なっかしいもの、使うことはできない?

何故だろう。クラリネットスタンドは、オーケストラなどでBb管とA管を頻繁に持ち替える必要のある人はほとんど100%?使っている

べつに、持ち替えなくたっていい。

折りたたむとクラリネットのベルにすっぽり入ってしまうものもあって、これが使ってみるとなかなか便利である。
鉛筆などを落とした、鞄の中からなにかを出したい、長い小節の休みで眠くなった、アホな指揮者が重箱の隅をつついていて自分の出番がない、隣で演奏しているママの膝の上でぐずっている子供をあやす、などなど、膝の上に楽器をおいたままでもできないわけではないが、これを気にせずにできると意外に便利である機会ってたくさんある。

ところが、フルートスタンドは誰も使わない。
持ち替えの必要がある場合、専用に椅子を用意するのが普通なようだ。自分もそうしている。

なかには自分の右手側に椅子がないと(不便だから?)嫌だ、という人もいた。二人で一つの椅子を共用すれば済むところを二人で二つの椅子を用意したことがある(二人で、座る分を含めて四つの椅子を使用)。 人それぞれ妙なこだわりがあるものなんだなぁ。

そういえば、一度だけステージ上でフルートスタンドを使ったことがある。舞台配置上、余分な椅子を置くスペースが無かったのである。私は何故かフルートスタンドをたくさん(といっても3個+ピッコロスタンド1)持っているが、それをはじめて実戦使用することになった。

予想通り、危なっかしくて見てられない。

人が通ったり、ひな壇に何かの振動があるたびにひやひやする。
またピッコロは、かがまないと取れないので不便でもある。もう少し高い位置に固定されればいいのに。


フルートスタンドとクラリネットスタンド。構造はほぼ同じ。楽器の長さもほぼ同じ。なのに、フルートスタンドのこの不安定感はなんなんだろう。

クラリネットはベルが広がっているので、だいたいの方向で差し込めば、なにも気にしないでスタンドへのセッティングが終了する。
また、スタンドはテーパー状になっており、そこにテーパー状のベル部分がすぽっとはまる。そのために、横方向についてガタがなくなる。スタンドにセットされたクラリネットを少し押してみても、不安定な感じはしない。

ところがフルートは、ほぼ円柱の楽器であり内径が細い。従ってスタンドへのセッティングはピンポイントの位置決め精度が必要で、それには細心の注意が要求される。
雑にスタンドへセットすることによって、楽器の内面にキズをつけてしまう心配もぬぐいきることができない。
頭部管と胴部管のようなガタなしの構造を取れるわけでなく、スタンドへセッティングしても必ず少なくないガタが残る。(ガタがないと差し込むことができない)
このため、不安定感が常につきまとっている。

確かめたわけではないが、クラリネットよりフルートの方が重心が高いのかもしれない。少なくとも視覚上は、クラリネットの方が安定感がある。下方が広がっているから。


私の良く利用するフルート専門店では、店にスタンドの在庫はあるけれども売らないという。
相当の数の、スタンドに起因する「事故」があったフルートを見てきているらしい・・・

トラベルソを吹いた

2005-04-11 | 楽器、その他
吹奏楽にエキストラで出たとき、やはりエキストラで、エーラー式のクラリネットを吹いている人がいた。それを見ていたら、なぜかトラベルソを吹いてみようかという気になった。

早速、楽器屋にいって吹かせてもらった。とはいっても、アウロスのプラツチックのやつ。アウロスは、学校用リコーダーで有名なメーカーだ。そのトラベルソには、黒いのと白いのがあった。黒いのは、ピッチが今のものと同じ、440(442?)らしい。白いのは、バロックピッチということで、415ということなので、ピアノ等とあわせるのはつらい。吹いた感じでは半音近く現代の楽器よりも低い感じがする。

黒いのは、定価3万円。フルートだと思えば安いが、リコーダーだと思うと高い。白いのよりも軽いプラスチックで作られているようで、やや軽い音が出だ。ただ、こういうものだと思えば、こういうもの、で納得できると思う。

白いのは、定価5万円。立派に入門用フルートが買える値段だ。黒いのよりも重い材質でできているらしい。ネットでいろいろと見ると、楽器としての評価もそれなりに高いようだ。そう思えば、それなりによい音が出るような気がしないでもない。しかし、本物の(?)木製トラベルソを吹いたことがないのだから、何が本物っぽいのかからしてわからない。

運指は、なんとも不規則で複雑。こういう運指をフォークフィンガリングと言うらしいことを何かで読んだ。楽器とともに、運指表を出してもらい格闘すること約30分。いやあ、なんとも難しいものだなあ、はっはっは。

音色も、音域、というよりは音によってばらばら。フォークフィンガリングだからか。まだ、白い楽器のほうが均一性という意味では少しましか?
音量はどちらも出るとはいえない。ベーム式に比べると、うそのように音が出ない。エーラー式クラリネットの比ではない。リコーダーの方が出るかも、と思うぐらいである。冗談でも吹奏楽では吹けないだろう。

音色は、何といえばいいのだろうか。オカリナのような、心が洗われるような透明感はない。どちらかというと、あいまいで、曇っている。

だからと言って、悪いといっているわけではない。なんというか、一つ一つの音に柔らかな個性があり、工業的ではない自然な響きがある、といえばいいのだろうか。

ベーム式の偉大さを再確認するとともに、トラベルソの素朴さにもちょっと惹かれてしまった。

まずい、買ってしまいそう。