ノンばあちゃんのノンノン日記

おばあさんはヒマ?
そんなことないのよ。

ウエディングドレス

2016-08-21 15:20:44 | 家族

 発売中の「文藝春秋」、桂由美の記事によると

50年前の新婦の結婚衣装は和装が97パーセントで、

洋装がなんとたったの3パーセントだったそうである。

  へえ、意外!

 というのも、53年前、わたし自身が

洋装、つまり、ウエディングドレスで挙式したからである。

 実を言えば、私自身は本当はあの角かくしに打ち掛けとやらの

純日本風でやりたかったのに、両親が反対した。

 その言い草が、

「あんたに角かくしが似合うわけないでしょ」というもの。

いま思えば、あんまりな親だが、

ノンは それもそうだなあ、と素直に従った。

 たった3パーセントの珍しい洋装だとは思いもしなかったが、

しかし、いま思えば、なるほど親の言うとおり、

わたしの四角い下駄顔には似合わなかっただろうと

得心している。

 純白のウエディングドレスに長いベール、バアサンにも、

うふふの愛らしい新婦の時代があったのである。

 


デブのブス

2016-08-14 15:49:07 | 家族

 昔の親は自分の子どもを謙遜して褒めなかった。

うちの父親なんか、わたしに、お前はブスだからとか

ブタのように肥えて、とか言って憚らなかった。

今にして思えば、思春期を迎えた娘がまぶしく

テレていたのだと察しがつく。

言われた方は、へえ私ってブスでデブなんだと劣等感を持ち、

でも、そのことで親を恨んだり反抗するようなことはなかった。

 今はバアサンになって痩せ、デブではないが、

ブスの自覚はいまだ充分にある。

 

 ところで、夏休みに中学生の孫娘がやってきた。

中学時代のわたしの写真にそっくりな子になっていた。

 では、ブスか?

いやいや、とんでもない、

若い肌は輝き、髪はつやつやと美しく、

なんときれいな娘だろう、と我が孫ながら、

惚れぼれと見とれた。

きれいだねえ、美人だねえ、可愛いねえ、羨ましいねえ、と

ありったけの賛辞を、いつまでも心に残るようにと

正直に伝えた。


再録 「風子ばあさん」 その6 訪問

2016-08-02 21:47:52 | 家族

 古い母の手紙に、

今日は急に用が出来て、銀座まで行ってきました、とある。

夕方、帰宅したら、留守中に、ビンちゃんが来たそうで、

会えずに残念なことをしました、と書いてある。

そのころ、妹のビンちゃんは、実家の母のところまで

新宿から私鉄に乗り換えて一時間もかかる所に住んでいた。

まだ生まれたばかりの男の子をおんぶして、

母に会いたくてきたのだろう。

 あのころは、携帯電話などもなかったから、

ちょっと行ってみようか、というときに

このように会いそこなうことは珍しくなかった。

 だから、母も、外出の予定ができると、

娘たちに、×日×曜日、歯科行き、〇日 展覧会、とか

前もってハガキなどで知らせてくれた。

 今日は多分いるだろう、

天気がいいから、ちょっと実家へ行ってみようか。

見当で行くのだから、急用で居ないこともある。

 鍵は犬小屋の後ろあたりに隠してあるので、

上がって、一休みしながら待つ。ダメなら諦めて、

「来ました、ビン、また来ます」などと、

そのへんの紙に書いて帰るのである。

 せっかく来てくれたのに残念でした……などと

慌ててハガキを書いても、それが届くのはまた数日後で、

まあ、ほんとに今の人には考えられない長閑なことだった。

 今から40年ばかり前のことである。

 若い人にとって40年は、生まれる前の大昔だろうが、 

ばあさん達には、たった40年、ついこの間のことなのである。

 ああ、懐かしいなあ。 届きそうで届かない日々である。


名前のつづき

2013-10-30 13:15:08 | 家族

「○己」の「己」の字が問題だと言われて、

今日、夫は市役所へ行った。

そもそも発端は、

市役所で発行された一枚の住民票に

「己」と「已」が混在したことからである。

わたしの名前はどっちでしょうか? 

というのも間抜けな話だが

住民票を提出した先で、

白黒つけろというのでややこしい。

市役所では、係のひとが

虫めがねで戸籍謄本と見比べ、

しげしげ眺めていたが、

ちょっと、くっついてないなあ、とのことで、

「已」の字が正しい

ということになったようである。

ちなみにくっつくと「巳」の字になる。

己、已、巳 である。

夫の父親は、かなり達筆な人だったから、

筆加減で

「己」になったり「已」になったりしたのだろう。

どっちでも……と

融通をきかせてくれてもよさそうなものだが、

そうはいかないとのこと。

なにをぬかすか、

宇宙と書いて「そら」やら、

太陽と書いて「ひなた」

絹とかいて「シルク」と読ませる命名が許可されて、

なんで「己」と「已」が許可されないのだ!

とも言いたくなるではないか。

 

 

 


名前

2013-10-29 11:11:55 | 家族

 夫の名前の一字に、「己」という文字が含まれている。

人に訊ねられたときは、「おのれ」です、と言ってきた。

たいがいの人が、ああ、「み」ですね、と言う。

 ところが、この度、あるところへ住民票を提出したら、

「名前が二ヵ所あり、「已」と「己」とそれぞれなんですが、

どちらが正しいのでしょうか」と電話がかかった。

えっ? どう違うの? 

と訊いたら、完全に空白があるのと、

途中まで線があるのの違いですという。

どっちでもいいと言うわけにはいかないの?

いきません、と断固言われた。

眼鏡をかけ直してみたら、なるほど住民票の二ヵ所、

たしかに、違っている。

これまで空白だけの「己」で80年過ごしてきたが、

念のために戸籍謄本を見なおした。

なんとこちらは「巳」の字で、完全にふさがっている。

ええ! 知らなかった。あなたは知ってたの?

いや、おれの名前は「己」だと夫は頑張る。

しかし、戸籍謄本が一番正しいのなら、

80年間、うそを書いてきたことになる。

本人は80年間、私は、50年間、

「丸己(マルミとふりがなして)」何十回何百回と「己」を書いてきた。

ふ~ん、どうする? 

これまでのような手書きなら、

ちょっと撥ねたり、はみ出したりで

許されたことが曖昧ではすまないらしい。

字には無頓着ではなかったつもりだが、

夫の名前をねえ、~~と

我ながら恥じている。

ちなみに完全「巳」の字が「み」であり、

とちゅうまでの「已」は「い」であり、

ふさがっていない「己」は「き」であり、おのれである。

「巳」の文字は知っていたが、「已」と「己」の違いは知らなかった。

すでにご存じだった方は、ノンさん夫婦ってばかねえ、と笑ってください。

 


猛暑日

2013-07-14 15:20:10 | 家族

今日も暑い。

東京の母が、

最後にこの家を訪ねてくれたのもこんな暑い日だった。

「暑いからねえ、また今度にするよ」

 というのに、私は会いたかった。

「だって、あんたの家はクーラーがないんでしょ?」

「ああ、買う買う、買うから来てよ」

 冷え症の私はクーラーの冷気が嫌いだった。

若かったせいか、暑いのはわりに平気で、自然の風が一番などと

粋がっていた。

 そんなに言うなら行こうかね、と母がお神輿を上げた。

でも、急な夏場にエアコン設置が間に合うわけもなかった。

 暑いねえ、暑いねえ、と

母は網戸越しの風が入る勝手口にへたりこんでいた。

一晩寝ただけで、悪いけど、やっぱり帰るわ、

と母は茹だったような赤い顔をして言った。

じゃあ、送るわ、と空港へ行った。

冷房のよく効いたロビーで、

母は嬉しそうに、

ああ、涼しい、気持ちいい、生き返ると笑った。

 

暑い日になるとあの日の母のことを思いだす。

母がこの家を訪ねる最後の日になるなんて思いもしなかったあの日。


古きもの

2013-05-12 10:34:33 | 家族

 

ここ数日、古きものたちをアップしてきた。

しかし、一番古きものは、うちのジイサンだった。

今年で丁度50年一緒にいる。

ジイサン本体は83歳である。

まさか、ジイサンの皺をアップするわけにいかないので、

代わりに、我が家の松をアップした。


妻の役目

2013-04-18 09:53:31 | 家族

夫の日帰り入院に付き添った。

体外衝撃波結石破砕術というもので、

手術というほど大げさなものではない。

メスも入れなければ孔もあけない。

ただ、音だけはパンパンパンとするそうだが、

これもジイサンは耳が悪いから

べつにおそれるほどのことはなかったようである。

しかし、家族付き添いと言われれば、

妻が行かぬわけにはいかぬ。

「喧嘩してても、こういうことがあるんだなあ」

ふだんはろくに口を利かぬジイサンも低姿勢である。

昼前に無事に終わり、ジイサンには昼食がついた。

ノンは病院前の中華店へ行き、

780円のラーメン定食を食べた。

 

戻ると、待合室に、

うちと同じくらいの年恰好の爺さんが一人いて、

看護師の説明を受けていた。

どうやら、来週あらためて医師の面談があるらしい。

看護師が

「ご家族は?」と訊いた。

爺さんはかなり緊張しているようで、

「妻がひとりだけいます」と言った。

思わず吹き出しそうになったがこらえた。

 

妻は、ひとりいれば充分だろうもん、と思ったが、

看護師さんも笑わなかった。

 

夫も妻も、若いころとはまったく別の意味で、

肉体上必要とされるときが来るのである。


奥さん

2013-04-03 21:47:06 | 家族

 うちのジイサンに、定期健診で、尿路結石が見つかった。

自覚症状はないが

破砕術で砕く処置をすることに決めてきたという。

次回は、奥さん同伴でと、言われたそうである。

奥さん? 私?

 自慢じゃないが、

うちは近年、旅行も、買い物も、外食も

夫婦連れ添うことはない。

 石くらいで、奥さん呼ぶかよ~、と思ったが、

しかし、待てよ、

ひょっとして奥さん呼ぶということは、

本人に告げられない重大な疾患があるやもしれない。

 ここはひとつ受けて立つっきゃないなあ。

で、今日、3年ぶりくらいでジイサンの車に乗った。

このごろの病院は元気なものでないと行けないと聞いてはいたが、

まさにラッシュアワーなみで、座る席もない。

 

11時予約。予約というからには、

昼ごろには終わり、帰りは一人になって

デパートでも寄るかなあくらいの気持ちであった。

 

あにはからんや、終わって病院を出たのは5時半。

なんと、6時間半待ちで、

先生のお顔を拝顔したのは文字通り3分足らずだった。

疲れたので、続きはまた明日。


お先にどうぞ

2013-04-01 13:28:21 | 家族

老夫婦だから、遅かれ早かれ、いずれどちらかが先に逝く。

ふつう、夫を置いては逝けないと妻が言えば

お前より一日でもいいから先に逝きたいと夫はいうらしい。

ところが、ノンのところは違う。

夫は、おれは109歳まで生きると宣言している。

なぜ109歳という数字が飛び出してくるのかわからぬが、

つまり、ノンより先には死なぬと断言している。

ノンは、一日でもいいからアンタから解放されて死にたいと、

これは口に出さぬが秘かに願っている。

お互い、私が俺が、と頑張っているのが、

双方元気の秘訣かもしれない。


よれよれ

2013-03-23 09:31:24 | 家族

  齢をとると環境の変化に順応するのが、                                        

    難しくなる。

 若いころ、子供のためにと

 見合わせた離婚を、

 では、子供を育てあげたから

 実行できるかと言えば

 そうもいかない。

 年年、面倒くさくなる。

 

  断舎利で、身の回りの

整理をしましょうと言われるが、

齢をとるほどに、使い慣れたもの、

なじんだものが勝手がよくなる。

 新しいタオルよりも

古くてよれよれのタオルの方が使い心地がよろしい。

  古いタオルは見た目が悪く、みっとみない。

見るのも嫌で、捨てたいのだが、捨てられない。

   ジイサンも同じ。


夫婦の行く末

2013-03-21 09:55:31 | 家族

 新婚のときは、ひとつ布団で寝るが、

まもなく隣に布団を並べるようになり、

やがて、別室となる……。

 と、若いころに聞いた話である。

 ふうん、そんなものかと思っていたが、そのとおり。

今や、我が家は、階上、階下である。

夜間の高齢者が二階と下ではお互い不安があるから、

双方、携帯電話を枕元に置き、

ことあればチャララ~ンと鳴らすことにしている。

ま、お互い、居ないよりまし……な間柄。


うちのジイさん その5

2013-03-12 22:44:19 | 家族

 ジイサンがコンビニへ行くというので、

ついでに公共料金の支払いを頼んだ。

近くなので、すぐに帰ってきた。

払ってくれた? と訊いたら

あ、忘れた、と、ヌード写真満載の週刊誌一冊だけ手にしていた。

もう……、である。

だってなあ、すごい美人がいてな、短いスカートに網タイツだぜ。

見てて、支払いは忘れた。

まったく。  うちのジイサン82歳である。


もてたい貴方へ その4

2013-03-11 12:41:33 | 家族

   ノンの新婚は、東京の六畳一間で始まった。

「小さな石鹸カタカタ鳴らし~」 の歌の文句じゃないが、

銭湯利用の二階のアパート暮らしだった。

 ある夜、かなり大きな地震でとび起きた。

しかし、ノンは東京生まれの東京育ちである。

東京の人間は、これくらいの地震では、それほどびっくりしない。

ツレアイは、ほとんど地震を知らない地域の出身である。

たまげたのなんの、階段を一人ですっとんで下りて外へ出て行った。

 新婚まもない妻を、置き去りに、ですぞ。

 

 もてたい貴方、これは悪い見本です。

どんなに、怖くうろたえても、とっさに妻を抱きしめないと、

その後の妻の心は戻りません。


うちのジイさん その4

2013-03-10 10:26:31 | 家族

  <本日当ブログは、男性と、良妻賢母はご覧にならないでください>

 

  ノンは早風呂である。カラスの行水。 「もう、上がったのか?」

     と、ジイサンはあきれる。

たったいま入ったばかりじゃないか、洗ったのかと子供に訊くように言う。

      たださえ癪なのに、「尻くらい洗って入れよ」と  

      追い打ちをかけられたので、ブチ切れた。

           もうううう、いいいい~だ。

 

            断っておくが、むろん、

    ノンは前も後ろも大事なところはきちんと洗ってから入っている。

     あんたほど、ぐずで、のろまじゃない! おたんこなす!