⭐️⭐️浅野まことのここだけの話⭐️⭐️

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日立がIoTで街づくりに乗り出すー

2016年11月28日 | 企業研究
日立、IoTで街づくり 駅の混雑緩和や店舗開発支援
2016/11/28 1:30 日経

 日立製作所はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」を使い、便利で安全な街づくりを支援するサービスに乗り出す。国内企業でほぼ唯一、カメラやセンサー、人工知能(AI)、ネットワーク技術など必要な技術を全て自前でそろえる強みを生かし、駅の混雑緩和などのサービスを提供する。専門部署を設け、2020年度に年1千億円の受注獲得を目指す。

 不動産開発会社や鉄道会社向けに売り出す。画像解析技術などで集めた年齢と性別、同行者の有無といったデータ以外はすべて匿名にしてプライバシー保護を徹底する。

 日立は通常の監視カメラから熱や音を検知するセンサー、AI、ネットワーク監視技術まで自前で手がける。世界でも一気通貫でこれらの事業を本格的に手がけるのは独シーメンスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)など大手に限られる。日立は陣容を整え、先行する両社を追撃する。

 例えば、鉄道駅の開発では、駅構内に物体の大きさや距離、速度を測定できるレーザーセンサーなどを増設する。監視カメラによる画像解析と組み合わせ、構内を行き交う人の数や通行ルートを分析。頻繁に通行人が滞留する場所を割り出した上で、構内設備の再配置や運行ダイヤの見直しなどを助言する。

 駅ナカなどの店舗開発にも役立てる。通行人の年齢や性別、同行者の有無を解析し、効果的なテナント配置を模擬実験して集客策を指南する。店舗や設備の稼働情報から省エネや機器の故障予兆診断も可能になる。

 交通改善や電力安定、住宅街の保安などにも応用が可能で海外市場の開拓にも注力する。日立はサービス利用企業のコスト削減分や増収分の一部を収入として、継続的に受け取る。

 日立は今年5月、IoTのサービス基盤「ルマーダ」を立ち上げた。ビッグデータ解析やAIを使って顧客企業の課題を浮き彫りにし、具体的な業務改善を指南する事業の育成を急ぐ。

 米調査会社のガートナーによると、世界のIoT市場は20年に3兆100億ドル(約330兆円)と15年の3倍に拡大する見通しだ。カメラやセンサー、データ管理システムなど関連機器の需要が増える。

NTTデータ、買収矢先のトランプショック

2016年11月28日 | 企業研究
NTTデータ、買収矢先のトランプショック
証券部 花田幸典 
2016/11/28 5:30 日経
 米大統領選でのドナルド・トランプ氏の劇的な勝利は、NTTデータにはさぞショックだっただろう。約30億ドル(約3400億円)を投じた大型買収の手続きをほぼ完了したのが今月3日。そのわずか6日後に、事業戦略を狂わせかねない事態になったのだから。トランプ米次期大統領は医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しを訴えており、米国で病院や在宅介護といったヘルスケア関連業界向けのビジネス拡大をもくろむ同社の戦略にも暗雲が垂れ込めてしまった。

 「オバマケアなどで米国のヘルスケア市場は拡大していく」。NTTデータの岩本敏男社長は4日に開いた2016年4~9月期の決算会見で、米デル・テクノロジーズのIT(情報技術)サービス部門買収について、こう力説した。
 同部門は北米の医療機関向けITサービスで市場シェアトップ。米病院チェーンなどの優良顧客を多く持つ。米国では電子カルテの導入拡大や遠隔地医療を可能にするアプリの普及などで、医療機関のシステム需要は急増している。オバマ政権が国民皆保険を目指して導入したオバマケアも、確実に追い風になっていた。

 買収金額の約3400億円は「やや割高」(国内証券)との指摘はあるものの、ヘルスケア市場の高い成長性を織り込んでのこと。買収の結果、NTTデータの海外売上高比率は約4割に達し、連結売上高2兆円超としてきた長期目標にも大きく近づける。北米事業でヘルスケア業界向けビジネスが占める割合は買収前の13%から33%に高まった。

 保険料の高騰を招いたとし、オバマケアの廃止を訴えてきたトランプ氏の勝利は、NTTデータには青天のへきれき。「オバマケアは完全な失敗」「オバマケアは米国とビジネスを破壊している」といった過激発言は選挙後には聞かれなくなり、制度修正にとどめる可能性も示唆している。だが、米ヘルスケア市場に何らかの影響が出るのは間違いなさそうだ。

 株式市場はもともと、今回の買収劇を必ずしも歓迎しているわけではなかった。3月に買収検討が明らかになってから米大統領選直前まで、日経平均株価が2%上昇したのに対しNTTデータ株の騰落率は0%だった。買収によって営業利益は約200億円上乗せになる計算だが、のれん代などの償却も約200億円増える。少なくても短期的には業績への貢献が見込めないのがその要因だ。

 そこに「トランプリスク」が加わり、風当たりはさらに強まった。大統領選直前から25日までのNTTデータ株の上昇率はわずか2%。日経平均が同期間に7%上昇したことを鑑みれば、芳しい評価とは言い難い。市場は「新政権の政策を含め、デルIT部門買収の成果を見定めている」(野村証券の田中誓アナリスト)という。

 もっとも、悪いことばかりでもないかもしれない。トランプ次期大統領は財政拡大による景気刺激策を掲げている。景気拡大で企業のIT投資が拡大すれば、NTTデータは少なからず恩恵を受けるからだ。今回の買収によって、年間売上高が5千万ドル(約57億円)を超える米国内の顧客数は5社から16社に増えた。米国のIT投資が拡大した場合の受け皿が整ったともいえる。

 トランプ氏の政策の具体像が見えにくく、今のところ具体的な影響は出ていないという。トランプ次期大統領は吉か凶か。それを決めるのは追い風でも逆風でもなく、NTTデータの自助努力なのかもしれない。

トランプ相場いつまで 「過剰な円安」に警告も

2016年11月28日 | 金融
トランプ相場いつまで 「過剰な円安」に警告も
編集委員 田村正之
2016/11/28 5:30 日経

 日経平均株価が高値圏で推移している。ドナルド・トランプ米次期大統領による減税やインフラ投資を見越した米金利の上昇が起点だ。ただし米金利上昇→ドル高・円安→日本株の上昇というプラスの循環がこのまま続くかどうか、懸念の声も増えている。

■米ドルは歴史的な高値



 不安要因の一つ目は金利差とドル高の関係だ。長期的に日米長期金利差(10年物国債金利の米国マイナス日本)とドル円相場は連動性が高い(グラフ)。確かに大統領戦後に長期金利差が拡大しているが、ドル高・円安ピッチがあまりに急だ。
 2001年以降の長期金利差とドル円相場の水準から回帰分析の手法で妥当レートを計算してみると、25日時点の長期金利差(2.33%)が示すドル円相場は105.5円だ。つまり長期金利差が示す水準以上に、足元ではやや過剰な円安になっている可能性がある。先週末には一時113円台だった。

 JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長も「14年にドル円相場が長期金利から大きく乖離(かいり)する前、01年から13年のより長期金利差との連動性が高かった時期のデータで計算すれば、足元の適正レートは102円程度」とみる。また前年の経常収支と長期金利差で総合的に計算したモデルでは、17年の適正レートも103円だという。

 急ピッチな円安の要因として佐々木氏は「トランプ次期大統領の政策だけでなく、2つの損切りがあった」と指摘する。一つは大統領選の前に投機的な円買いポジションが積み上がっていた点。それが大統領選後の円安で損切りを余儀なくされ、円安をさらに加速させた。

 もう一つは世界の投資家の債券の買い持ちポジションが大きかったこと。トランプ氏の勝利による長期金利上昇(債券価格低下)で慌てて損切りの売りを余儀なくされ、それが長期金利上昇をさらに加速させた。

 その結果、米ドルの水準は極めて高くなり、企業業績や経済に悪影響を与えかねない水準になっている。これを端的に示すのが実質実効レート。インフレ率の差を考慮したうえで複数国との為替レートを反映させた最も総合的な為替レートで、資本移動が自由な国では、長期的には平均水準に回帰することで知られる。



 グラフでわかるように米ドルの実質実効レートは利上げを先取りする形で14年半ばから急な上昇に転じていた。米製造業の業績への圧迫などが指摘されて米国内でドル高への批判が高まり、今年になっていったんドル高修正が進んでいた。
 それがトランプ・ショックで再び急速なドル高に転換した。現在のドルの実質実効レートは十数年来の歴史的な高値圏にある。実質実効レートが平均値に回帰する時期はもともと予測できないが、いずれは必ず起きるというのが過去の経験則だ。

 今年のドル高修正で一息ついていた米製造業の業績は、足元のドル高で再び圧迫されている。米連邦準備理事会(FRB)のラエル・ブレイナード理事は講演で「14年から16年のドル高(のもたらす引き締め効果)は、米政策金利にして2%もの利上げに相当する」と述べている。

 トランプ氏は、当選後も米製造業の国外移転阻止などにたびたび言及している。さらなる長期金利の上昇やドル高を容認するかについては疑念も多い。

 大統領戦前に積み上がっていた投機筋などの円買いポジションはすでにかなり解消されていて、ドル買い方向への巻き戻しのエネルギーは一服している。今後、トランプ氏のドル高抑制発言などがあれば、円高への修正リスクも現実味を帯びる。

■米国外からの修正リスクも

 もちろん、もともとがトランプ氏の政策の「いいとこ取り」相場ともいえるだけに、来年1月の就任まで具体的な政策評価は難しく、トランプ相場は少なくともそこまで続くとの見方もある。

 為替アナリストの間でドル高・円安は行きすぎとの懸念表明が多い一方、「経済成長率にダイレクトに影響する減税政策などを考えればドル高が進むのは自然。円高シナリオにこだわるといつまでも間違う」(アライアンス・バーンスタインの村上尚己マーケット・ストラテジスト)との指摘も根強い。

 ただし国外から不透明材料が出れば別。例えば欧州の政治情勢だ。まず12月初旬にはイタリアで憲法改正への是非を問う国民投票が実施される。否決されて現政権の求心力が下がる可能性も指摘されている。その場合、反欧州連合(EU)政党である五つ星運動に追い風だ。

 来年に入っても3月にはオランダ総選挙、4~5月のフランスの大統領・議会選挙、9月のドイツ総選挙でそれぞれ反EU勢力が躍進するリスクを抱える。危機感が高まれば事前に円買いが起きる可能性もある。

 ドル高が新興国経済に与える影響にも今後より関心は高まるだろう。トルコが通貨防衛のために24日利上げに踏み切るなど、各国経済への打撃も鮮明になりつつある。

 みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「目先円安がさらに進む可能性は否定できない。しかしドル相場がすでに歴史的な高値圏にあることを考えると、トレンド転換リスクを警告せざるを得ない」と話している。