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浅田彰×名和晃平(TWS本郷)
美術
/
2009-09-22
浅田彰さんと名和晃平さんのトークイベントに行ってきました。
これはTWS本郷で開催されている『
NEW DIRECTION #1 :exp.
』にち
なんだ催しです。若者の展覧会もとても良かったのですが、何はな
くても浅田VS名和トークから...
私は途中からの聴講だったのですが、前半は浅田彰さんが出展作家
の作品評をしてました。仕事柄とは言え浅田さん、持ち前の饒舌ト
ークで若者君たちの追随を許しません...(^^;
トークも中盤にさしかかった頃から名和さんに話題がふられます。
同年代の作家・批評家(粟田大輔、池田剛介、千葉雅也)なども交え
ながら、名和さんの創作についての考え方、取り組み方が、おぼろ
げながらに見えてきたように思います。
名和さんは若い頃から木とか石とかいろんな素材を試してきたのだ
そうです。もの派の作家さんとも近しくしていて、一緒に合宿をし
たり、自然の中に置かれた作品を探して歩いたり、そうした経験が
名和さんの中にあるのだそうです。
制作を始めた当初は感情を伝える映像なども作っていたそうですが、
なかなか思ったような物語を伝えることができず、作り方や素材に
着目して物語のようなものから離れていったのだそうです。
徹底的に表面にこだわってリサーチしていたことが、ひとつのプロ
グラムから作品を作ったり、ひとつの単位から作品を作る現在の作
風へと繋がってきたのだそうです。
作品を作っているうちに、物理現象だけではなく、物語が始まろう
とする。すると物語を解体する方向へ進む。物質が全面にでてくる。
そこから違う方向へ進んでいく...
そんなことをとつとつと語る名和さんのものを作る姿勢にはとても
感銘を受けました。
また、ものを扱うことと宗教心(というか、畏敬の念?)との関わり
などにも触れられていました。ここら辺はもう少し突っ込んで聞き
たかったかな。
名和さんはインターネットで集めた素材で作品をつくります。手触
りのあるものと形のない情報をブレンドさせて、これまでにない視
覚体験をさせる作品です。会場ではそんな姿勢がポストもの派とい
う言葉で語られていました。もの派から断絶していた現代美術の流
れを繋いでいこうという意志...
ここら辺の断絶の話は、数日前に長谷川祐子さんが言っていた左翼
的フレームともどこかで繋がりそうに思うのですが、どうでしょう。
また、名和さんは、表面的なものだけでなく、体に残ったり感性に
残るものを作りたいともおっしゃっていました。それもどこか長谷
川さんの言葉に繋がるものがあるように思いました。
・
先日、聴いた長谷川祐子さんのトーク
もの派との関わりでは浅田さんが面白いことをおっしゃっていまし
た。関根伸夫さんという作家がいます。昨年、多摩川のアートライ
ンウィーク2008 で紹介されていた土の作品を覚えている方もいるで
しょう(
イメージはここ
)。これは『位相大地』というのですが、も
ともとは地中の空間が地上に現れる位相の転移に目的があったはず
なのに、いつの間にかに土であることがポイントのように語られる
ようになった。それが本来作品の持つ面白さを損なっているのでは
ないかと...(そして、その本来の面白さを見つけつつあるのが名和
さんの作品ではないかと...)
・
秋の風に吹かれながら...(多摩川から恵比寿、最後はやっぱり横浜界隈篇...)
また、浅田さんは会場の若い作家に対してこんなことも言いました。
『アートは長期戦である。レスポンスを求めずにクリエイトしなけ
ればならない。それをエクスポーズするのは(後藤繁雄さんら)キュ
レーターの役割である』
そう、やっぱりいろんな試行錯誤は必要になるだろうし、特に若い
人は、あんまり観る人のことは考えない方がいいのだろうな...
というわけで名和さんの創作のあれこれが聴けて、とてもよかった
です。これからもウォッチして行きたい作家さんです。
おまけ
・
「オフビート談話室 Vol.1」:青山悟&名和晃平
蛇足
そんなトークを聴いてから、再びエルメスに行きました。正直、粒
の大きなビーズは苦手だったのですが、夜、ひとりだけで観る大鹿
の美しさに言葉はありません。できたばかりのリーフレットをもら
い、後ろ髪引かれる思いで会場を後にしました...
# 写真撮りたかったなぁ...
・
名和晃平展『L_B_S』一度目の訪問
コメント (
6
)
|
Trackback ( 0 )
«
「オルタナテ...
穂高山行
»
コメント
Unknown
(
戦争と芸術展
)
2009-10-07 12:18:57
突然のコメント、失礼いたします。
名和さんのアーティストトークも開催されます。
是非、お越し下さい。
URL:
http://warandart2009.wordpress.com/
出品作家:草間彌生 横尾忠則 杉本博司 AES+F マーティン・クリード
Mr. 名和晃平 ヤノベケンジ 戦闘機プロジェクト(佐藤愛、田上穂波、三松由布子)
ギャラリートーク|日時:10月3日(土) 10月4日(日)
10月10日(土) 10月11日(日)
14~15時、16~17時の2回開催。
アーティストトーク|「核時代のサヴァイヴァル/リヴァイバル」
ヤノベケンジ(本展出展作家/本学情報デザイン学科教授)
モデレーター:飯田高誉(本展キュレーター/本学芸術学部准教授)
日時:10月9日(金)18:00~19:30
アーティストトーク|名和晃平(本展出展作家/本学芸術学部准教授)
モデレーター:飯田高誉(本展キュレーター/本学芸術学部准教授)
日時:10月8日(木)18:00~19:30
アーティストトーク|「日常の中の戦争」
戦闘機プロジェクト(佐藤愛、田上穂波、三松由布子)
モデレーター:高橋洋介(本展スタッフ/本学ASP学科)
日時:10月12日(祝)16:00~17:30
いずれも会場はギャルリ・オーブ、入場無料、先着順
タブー視されていた戦争画を取り上げることで各方面からの注目を集め、国内外からも多大な反響を得ている「戦争と芸術」展の第四弾は、「実際の戦争」と「イメージにおける戦争」といったテーマを対比させながら、現代における戦争の定義を探求する。
戦中少女期を過ごした草間彌生の〈戦争三部作〉や建築家磯崎新たによる流木や石油缶で構成したフレームを伴う、横尾忠則の陶板の大作《戦後》、そして杉本博司の《旭日照波》(昭和天皇像)、《A級戦犯》などの写真作品といった、戦争の記憶をテーマにした作品を出展。
一方で、戦後世代のアーティストによる次世代の戦争に関する作品も出展。ロシアからはAES+Fが暴力やエロスに満ちた世界像を表象した写真作品《Panorama #2,4》が、イギリスからはターナー賞受賞作家のマーティン・クリードの「芸術の存在理由」をテーマとした文字によるコンセプチュアルワークが出展される。ならびに、Mr.の少女たちが繰り広げるサバイバルゲームをモチーフにした《誰も死なない》、名和晃平の被物質化した戦争平気をテーマにし《PixCell-Toy-Machine Gun》、そしてヤノベケンジの原発事故後のチェルノブイリをテーマにした《大地のアンテナ》、更に本学情報デザイン学科の学生三人による「日常の中の戦争」をテーマにした作品などが出展される。
本展は、これらを通して、平和な国「ニッポン」に内在する「終わらぬ戦後」や、戦争を知らない世代の「心理的戦争状態」を浮かび上がらせ、私たちの世界のパラダイムが急激に変化しつつあることを認識しようとするものである。
お問い合せ
京都造形芸術大学 総合造形準備室 担当:西村
TEL: 075-791-8232
E-mail:
galerie-aube@kuad.kyoto-art.ac.jp
主催・協賛・後援等
主催:京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ
協力:東京都現代美術館/原美術館
特別協力:磯崎新アトリエ
Unknown
(
lysander
)
2009-10-07 23:15:03
コメントありがとうございました。
京都での開催なのですね。
東京でやっていれば観に行くところです。
ただ、戦争をテーマにする作品はあってもいいと
思うのですが、展覧会のテーマを戦争にする必要
はあるのかな...と思いました。
また、何かありましたらお知らせください。
Unknown
(
meg
)
2009-10-25 22:12:32
現代美術に興味があっていろいろ検索してるものです。
名和さんのことを調べていて、たどり着きました。
面白い記事を読ませてくださり、ありがとうございます。
私はアートに詳しくないので、アートってなんなのかわからないし記事やコメントを読んでも?がたくさんあるのですが、lysanderさんの記事はなるほどという感じでした。
そこでいろいろ観られているlysanderさんにぜひ質問させていただきたいのですが、展覧会のテーマを戦争にしてはいけないのでしょうか?
あるいは、展覧会のテーマを戦争にする必要はないのでしょうか?
上のコメントを読んで、美術館では戦争をテーマにした展覧会って見かけないことに気づかされました。うーん。。。なにか理由があるのでしょうか?
ご教授のほどをお願いいたします。
Unknown
(
lysander
)
2009-10-25 22:56:25
megさん
コメントありがとうございます。
> 展覧会のテーマを戦争にしてはいけないのでしょうか?
> あるいは、展覧会のテーマを戦争にする必要はないのでしょうか?
一概にいいとかいけないとか言える問題では
ないと思います。
戦争をテーマにすると、ひとことで言っても、いろいろな
切り口があるでしょうし...
以前、反米をテーマにした映像作品を観たことがありました。
作家の方はそこにメッセージを込めたのだと話されていたの
ですが、私にはそれが悪ふざけのようにしか見えませんでした。
その時の居心地の悪さの記憶が生々しく残っています...
反面、そうした問題に真正面から取り組むことで、果たして
現代アートの作品として面白い作品ができるのかどうか...
私は戦争はない方がいいと思うし、そうしたメッセージを
持つ企画であれば共感できるかもしれないとは思うのですが、
一方、そうした取り組みから作品として面白いものが
どれだけ出てくるのだろう...という気もしています。
私にはもっと観たいテーマがたくさんあると思うので...
そういえば今年の夏、関西で開催された堂島ビエンナーレは
政治的な問題提起をする作品が多くあったのですが、
とても興味深い展覧会でしたよ...
http://blog.goo.ne.jp/lysander/e/64984233571b71468593297163a25622
Unknown
(
meg
)
2009-10-28 11:50:59
堂島ビエンナーレの記事、読みました!
写真、とても美しかったです。
政治的なものでもこういう風に表現できるんですね。
とても面白そうなので、みたかったです。。。
関西でもおもしろいものがたくさん開催されているのを知れて、良かったです◎
2年後はかならず(☆_☆)
>一概にいいとかいけないとか言える問題では
ないと思います。
>私は戦争はない方がいいと思うし、そうしたメッセージを持つ企画であれば共感できるかもしれないとは思うのですが、一方、そうした取り組みから作品として面白いものがどれだけ出てくるのだろう...という気もしています。
さっそくご回答くださり、ありがとうございます。
むむむぅ。むつかしい問題なのですね。
いけないわけではなく、取り組み方次第では、堂島のように面白いものにもなりえるということがわかりました。
なんかふにおちました。
ご教授くださり、ありがとうございました。
いただいた知識を活かしながら、もっと勉強します♪
お礼まで。
Unknown
(
lysander
)
2009-10-29 01:51:36
megさん
こんばんは
> もっと勉強します♪
頑張ってください!
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名和さんのアーティストトークも開催されます。
是非、お越し下さい。
URL: http://warandart2009.wordpress.com/
出品作家:草間彌生 横尾忠則 杉本博司 AES+F マーティン・クリード
Mr. 名和晃平 ヤノベケンジ 戦闘機プロジェクト(佐藤愛、田上穂波、三松由布子)
ギャラリートーク|日時:10月3日(土) 10月4日(日)
10月10日(土) 10月11日(日)
14~15時、16~17時の2回開催。
アーティストトーク|「核時代のサヴァイヴァル/リヴァイバル」
ヤノベケンジ(本展出展作家/本学情報デザイン学科教授)
モデレーター:飯田高誉(本展キュレーター/本学芸術学部准教授)
日時:10月9日(金)18:00~19:30
アーティストトーク|名和晃平(本展出展作家/本学芸術学部准教授)
モデレーター:飯田高誉(本展キュレーター/本学芸術学部准教授)
日時:10月8日(木)18:00~19:30
アーティストトーク|「日常の中の戦争」
戦闘機プロジェクト(佐藤愛、田上穂波、三松由布子)
モデレーター:高橋洋介(本展スタッフ/本学ASP学科)
日時:10月12日(祝)16:00~17:30
いずれも会場はギャルリ・オーブ、入場無料、先着順
タブー視されていた戦争画を取り上げることで各方面からの注目を集め、国内外からも多大な反響を得ている「戦争と芸術」展の第四弾は、「実際の戦争」と「イメージにおける戦争」といったテーマを対比させながら、現代における戦争の定義を探求する。
戦中少女期を過ごした草間彌生の〈戦争三部作〉や建築家磯崎新たによる流木や石油缶で構成したフレームを伴う、横尾忠則の陶板の大作《戦後》、そして杉本博司の《旭日照波》(昭和天皇像)、《A級戦犯》などの写真作品といった、戦争の記憶をテーマにした作品を出展。
一方で、戦後世代のアーティストによる次世代の戦争に関する作品も出展。ロシアからはAES+Fが暴力やエロスに満ちた世界像を表象した写真作品《Panorama #2,4》が、イギリスからはターナー賞受賞作家のマーティン・クリードの「芸術の存在理由」をテーマとした文字によるコンセプチュアルワークが出展される。ならびに、Mr.の少女たちが繰り広げるサバイバルゲームをモチーフにした《誰も死なない》、名和晃平の被物質化した戦争平気をテーマにし《PixCell-Toy-Machine Gun》、そしてヤノベケンジの原発事故後のチェルノブイリをテーマにした《大地のアンテナ》、更に本学情報デザイン学科の学生三人による「日常の中の戦争」をテーマにした作品などが出展される。
本展は、これらを通して、平和な国「ニッポン」に内在する「終わらぬ戦後」や、戦争を知らない世代の「心理的戦争状態」を浮かび上がらせ、私たちの世界のパラダイムが急激に変化しつつあることを認識しようとするものである。
お問い合せ
京都造形芸術大学 総合造形準備室 担当:西村
TEL: 075-791-8232
E-mail: galerie-aube@kuad.kyoto-art.ac.jp
主催・協賛・後援等
主催:京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ
協力:東京都現代美術館/原美術館
特別協力:磯崎新アトリエ
京都での開催なのですね。
東京でやっていれば観に行くところです。
ただ、戦争をテーマにする作品はあってもいいと
思うのですが、展覧会のテーマを戦争にする必要
はあるのかな...と思いました。
また、何かありましたらお知らせください。
名和さんのことを調べていて、たどり着きました。
面白い記事を読ませてくださり、ありがとうございます。
私はアートに詳しくないので、アートってなんなのかわからないし記事やコメントを読んでも?がたくさんあるのですが、lysanderさんの記事はなるほどという感じでした。
そこでいろいろ観られているlysanderさんにぜひ質問させていただきたいのですが、展覧会のテーマを戦争にしてはいけないのでしょうか?
あるいは、展覧会のテーマを戦争にする必要はないのでしょうか?
上のコメントを読んで、美術館では戦争をテーマにした展覧会って見かけないことに気づかされました。うーん。。。なにか理由があるのでしょうか?
ご教授のほどをお願いいたします。
コメントありがとうございます。
> 展覧会のテーマを戦争にしてはいけないのでしょうか?
> あるいは、展覧会のテーマを戦争にする必要はないのでしょうか?
一概にいいとかいけないとか言える問題では
ないと思います。
戦争をテーマにすると、ひとことで言っても、いろいろな
切り口があるでしょうし...
以前、反米をテーマにした映像作品を観たことがありました。
作家の方はそこにメッセージを込めたのだと話されていたの
ですが、私にはそれが悪ふざけのようにしか見えませんでした。
その時の居心地の悪さの記憶が生々しく残っています...
反面、そうした問題に真正面から取り組むことで、果たして
現代アートの作品として面白い作品ができるのかどうか...
私は戦争はない方がいいと思うし、そうしたメッセージを
持つ企画であれば共感できるかもしれないとは思うのですが、
一方、そうした取り組みから作品として面白いものが
どれだけ出てくるのだろう...という気もしています。
私にはもっと観たいテーマがたくさんあると思うので...
そういえば今年の夏、関西で開催された堂島ビエンナーレは
政治的な問題提起をする作品が多くあったのですが、
とても興味深い展覧会でしたよ...
http://blog.goo.ne.jp/lysander/e/64984233571b71468593297163a25622
写真、とても美しかったです。
政治的なものでもこういう風に表現できるんですね。
とても面白そうなので、みたかったです。。。
関西でもおもしろいものがたくさん開催されているのを知れて、良かったです◎
2年後はかならず(☆_☆)
>一概にいいとかいけないとか言える問題では
ないと思います。
>私は戦争はない方がいいと思うし、そうしたメッセージを持つ企画であれば共感できるかもしれないとは思うのですが、一方、そうした取り組みから作品として面白いものがどれだけ出てくるのだろう...という気もしています。
さっそくご回答くださり、ありがとうございます。
むむむぅ。むつかしい問題なのですね。
いけないわけではなく、取り組み方次第では、堂島のように面白いものにもなりえるということがわかりました。
なんかふにおちました。
ご教授くださり、ありがとうございました。
いただいた知識を活かしながら、もっと勉強します♪
お礼まで。
こんばんは
> もっと勉強します♪
頑張ってください!