美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




代官山のヒルサイドプラザで開催されたトークイベントに行きまし
た(9/19)。これはアーツ・イニシアティヴトウキョウのレクチャー・
シリーズ「Tokyo Art School」の一環です。
レクチャー・シリーズ「Tokyo Art School」

小池さんは佐賀町エキジビットスペースを主宰されていた方です。
昭和初期の建物をギャラリーに改装したスペースでは、杉本博司さ
んや大竹伸朗さん、森村泰昌さんや内藤礼さんらが初期の展示をさ
れていたそうです。岡村桂三郎さんも個展を開かれたそうです。

立ち上げたきっかけはギャラリーでも美術館でもしていないことを
してやろうという気持ちなのだそうです。画商は古いものを売買す
るばかりだし、美術館は海外から作品を持ってくるだけ。それの宣
伝しかしない新聞社。そんな状況から自分のところで価値を創造し
たくなった。外光が入る大きな空間があったら立ち上がろうと思っ
た。とおっしゃっていました。空間のアウラが感じられる場、とい
うような言い方もされていました。

佐賀町では自分たちで何かを起こしているという確信犯的な意識が
あったのだそうです。反面、地元の人たちとの相互関係がもっと深
められたらよかったと振り返っていらっしゃいました。

また、アートシーンについてはアートの評価規準が変わっているの
だから、欧米的価値観に即して木や土の作品を未熟と言ってはいけ
ない。アートの評価軸は時代とともに変わっていくとおっしゃって
いました。いつの時代もその時に感じることがコンテンポラリーで
あるとも。

あと、空間というものは日本人の美意識、感性にあったものではな
いか。建築に対する感覚を研ぎ澄ませられるとよいだろうともおっ
しゃっていました。

会場からあがったいくつかの質問について、

Q.アートシーンの中心はどこにあるのでしょう?
A.中心となるものはポストモダン後、あちこちに散らばっていって
いる。メインストリームはどこかと探すよりも、それぞれの人が自
分の活動の中で見つけていけばよい。

Q.行政との関わりについて
人間が作る行政であればいろいろな活かし方があるし、行政という
人間はいない。日本はもっと人間性を取り戻さないといけない。


一方、SCAI THE BATHHOUSE を主宰されている白石さんはアートビジ
ネスの最前線にいらっしゃいます。

白石さんはここ二十年でアートをとりまく環境が変わってきたと言
います。現代美術から現代アートという言葉が使われるようになっ
て、メディアへの通りがよくなってきた。また、昔は骨董屋ばかり
で美術産業がなく、アメリカのアートインダストリーのような状況
を作りたいと思っていたのだそうです。

アートディーラーと言っていた頃から比べると、ギャラリストとい
う言葉が使われるようになった今の時代は、単に美術を売買するだ
けではなく、アーティストの代弁者的な役割になってきたのだとい
います。

そうして苦労してきた二十年を振り返る言葉に、一からインフラを
作ってきたという自負を感じました。

また、白石さんはアーティスト志望の若者に対して、絶対やめろと
いうのだそうです。それでもやりたい、それでもやめられない人だ
けがなればいい。そんな風におっしゃっていました。

また、会場からの質問に対して、

Q.アートシーンの中心はどこにあるのでしょう?
A.メインストリームは既にオルタナティブの中にある。

Q.行政との関わりについて
A.行政というのは得体の知れないもの。(マンガ博物館のように)
100億もの予算はいらないし、3億あればもっと面白いものを作れる
人はたくさんいる。

小池さんの答えとは発想が違ってとても面白く感じました。

お二人の言葉を別々に書いたので対話がなかったように読めるかも
しれませんが、後半はディスカッションをしながらのトークでした。
白石さんのアートがファッションを意識していたというコメントに
対して、小池さんの反応がヴィヴィッドになったのが印象的でした。
とても優しく見えるのに、そこ(ファッション)だけは譲れない、み
たいな...

おまけ
佐賀町エキジビットスペース (Culture Power)

蛇足
そう、私は佐賀町エキジビットスペースは一度だけ行ったことがあ
って、それがクロージングのイベントでした。2000年のことなので、
まだ、そんなに現代アートに興味は持っていなかったのですが、古
いビルディングをフルに使った展示がとても印象に残りました。そ
んな記憶が残っているだけでも、うれしくなります...

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