マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 



(写真)ベルギー・ブリュッセルにあるEU本部(欧州委員会ベルレモンビル)

 5月9日「ヨーロッパ・デー」、いわばEU(欧州連合)の建国記念日です。

 これは、フランスのローベル・シューマン外相が1950年5月9日、パリにおいて、ドイツとフランスの石炭と鉄鋼を超国家的な国際機関(欧州石炭鉄鋼共同体=ECSC、仏語ではCECA)の管理の下に移すべきことを宣言。欧州統合の歴史的な第一歩を踏み出したことに由来します。宣言の中で「世界平和は、それを脅かす危険に見合った創造的な努力を傾けることなしに守ることはできない。‥‥ 基幹生産物を共同管理し、フランス、ドイツをはじめとする参加国に対して拘束力のある決定権を持つ最高機関を創設することにより、この提案は平和の維持に欠くことのできないヨーロッパの連邦化における初めての実質的な基礎の実現につながることになる」と表明したシューマン仏外相は、ルクセンブルク人の父とドイツ人の母を持ち、生まれたときはドイツ国籍でドイツの学位を持つ特異な経歴の持ち主でした。それだけに、独仏対立の解消による欧州統合を政治家としても、また個人的にも強く望んでいたのでしょう。
 ちなみに、ヨーロッパ・デーそのものは、1985年に欧州理事会(EUの政治的最高決定機関で各国首脳が出席。いわば合議制の「大統領」に相当)によって定められたそうです。

 報道によれば、既にフランス政府の制定する法令の6割が、ブリュッセルのEU(より正確には「行政府」にあたる欧州委員会)の定める規則を受けて制定されており、特に消費者保護の分野では実に8割がEUを起源とする法令だとか。最近では欧州連合を表すネットドメイン名「.eu」も制定され、共通通貨ユーロを挙げるまでもなく日常生活にも益々「EU」が浸透しつつあるようです。昨年5月にフランスとオランダの国民投票で否決されて以来、欧州憲法条約の批准に関してはこれといった動きがありませんが、今後はこうした地道な「普及」活動を通じて、恐らくは2007年に選出される次期大統領が、統合にむけた国民的合意を取り付けていく努力をすることになるのでしょう。

 もっとも、ではフランスでこの「ヨーロッパ・デー」がどれほど祝賀されているかというと、少なくとも大統領らが出席して行事が行われる5月8日(つまりヨーロッパ・デーの前日)の第二次世界大戦(欧州戦線)戦勝記念日よりは注目されていないような気がしますが・・・。



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