(写真)フランス語とバスク語で書かれた看板(下がバスク語)。ちなみに「サン・セバスチャン」はスペインの都市。
バスク地方(Pays basque, 西:Pais Vasco, バ:Euskadi)は、スペイン北東部からフランス南西部にかけての地域を指し、約300万人のバスク人は9割がスペインのバスク地方自治州(Comunidad Autónoma del País Vasco)に、1割がフランスのピレネー・アトランティック県に住んでいます。独自の文化、インド・欧州語族に属さない独特の言語を持つため自治意識が強く、ことにスペイン側ではETA(バスク祖国と自由)という左派系独立ゲリラ組織による武装闘争も行われています。
さて、そのバスク地方、独自言語のバスク語を話す人が少なくないため、フランス側でも道路標識は二言語標記(写真)。仏語とバスク語では固有名詞(都市名)も大きく異なっているものがあり、ラテン系言語の単語からは想像できない表記ばかりです。同じフランス・スペイン国境でも、東側のカタルーニャ地方(仏語:カタラン地方)は、仏本土とも西本土とも違う文化を持っているものの、カタルーニャ語は仏語・西語(カスティーリヤ語)の中間のようなもので言語上はインド・欧州語族。そのため、仏語か西語がわかれば看板も読めますが(例えば、出口は仏語がsortie、西語がsaidaでカタルーニャ語がsortida)、その点バスクはやはりかなりの独自性があるようです。フランス本土で、市町村名の看板だけではなく道路標識にまで二言語表記を採用しているのは、恐らくここバスク地方だけではないでしょうか。
ちなみに、日本にはじめてキリスト教をもたらしたフランシスコ・ザビエルは、このバスク地方にある都市パンプローナ近くの貴族に生まれ、バスク語も話したとか。