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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ライフとイコールになるワーク

2014-08-09 12:06:22 | 好きな本

ものすごーく久しぶりに、村上龍氏の本を読みました。



その昔、高校生の頃に、デビュー作の「限りなく透明に近いブルー」に衝撃を受け、
コインロッカー・ベイビーズ」とか、「海の向こうで戦争が始まる」とか、
愛と幻想のファシズム」とか、夢中で読みました。
でも、「トパーズ」からは、全然ついていかれなくなり、この20年くらい、何の作品も
読んでなかったと思います。

今回、この本に惹かれたのは、もちろん題名から。

あ、正確には、テレビドラマになったことを先に知って、ドラマも先に観てしまい、
それから原作も図書館で借りて読んだのですが。


文庫のあとがきの解説にも書かれていましたが、「13歳のハローワーク」の
続編というか、高年者向けの「55歳からのハローワーク」という本が出たのだと
私も思っていたのです。
でも、よくみたら、ワークではなくって、ライフ
そこのところとっても重要でした。

元々は新聞に連載していた小説で、著者曰く、長編でも短編でもない、
中編小説だというところで、設定が難しかったそうです。
5編から成っているのですが、連作というか、繋がりをもたせてあって、
テレビドラマの方では、この繋がりがもっと意識された作りになっていました。

脱線してしまいますが、5回にわたってNHKで放送されたドラマ
とてもよくできていました。
原作を(先でも後でも)読むと、大抵のドラマや映画は、どうしても原作には
勝てないなって思う派なんですが、今回の場合は、ドラマの勝ち?と思うほどの
出来上がりで、それぞれの回の役者さんにおうところが大きかったと思いますが、
音楽もよかってたし、ロケ地もよかったなあと思い返しています。


結婚相談所

空を飛ぶ夢をもう一度

キャンピングカー

ペットロス

トラベルヘルパー


原作の順番はこうなのですが、ドラマでは、

リリー・フランキーの、キャンピングカー
風吹ジュンの、ペットロス
原田美枝子の、結婚相談所
小林薫の、トラベルヘルパー
イッセイ尾形の、空を飛ぶ夢をもう一度

の、順番になっています。
(タイトルの前についている、役者さんが、その回の主人公なんですが、
ね、観たくなってくるでしょ?)




55歳には、私自身はもうすこし間があるのですが、夫婦単位で考えたら
もうどっぷり「この世代」だし、決してひとごとではいられないことが数々があり、
ああわかるわかる、や、これだけは勘弁、や、それはまずいよね、や、
きつすぎる、や、とにかく身近に感じました。

でも反面、職業による違いは大きいと思うところもたくさんあって、
階級による格差とか、早期退職とか、リストラとか、私たちの場合のようなシゴトには
あてはまらず、ゆえに、想像するしかない箇所もありました。


ドラマ、原作、終えてみて、今いちばん思うことは‥。

「ライフ」とイコールで結ばれる「ワーク」を持つことって、一番大切なことじゃ
ないかなーです。

私の娘は高3で、来週には18歳になりますが、彼女が小学校高学年の頃から
学校の指導要綱(?)の中には、いかにして正規の職業に結びつけた進路を
子どもたちに選ばせるか、そのように導いていくか、が入っているにちがいないと
しか思えないような、「自由学習」が多く、小学生なのに、もう大学選びとか
させちゃうんだね、と思ってみてましたが。
(なりたい職業を決めて、そこに行きつくためにはどういう学校へ進学する
必要があるかを調べて表にまとめさせられてました)

高校に入れば、いちばん先に決めることは、文系か理系かの「おおまかな選択」で、
1年の頃から毎学期末の保護者会で説明されることは、どの科目を選択するかと
いうことばかり。
もちろん、今は高3の夏のなので、第一志望をどこにして、それに向かって
「戦略」を立てて勉強していくことが大事なのは、重々承知の助ですが、
でも。
それでも、一番大切なことは、大学に受かることではなく、5年先、10年先、
30年先(たぶん想像できないと思うけど・笑)に、どんなふうな自分でありたいか、
ではないかと思うのです。
そうすれば、ワークの後にライフが来るという発想もないし、
ワークの後のライフをどうしようと悩むこともなくなると思うのですが。




そうそう、最後になりましたが、

5編それぞれに、紅茶、水、コーヒー、中国茶、日本茶、と
主人公にこだわりを持たせているところがおもしろいなあと感じ、
なんか、どっぷり中高年になった村上龍の作品もいいかも、また読んでみようかなと
思っています。




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2 コメント

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Unknown (くっちゃ寝)
2014-08-14 15:12:00
このドラマ、主人と一緒に観てました。
意外にも主人が熱心で(笑)
そうそうと共感したり、ちょっと違うなあと思ったり、お互い思うことはあったと思います。
口には出さないけど、自分たちを見直す小さなきっかけになったかも。

受験生の夏・・・
この時期どうしても目先のことにとらわれがちですが、人生を長いスパンで考えるって大切ですよね。
ただ、そういう話をしようとしても、この時期の子どもはピリピリしてて反発するので難しかったなあ。
口に出さず見守るって難しいですよね。
返信する
くっちゃ寝さんへ (ruca)
2014-08-17 20:50:33
こんばんは。

ドラマ。
けっこうおもしろかったですよね?

録画したきりなんとなく観る機会がなくって
長い間そのままにしてあったのですが、観始めたら
おもしろくって。

自分が若いときに、いいなあと思っていた俳優や
女優が、こういう感じの年頃になったのね、と思ったり。
私だったら、こうはならないとか、こうはなりたくないとか、
色々いろいろ思いました。

受験生の夏は…
ためいきばかりですね~笑。
返信する

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