四谷のポートレートギャラリーで開かれている、日大芸術学部写真学科卒業生13名による、
写真展に行ってきました。
中村ハルコさんの写真を見るためです。
写真展の案内の表紙に2点程彼女の写真が載っていて、せめてそれだけでも、
ここで紹介することができないだろうかと、その「元」を探したのですが見つけられませんでした。
もし見つかったとしても、勝手にコピーしてよいのだろうかとも思い‥少々手間がかかりますが、
こちらのリンク先の数枚の写真を見て頂ければと思います。
リンクさせてもらったページに、5枚の写真が縦に並んでましたよね? その一番上の
うつくしい人が彼女です。そして2枚目、3枚目、5枚目の写真は、写真展の会場で見ることができました。
光の中に立っているワンピース姿の女性の写真は、セルフポートレートでしょう。以前にも、このリンク先で
見ていたので、会場でもすぐに見つけることができました。そして、この写真の左横には、5枚目の赤っぽい写真ー
赤ちゃんの足ですよね。小さな赤ちゃんの「大きな足」の写真の上には、同じ色調の赤ちゃんの顔の
クローズアップがありました。(パンフレットにはこの写真が載っているのですが、
WEBの中では探せませんでした・残念)
さらに左上には、モノクロの満月(これはリンク先3枚目の写真です)。
こんな月の写真を見たら、ハルコの写真でなくても、胸を打たれます。
ここまで見てから、1枚1枚の写真にタイトルがついてないことに気づき‥そうか、
これは5点の組写真なんだと気づきました。
妊娠中のセルフポートレートを中心に、赤ちゃんの顔と足、モノクロの満月。そして最後の1枚は、
静かに打ち寄せるモノクロの波。その写真の下に「海からの贈り物」と小さく記された文字を見つけた時は、
心のどこかで、題名を見る前からすでに自分がこのタイトルがついていることがわかっていたような、
そんな気持ちになりました。
赤ちゃんそのものも、贈り物なら、赤ちゃんを産むことができる性を授かったこともまた、
贈り物です。ハルコの写真は、彼女そのままに、大きくおおらかなものでした。
生まれたての赤ん坊は、彼女の何番目のお嬢さんの写真なんだろう? そんなことをふと考えてしまいましたが、
それを想って私が泣くのは「違うでしょ」と思い直しました。私は作品を見たかったのであって、
泣きにきたわけではないのです。彼女が逝ってしまったから、思い出として作品が展示されているわけではなく、
彼女の撮った写真が芸術作品として感動を与えるものであるから、その会場にあるのですもの。
宮城県仙台市。私はまだ一度も訪れたことがありません。
仙台は、ハルコさんが暮らしと活動の拠点にしていたところです。いつか機会がめぐってきて、
その街を歩くことができる日が来るといいなあと思っています。
そして、アフリカで、イタリアで、イギリスで、彼女が撮った作品の数々を、
もっともっとたくさん見ることができたら‥と思います。