風のゆくえ 花のほとりで

2010年11月28日 | 短々タヌキのド短編小説
哀愁のフラメンコと春の躍動の間で、僕は困惑していた。蠢く毛虫の赤子を手渡された少女のように…。
いつか夢で見たような戦いの跡の恋人同士を激しく思い出そうとしている無意識が、風の音に乗って纏わりついてくるのを、情熱的な彼女の視線を浴びながらぼんやりと感じていた。消えそうで消えない、引っ張り出せそうで掴めない悲しい記憶の旋律が、母親の胎内のような懐かしくも戻れない場所へ僕を引き戻そうとする。

「こんにちは。」

少女の声… 聴き憶えのある明るい響きのささやきに手を引かれ、僕は今在る現実の優しさに舞い戻った。

傍らには冬だというのに名も知らない小さき花が幸せそうに咲いている。そうだな、一本道の道端にひっそりと咲くその花の、例えば愛らしい名前をつけられるとするならさ… ふとそんなとり止めもない事を考えながら、もうずっと長いこと僕は姿無なきその声の花の面影を探していたことに気が付いたんだ。


澄み渡る光の小川をゆくきらめき

2010年11月27日 | 日記
             澄み渡る冬の夜空に咲く華の小雨に残るあの夏の向日葵と輝きの夢


今日は江ノ島の花火大会でした。
夏の花火もいいけれど、冬の澄み切った空気の中に鮮明に浮かび上がる花々と落ち着きの方が私は好きですね。
不景気で取り壊されてしまった工場跡の向こう側に、糸の様な小雨の中、綺麗に冬の花火が見えました。
(今年は時間も規模も縮小されてしまったけれど)闇も矛盾も飲み込んで、冬の夜空に咲く光の華々は、ただひたすらに今この一瞬を光り輝いているように見えました。


青いPortrait ☆

2010年11月20日 | 日記

太陽に重なる言葉と月に寄り添う幸せの真ん中で、幻想的なファンタジーが夢を見る。

愛もパワーも宿命も革命も味方につけて、ふわふわとゆらゆらと蜃気楼のように幻惑のお花畑の旅をして。

抑圧と規律だけが孤立して、だけれど一歩一歩一段一段 ゆっくりと積み重ねる宝の意味を学ぶだろう。

ちょっぴり辛く厳しい最初の部屋はスパイシー。ゆるく肥大する夢の世界をピリッと引き締める。

交わる7番目の対極部屋には逆らえない。待ち構えた運命に幸せの在りかと意味を探してみる。

隠された最後の部屋で安息を手に入れる。心底愛する多幸感とあの世への郷愁の宇宙が穏やかに魂を包み込む。


                          ☆   ☆   ☆    



風の永遠

2010年11月16日 | 短々タヌキのド短編小説
どこまでも続く空の高みを追いかけながら、激しく強く、優しく可憐に、僕の願い を感じていたよ。
風も雲も、鳥も虫も、大人も子供も、夢も現実も、みんなみんな僕を通り過ぎて行ったけれど、僕が受け止めたかったのは たったひとつの永遠だけさ。

時折みせる日蝕と月蝕の悪戯に途惑う僕に、母猫のお腹にそっと頬を埋めるその安らぎのひとかけらでもどうか手渡しておくれよ。放射した僕のエネルギーは生れ落ちた仔猫のようさ。
無条件の愛に包まれて眠りたい夜に、そっと引き寄せ抱きしめたい… そんな永遠のあることを、花のようなその心にだけは解かって欲しかったのさ。



光の降る日

2010年11月16日 | 日記

             透き通った風に 想いを乗せて

                   透き通った心で 慈しみを抱く。

        淡い目覚めにピンク色を輝かせていた樹々達は 紅く晩秋を染め

        やすらぎの緑の日傘をさしのべていた樹々達は 黄金な日々に別れを告げる。

             微かな風の振動に揺れる葉っぱの感情をも見落とさないやうな まぁるい音と まぁるい魂に

                     生きてる自由のその強烈なかがやきを研ぎ澄まされ

                            七色に輝くプリズムが 優しさと繊細さの時空の海を渡り 

                                     宇宙の倍音が響き渡る。
            
                         もうすぐ 光の降る世界へ ・・・ 



彷徨うボヘミアン ~ 優しくね ~ 

2010年11月11日 | 日記

女教皇(リバース) : なんだよなんだよ、ちっともわからないぜ、女ってやつはよ。

皇帝(リバース) : なんだかなぁ、草食系男子。もっと向かって来てよ、アクション起こしてよっ。

吊られた男 : まぁ、まぁ、そう言わずに。優しい気持ち、思いやりの気持ち… 思い出してみてよ。
       献身、献身。 大丈夫、きっと上手くいくさ。 

こんなところでしょうかね。



湘南海岸の夕暮れ  … 絵の中の日常と夢の中の現実 …

2010年11月09日 | 日記
  左手には可愛い可愛い烏帽子岩 右手には雄大なシルエットの富士山

        ピンク色にライティングされたフェイクな雲の海と藍色に染まった連峰の間で

             眩しいオレンジ色が明日への希望を輝かせて沈んでゆく。

      わたしの到着を待っていてくれたのだろうか 3分間だけのオレンジ色の世界。

   ひざを折り何を想うのか波の巡礼者たちよ … サーフボードの絨毯で捧げる祈りもあるんだな。

         黒味を帯びた銀青色の波々を 彼らと共に滑り抜けると

               此処は地上なのか水中なのか ここは夢なのか現実なのか

           押されて引いて 揺れて漂って ぐるぐる駆け回る時空の渦に取り込まれたペリカンな気分。

     水平線を借景に 蜃気楼のように浮かんで進む手漕ぎボートの幻想… 

                  消えては浮かび 浮かんでは進み 進んでは消える 

                           すり抜けてこぼれる乙女のあわゆめの如し。

       聴こえる闇の魔王の息づかい 灯る江ノ島の守り神 

                  揺れる幾重もの街明かり  さぁ 帰ろう 明るさの場所に。