ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“Gynoid Multitype Sisters” 「平賀が掴んだ真相」

2017-04-21 22:53:54 | アンドロイドマスターシリーズ
[4月19日16:14.天候:不明 JR成田空港駅→特急“成田エクスプレス”36号12号車内]

〔「1番線に停車中の電車は16時19分発、特急“成田エクスプレス”36号、大船行きと新宿行きです。1号車から6号車が大船行き、7号車から12号車が新宿行きです。……」〕

 敷島達は最後尾の車両に乗り込んだ。
 ここは新宿行きのグリーン車である。
 普通車と違い、シートピッチの広い革張りの座席が待っていた。
 敷島と平賀が隣り合って座り、エミリーは通路を挟んで隣の通路側に座った。
 現在の“成田エクスプレス”に使用されるE259系は座席定員の増加の観点から、先代は1人掛け席と2人掛け席になっていたグリーン車を止め、通常の4列シートに変わっている。
 また、その際にグリーン個室も廃止された。
 尚、車内販売は無い。

 平賀:「9号機のデイジーですか……」
 敷島:「そうなんです。今、本社ビルの倉庫に眠っていますよ。DCJさんだと保管料が掛かるから」
 平賀:「他に使いたいって方、おられないのですか?」
 敷島:「何しろ、100パー最高顧問の肝煎りで造られたものですので……」
 平賀:「現在の相続者は、どなたですか?」
 敷島:「ホールディングス会長、敷島峰雄ですよ。私の天敵。未だに、『ロボットにアイドルをさせるとは何事だ!』という考えの人です」
 平賀:「えっ?大丈夫なんですか?」
 敷島:「今のところ、うちのボカロ達が稼いでくれているので、潰すに潰せない事情があるんですよ。あと、別の親戚のエンタープライズ社長が逆に強く推してくれているので」

 財団崩壊後、行き場を失ったボーカロイド達に活躍の場を与えたのが敷島孝之亟と敷島俊介である。
 本当はエンタープライズの一部門として組み込みたかったのだが、役員会での承認が降りず、子会社という形で何とか通った次第。

 敷島:「25億円もしたものだから、捨てるに捨てれず、困っているみたいです。平賀先生が引き取ってくれたら、みんな丸く収まりそうですよ」
 平賀:「何か、引き取る時に多額の費用を請求されそうです」
 敷島:「私からも口添えしておきますよ。レンタルという形にしてもいいでしょうしね」
 平賀:「なるほど。レンタルですかぁ……」
 敷島:「それも安くするように言っておきますよ。保管料と処分費用と比べれば安いもんでしょーよってね」
 平賀:「揉めないようにお願いしますよ」

 いつの間にか列車は駅を出発し、地下トンネルの中を進んでいた。

 話は9号機のデイジーから変わって、北海道の話になる。

 平賀:「初音ミクの“オホーツク旅情歌”ですか。実はあれには、秘密があるんです」
 敷島:「やっぱり」
 平賀:「ええ。やっと敷島さんも気づきましたか」
 敷島:「一体、何だと言うんですか?」
 平賀:「南里先生が初音ミクを捨てた場所のようで、実は違うんですよ」
 敷島:「違う?」
 平賀:「あれには、もう1つの意味が隠されていると自分は踏んでいます。そしてそれは、今でも眠って待っているんですよ」
 敷島:「何ですか、それは?」
 平賀:「アンドロイドマスターです。つまり敷島さん、あなたを待っているのではないかと」
 敷島:「誰が?」
 平賀:「誰がって、アンドロイドマスターを待つ者と言えば1つしかないでしょう?」
 敷島:「エミリー?」

 敷島はエミリーを見た。

 エミリー:「……あれは旧ソ連政府によって爆破処分されたはずですが?他の弟妹達と同じように」
 平賀:「DCにも独自の諜報部門がありましてね。聞いてきましたよ。アメリカのDCは何とか生き残れそうです。トランプ大統領のおかげですかね」
 敷島:「ええっ?」

 平賀はバッグの中からタブレットを出した。
 それで北海道の地図を出す。

 平賀:「初音ミクの歌だと、宇登呂(うとろ)と沙留(さるる)を直線で結んで交差したオホーツク海の海の底を指していたと思われるでしょう?」
 敷島:「ええ」
 平賀:「実際にそこにいたのは初音ミク本人です。それを自分がエミリーに頼んで回収し、修理したものです。初めて敷島さんの前にお見せした時、彼女はバラバラの状態だったでしょう?」
 敷島:「そうですね」
 平賀:「あれは部品の殆どを交換する必要があったので、あの状態だったんです。苦労しました。あの先生、なかなか設計データを見せてくれないんです」
 敷島:「それで、初音ミクの他に何が埋まっていると?」
 平賀:「こうするんです」

 平賀はタブレットの上に指を滑らせた。
 直線がそれに合わせて移動していく。
 すると、位置的には先ほどとは反対側になった。
 オホーツク海の沖ではなく、今度は北海道の内陸部だ。

 平賀:「宇登呂と沙留を直線で向かわせる先が海とは限りません。その反対側、陸地の方に向かって直線を伸ばしても交差するわけです。ここです。ここに恐らく、あいつが眠っているのでしょう」
 敷島:「あいつとは?」
 エミリー:「……マルチタイプ0号機。試作機です。私達の姉なのか兄なのか、父なのか母なのか分かりません」
 敷島:「ちょっ……!?何でそんなものがそんな所に?!」
 平賀:「そこで吉塚広美氏が登場するんですよ。KR団最後の研究者ですね。要は南里先生やウィリーがエミリーやシンディを持ち出したのと同じように、KR団の一部の者が持ち出したようなんです。実はKR団、旧ソ連政府とも繋がっていたようでして、恐らく0号機の処分を任せてもらうという形を取ったのでしょう。それがどういうわけだか、日本に待ち込まれてしまったというわけです」
 敷島:「ワケが分かりませんねぇ……」
 エミリー:「『日暮れの沙留に旅人が来たよ』というフレーズがありますが、その旅人とはアンドロイドマスターのことです。アンドロイドマスターが何かお困りの時、私達マルチタイプは必ずやお力になりましょうという意味なんです。その大元たる0号機が埋まっているというわけなんです」
 敷島:「それは……俺に回収しろと言ってるのか?もしかしたら、危険な存在かもしれないぞ?」
 エミリー:「その時は私が全力でお守りします。例え0号機……私達の上の兄姉または父母なる存在であろうとも、マスター同然の社長に危害を加えるのならば全力で対応致します」
 敷島:「KR団が置き土産にしていくくらいだから、何だかヤバそうな気がする」
 平賀:「自分もそう思います。吉塚広美氏の遺作である萌、何か調べれば出て来そうな気がするんですが……」
 敷島:「調べてみますか?」
 平賀:「妖精型を造ったというところが、まだ理解できませんでねぇ……」
 敷島:「ゴールデンウィークに、イベントで北海道に行くんです。その時、その0号機に会ってきますよ。ものの見事に電源が切れている状態だとは思うんですがね」
 平賀:「ま、そりゃそうでしょうね」
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7 コメント

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んっ?さんへ (雲羽百三)
2017-04-22 07:41:32
若鷹の掲示板、拝見しました。
熱原公演の河童さんが、まるでスケールの小さい浅井会長のように見えてしまいましたw
親戚の不幸 (いおなずん)
2017-04-22 21:52:15
只今、大阪に向かう深夜バスの中です。
群馬中央バスのシルクライナーです。

神戸にいる親戚のおばさんが亡くなったため、告別式に参列するためです。

事前の話より車内は、三人がけで広く、トイレもあります。

(四人がけでトイレなしと聞いていたので)

ちなみに今は東武線足利市駅前です。
いおなずんさんへ (雲羽百三)
2017-04-22 22:31:56
 こんばんは。長距離バス旅行、お疲れさまです。

 群馬中央バスは乗ったことないですね。
 勤務先に、群馬からの団体客を乗せた貸切バスが来たことはありますが。
 群馬県のバスで乗ったことがあるのは、日本中央バスだけです。
 今はもう廃止になってしまいましたが、さいたま新都心駅から仙台駅までの高速バスを運行していた時期がありましたので。

 今はもう夜行バスは独立3列シートでトイレ付きがデフォになりつつあります。
 特に、群馬中央バスのような既存のバス会社はそうでしょう。
 どうぞ、お気をつけて。
こんばんは! (んっ?)
2017-04-22 23:54:17
いえね?
今まで触れなかったのは、河童君以外は更正されて頑張っておられるからです。
しかし、ゲス河童は反省する事もなく、
嘘を書き連ね自己弁護に奔走する毎日。

大切な同志を己の欲望を満たすために
利用使用なんざ、赦されません!
んっ?さんへ (雲羽百三)
2017-04-23 06:50:05
おはようございます。

顕正会も今や浅井家の為の組織に成り下がってますし、本当、自己愛障害の人のやることは似たようなものですな。
幸いなのは、まだ河童さんはそんなに強い権力を手にしていないということですよ。

ああいうのが権力を手にしたら、間違い無く死人が出ますよ。
Unknown (マイケル)
2017-04-23 17:54:19
んっ?さん、今晩は。
お疲れ様です。

ご返信が遅れ、申し訳ございません。
んっ?さんのご気分を害する事が無くて本当に良かった!

百三さん、今晩は。
お疲れ様です。

百三さんは、高速バスにも乗られるんですか?

高速バスって乗ったことがないんですけど、
長距離の異動ってどうですか?

トイレとか、寝心地(座り心地)とか騒音とか、
気になるものなんですか?
マイケルさんへ (雲羽百三)
2017-04-23 21:23:16
 こんばんは。

 私は最近、新幹線よりも高速バスに乗る機会の方が多いですよ。
 それが作品内でも反映されてしまっていますね。
 唯一信仰と関係の無いリンク、“バスターミナルなブログ”様も、私がバス好きで、それで見つけたのをリンクさせて頂いたわけです。

 長距離の移動ですが、4列シートに1人で乗る時、やはり見知らぬ他人に座られると気を使いますね。
 昨今の長距離便で、昼間であっても3列シート車が運行されることがありますが、これもそういった声に応えたものでしょう。
 基本的に1時間以上掛けて走る路線なら、トイレが付いていることが多いです。
 寝心地は……慣れですね。
 私は3列独立シート一択ですが、取りあえずそれで寝ることには慣れました。
 騒音ですが、エンジン音や走行音はむしろ高速道路走行時は単調なものとなりますので、それが却って眠気を誘います。
 但し、他の乗客のいびきだとかが気になることがありますので、私は耳栓とアイマスクを持参しています。
 あと……これは実際に乗車してみて抱いた感想です。
 韓国メーカーのヒュンダイが製造しているユニバースは、はっきりいってエンジン音が国産車よりうるさいです。
 バスタ新宿でバスを待っていた時、他のバス会社でそれが来た時はもう【お察しください】。
 因みに東京からの大石寺登山バス、富士急静岡バスにもヒュンダイ・ユニバースがいます。
 それに当たったら、諦めてくださいw

 基本的に私の作品には登場させませんwww

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