ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“Gynoid Multitype Sisters” 「平賀太一の帰国」

2017-04-20 20:49:30 | アンドロイドマスターシリーズ
[4月19日13:00.天候:晴 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー]

 エミリー:「社長、そろそろご出発の時間です」
 敷島:「えっ、もう!?」
 エミリー:「はい。平賀博士をお迎えに行くのですよね?」
 敷島:「そうだよ。あれ?羽田空港まで20〜30分で行けるだろ?」
 エミリー:「社長、平賀博士は成田空港に御到着予定です」
 敷島:「えっ?」
 エミリー:「えっ?」

 気まずい空気が流れる。

 敷島:「シンディは羽田だって言ってたぞ?」
 エミリー:「シンディがそんなことを?申し訳ありません。妹がとんだ検索ミスを……。後で叩き聞かせておきますので、どうか……!」
 敷島:「い、いや、言い聞かせてくれればいい。珍しいな。シンディがそんなミスをするなんて……」
 エミリー:「ここから東雲のイオンまで行かれまして、そこのバス停から成田空港行きのバスが出ています」
 敷島:「東雲のイオンか。あそこ、通勤で通るな。そうか。あそこから出ているのか」
 エミリー:「はい」
 敷島:「分かった。そうしよう」

[同日13:30.天候:晴 平和交通“Theアクセス成田”号車内]

 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/26/Heiwa-kotsu-519.jpg
(写真はウィキペディアから。平和交通“Theアクセス成田”号)

 エミリー:「シンディには先ほど叱責の通信を送っておきました」
 敷島:「で、何だって?」
 エミリー:「検査中で電源が切れているらしく、送信エラーになってしまいました」
 敷島:「はははは……。いいよいいよ。どうせ、検査前の不具合だとか言うつもりだろ?代わりにお前がフォローしてくれたからセーフだよ」
 エミリー:「本当に申し訳ありません」

 バス車内はまだガラガラの状態だ。
 だが途中、銀座(数寄屋橋)や東京駅八重洲南口(JRバス乗り場)も経由することから、そこで満席にでもなるだろう。
 予約不要の便なので、こういう時は最初のバス停から乗るに限るというわけだ。

 敷島:「で、俺達はどこで降りるんだ?」
 エミリー:「第1ターミナル15番バス停です。平賀博士の飛行機が、その第1ターミナルに到着しますので」
 敷島:「そうか。分かった。到着時刻は?」
 エミリー:「15時25分です。平賀博士の飛行機が15時20分の予定です」
 敷島:「俺達の方が5分遅いのか」
 エミリー:「御心配要りません。国際線ですから、本当のダイヤ通りに降機できる確率は低いですから」
 敷島:「それもそうだな」
 エミリー:「このバスがダイヤ通りに走行できる確率の方が高いです」
 敷島:「おっ、なるほど」

[同日15:25.天候:晴 千葉県成田市 成田国際空港第1ターミナル]

 敷島:「本当にダイヤ通りだ。エミリーの計算が合ったみたいだな」
 エミリー:「恐れ入ります。平賀博士の飛行機は15分ほど遅れているもようです」
 敷島:「なるほど、そうか」

 ターミナルの中に入る2人。
 到着口の所で待っていると、平賀が1人でやってきた。

 敷島:「平賀先生!お久しぶりです!」
 平賀:「おっ、敷島さん。わざわざお迎えに来て下さったんですか?」
 敷島:「ええ。早くお会いしたくて」
 平賀:「エミリーも敷島さんのお役に立っているようだな」
 エミリー:「シンディよりお役に立ちたいと考えております」
 平賀:「お仕事の方はいいんですか?」
 敷島:「今日は平賀先生への接待ということにしていますから」
 平賀:「はははっ!自分、そんな大した人間じゃないですよ」
 敷島:「御謙遜を。有名な科学誌に大きく載ったじゃないですか」
 平賀:「あれはたまたま……」
 敷島:「これからのご予定は?」
 平賀:「今日は取りあえず、都内のホテルに入ります。明日はDCJ本社の会議に出席して、午後は都心大学で講義があります」
 敷島:「さすが忙しいですな」

 平賀はDCJの外部役員である。
 なので、実は社内的には研究所の主任研究員であるアリスよりもずっと地位は上なのである。
 恐らくロイド造りの腕前は互角なのだろうが、いかんせん教授職に就いているか否かで差が付いてしまった感はある。
 どちらも博士号を取得していることに変わりは無いのだが。

 敷島:「お供しましょう。エミリー、先生のお荷物を持ってあげてくれ」
 エミリー:「かしこまりました」
 平賀:「これはどうも。そんなに気を使って頂かなくてもいいんですよ。南里研究所からの付き合いじゃないですか」
 敷島:「いやいや。電機メーカーから飛ばされて来た馬鹿野郎と、その頃から既に天才科学者の名前を欲しいままにしていた先生とでは月とスッポンですよ」
 平賀:「しかし、今では年商何億円もの芸能プロダクション経営でしょう?凄いじゃないですか」
 敷島:「親会社の言うことに、ただ従っているだけですよ」
 平賀:「いや、自分は会社経営なんかできっこないです。それができてる敷島さんは凄いと思います」
 敷島:「新しいボーカロイドを造ってくれたら、うちの事務所で大いに売り出しますよ」
 平賀:「それが現実にできるんだから凄いと言ってるんです。自分はただロイドを造ることしかできない」
 エミリー:(ロイド造りに天賦の才がある平賀博士と、その営業に天賦の才があるこの2人がタッグを組んだからこそ、今日のロイドは浸透していると言える)
 敷島:「DCJさんの本社というと、新宿ですね」
 平賀:「そうです」
 敷島:「分かりました」

 今度は電車で向かうことにした敷島達。
 成田空港駅のキップ売り場で特急“成田エクスプレス”号のキップを買い求めたが、発車までまだ少し時間があった為、ベンチで少し休むことにした。

 平賀:「実は自分も秘書というか、護衛を用意しようかと思っているんですよ」
 敷島:「そうなんですか?」
 平賀:「ええ。エミリーは敷島さんにお譲りしたも同然ですから、新たに用意しようかと思っているんです」

 但し、オーナー登録の名義は平賀のまま。

 敷島:「七海は?」
 平賀:「七海はあくまで、うちのメイドですから。家を守ってくれるという点では、逆に連れて歩けないですね」
 敷島:「昔のことがウソみたいに、今じゃ優秀なメイドロイドですもんねぇ……」

 与えられた命令に対する解釈にミスが多発し、その度に平賀からは突っ込まれ、エミリーからは叱責され、シンディからは嘲笑された。
 しかしそこはちゃんと学習したようで、今ではエミリーが目を見張るほどの見違えぶりだという。
 今でもエミリーやシンディを「メイド長」と呼ぶが、今では量産型メイドロイドからそう呼ばれる立場にある。

 平賀:「今から造るとなると、かなり手間が掛かるんですよねぇ……」
 敷島:「ですよねぇ……」

〔「今度の1番線の電車は16時19分発、特急“成田エクスプレス”36号、新宿行きと大船行きが発車致します。……」〕

 敷島:「あっ!」
 エミリー:「あっ!」

 その時、敷島とエミリーは同時に良い事を思いついた。

 敷島:「今すぐ先生の秘書兼護衛ロイドとして使える者がいましたよ!」
 エミリー:「あいつなら可能でしょう」
 平賀:「ええっ?」
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