ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“Gynoid Multitype Cindy” 「ここまでのまとめ」

2017-02-19 22:51:07 | アンドロイドマスターシリーズ
 DCJロボット未来科学館:

 DCJ(デイライトコーポレーション・ジャパン)が運営する一般向けのパビリオン施設。
 DCが開発したロボットやロイドの展示などを行っている。
 元々は埼玉研究所を大幅にリニューアルしたもの。
 元が研究施設だった為、今でも研究員は詰めている。
 相次ぐロボット・テロに際し、世間の悪化したイメージを払拭する為にオープンした。
 常設展示品にセキュリティ用のバージョン4.0や農耕用ロボットのゴンスケ、マルチタイプ現行年式としてのアルエット、妖精型ロイドの萌などがいる。
 週末はイベントなどが行われており、エミリーやシンディが持ち技を披露することもある。
 またはボーカロイドもたまにライブを行う。
 研究所時代では行われていなかった慰安旅行を行うようになったが、今回の北海道旅行の際には参加者全員がシンディも含めて行方不明になるという事態に陥った。
 鷲田警視など、警察は既に動いているが、まだマスコミに発表はされていない。
 誘拐事件などはマスコミに緘口令が出されるのが通例であるため。
 誘拐犯からの犯行声明などはまだ出ていないが、敷島達はKR団の生き残りが犯人ではないかと見ている。
 羽田空港までは稼働していたシンディをトレスしていたエミリーにより、少なくとも羽田空港までは無事であったことが確認されている。
 また、羽田空港の時点で誘拐されたとは考えにくい。
 北海道の新千歳空港行きの飛行機に乗った確率も高い。
 新千歳空港から先の足取りが掴めていない。

 エミリー:

 マルチタイプ1号機。
 ロイドの中では女帝とも言える立場にあるが、決して人間達の前では驕るような態度は見せない。
 但し、最近までロボット喋りやロボットのような振る舞いをしていたのは、偏に本当に自分を使いこなせる人間(アンドロイドマスター)を探す為の仮面であった。
 敷島がその最有力候補と確定し、敷島の前限定でその仮面を外す。
 シンディのような滑らかな口調ではあるものの、まるで人間を小馬鹿にしたような態度に敷島は見えた。
 その為、最初はエミリーの申し出を断っていた。
 エミリーも敷島に不愉快な思いをさせたのはさすがにマズいと思ったか、シンディのアドバイスもあって、少し謙虚な態度を見せるようになった。
 滑らかな口調は徐々に他の者へも見せるようになり、表向きには言語ソフトを更新したからという理由になっている。
 ようやく仮とはいえ、敷島とユーザー登録がされたことをとても喜んだ。
 但し、まだ仮である為、忠誠を誓う為のナイフ(の形をしたリモコン)は渡していないもよう。
 今回の事件において、どのように活躍するか。
 尚、テーマ音楽は東方Projectの“人形裁判”であったが、仮面を脱ぎ捨てたことにより、“ピュアヒューリーズ 〜心の在り処”に変更。

 萌:

 KR団最後の研究者とされる吉塚広美(故人)の製作した妖精型ロイド。
 大きさは身長30cm弱。
 黒い髪をMEIKOのようなショートボブにしており、小さなリボンをあしらったヘッドセットを着けている。
 背中に伸縮性の羽が付いていて、これで飛行できる。
 小さな体を駆使してダクト内に入り込んだり、ちょっとした隙間に潜り込むなどする隠密活動ができる。
 KR団のアジトからの脱出の際、井辺翔太と協力したことで、井辺のことを1番信頼している。
 その時はまだ試作中であった為、明確な性別の設定が無く、一人称は『ボク』であるが、DCJで展示されるに当たり、性別設定を女にされたにも関わらず、相変わらず一人称は『ボク』のままである。
 おとぎ話の妖精のように全身を発光させて敵の目を眩ますだけでなく、発光による発熱で攻撃することもできる。
 また、手術用のメスを改造した折り畳み式の武器も持っており、薙刀のように使って攻撃もできる。
 ファンシーロボットなのだが、フリフリしたいかにも妖精らしい服装は嫌いで、普段は黒いTシャツにデニムのショートパンツといったラフな姿をしている。
 好きなことは入浴で、お湯の出る洗面台に湯を張って、よく入浴をしている。
 飛ぶことはできるが、移動はあまり自分でしようとせず、誰かの肩に乗っかって移動することが多い。
 バージョン4.0などは、萌が乗っかったことにすら気づかない。
 名前は彼女の型番、MOE-409から取った。
 テーマ音楽は同じく東方Projectの“九月のパンプキン”。

 北国観光バス:

 北海道内を営業エリアとする観光バス会社(当作品における架空のバス会社)。
 路線バスや特定輸送(企業や学校の送迎バス)はやっていない。
 新千歳空港に到着した団体客輸送を主に行っている。
 行き先は大抵、札幌市内。
 偽ツアーと知らずに、DCJ観光という架空の観光会社が企画したツアーの参加者達を札幌市内まで輸送した。
 尚、北国観光バスはDCJなる名前のツアー予約は1台しか受けていない。
 そして、いざやってきた偽ツアーの方を輸送してしまった。
 お分かりだろうか?
 偽ツアーを輸送してしまったら、本物のDCJ慰安旅行ツアーの面々はどうしたのだろうか?
 新千歳空港に取り残されることになるのに、彼らは騒ぎ立てなかったのである。
 本物のDCJ慰安旅行ツアーは、どこに行ってしまったのだろうか?
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“Gynoid Multitype Cindy” 「アリス達の足取りを追う」 4

2017-02-18 21:02:07 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月3日14:00.天候:晴 新千歳空港付近・北国観光バス営業所]

 敷島達は係員の案内で、アリス達が乗ったはずの観光バスの営業所に向かった。
 しかし係員の証言と、実際のDCJのメンバーが合わないことに気づいた。
 アリスは英語と日本語しか喋れない白人のアメリカ人だが、係員によると1人だけメンバーの中にいた白人女性はポルトガル語と日本語を喋るポルトガル人だったという。

 所長:「お待たせしました。これがDCJ観光さんの書類です」

 観光バスは路線バスと違い、既に予約のバスがこの営業所を出庫する所から契約が始まっている。

 鷲田:「代表者の所のサインに『岩下』とあるな?」
 敷島:「岩下副館長のことでしょうか?」
 村中:「筆跡は分かるかい、敷島社長?」
 敷島:「いやー……」

 敷島は首を横に振った。
 エミリーはシンディよりもDCJとは縁が薄い為、職員の筆跡などは知らない。
 萌も知らなかった。

 敷島:「しょうがない。写真に撮って、小山副館長に照会しましょう」

 敷島は自分のスマホで書類を撮影すると、それを小山副館長のPCに送信した。

 鷲田:「この書類にサインした岩下という男は、どんな感じの者でしたかな?」
 所長:「どんなと言われても……。そこの外国人女性くらいの背丈で、痩せ型の50代くらいの人でしたが……。眼鏡は掛けてませんでした」

 営業所長はエミリーの方を見ながら言った。
 エミリーは177cmある。
 足のパーツを交換したらシンディと同様、2cm伸びた。
 岩下副館長の身長が180cmあるか無いかといったくらいだし、瘦せ型で眼鏡は掛けていない50代の男という特徴は合っていた。
 書類にはツアー客の名簿もあるにはあるのだが、名前は全員科学館の職員の名前になっていた。

 敷島:「多分、全員が成り済ましですよ」
 鷲田:「しかし、特徴は合っているんだろう?」
 村中:「警視、こりゃホテルの方に行って問い合わせた方がいいかもですね」
 鷲田:「そのようだな」

 もちろん、DCJ観光という観光会社はニセモノだ。
 そのツアー客達が科学館のメンバーに成り済ましていたとしたら、本物の科学館員達は空港からどこへ行ったのだろうか?

 敷島:「所長。もしもですよ?もしも、同じような名前のツアー団体が同じ時間、同じ人数で、空港からの行き先が同じ場合、間違えることはありますか?それこそ、責任者の名前まで同じだった場合です」
 所長:「うーん……。そこまでそっくりな2つの名前の団体が、同時に予約されるといったことは、さすがに無いですからねぇ……。ただ、あってはならないことですが、もしかしたら、そういうことがある場合も……」
 鷲田:「本当にキミはバカだな。いいか?もしバス会社の方で間違えたとしても、取り残されたもう1つの団体が騒ぐだろうから、そこで発覚するはずだぞ」
 敷島:「ううっ……」
 エミリー:「あの……」

 エミリーが淡いピンク色の手袋をはめた右手を挙げた。
 シンディは黒い革手袋で、昔はエミリーも同じ手袋をはめていたのだが、威圧感があるからという理由でピンク色のナイロン製の手袋に交換した。
 シンディも敷島の秘書として稼働する場合は、手袋は外す。

 エミリー:「北国観光バスさんでは、DCJという名前の団体は1つしか扱っていないのですね?」
 所長:「そうですよ」
 エミリー:「空港から直接観光バスに乗ろうとする場合、他にもバス会社はありますか?」
 所長:「それはまあ、ありますけど……」
 鷲田:「おいおい。行程表を無視して、他のバス会社のバスに乗ったというんではあるまいな?」
 エミリー:「しかし、否定はできません」

 と、そこへ敷島のスマホが鳴った。
 小山副館長からだった。

 小山:「あ、敷島さん。岩下の筆跡なんですけどもね、どうも違うみたいです」
 敷島:「違う?」
 小山:「ええ。岩下の机を調べさせてもらって、彼の直筆のサインを見たんですけどね、ちょっと違うんですよ。バス会社の書類の方は、岩下の『下』という字の横棒の右側が下の方に跳ねているでしょう?」
 敷島:「そういえば……」
 小山:「こっちの書類のサインだと、上の方に跳ねているんですよ。他にもいくつか見ましたが、岩という字もどことなく違うし、多分バス会社の方は偽者が書いたと思いますよ」
 敷島:「やはり……!ありがとうございます!……まだ連絡は?」
 小山:「全然無いです。一応こちらからもですね、せめてシンディの電源を遠隔で入れられないかと模索してるんですが、何しろこちらもケガしてるんで……」
 敷島:「ケガ?」
 小山:「この前、自転車で転んだせいで、左腕を骨折しちゃいまして。それで私は留守番部隊なんですよ。まあ、右利きなもんで、利き腕をやられなかっただけ、まだ不幸中の幸いでしたけどね」
 敷島:「そうだったんですか。あの、どうか、無理はなさらぬように……。はい。では、失礼します」

 敷島は電話を切った。

 敷島:「どうもこの書類にサインをした岩下副館長は、成り済ましの別人のようです」
 鷲田:「おいおい。それじゃ、本物の館員達は一体どこに行ったのかね?」
 村中:「こりゃ、この空港に出入りしているバス会社を片っ端から当たってみますか?」
 敷島:「電車で行ったりして?」
 エミリー:(せめてこの空港にロボットでもいれば、そいつから情報を聞き出せるのだが……)
 鷲田:「いや、そんな時間は無い。むしろ、次の行き先であるホテルに行って聞けばいいだろう」

 結局、鷲田の言う通りにすることにした。
 少なくとも科学館慰安旅行の行き先は東急REIホテル、成り済ましツアーも実際にそのホテルにチェックインしている。

 敷島:「さっきのANA到着口から乗れば、始発停留所だから座席選び放題ですよ」
 鷲田:「お前なぁ……。そんな子供みたいなことを……」
 村中:「まあ、バスの時間まで時間がありますから、時間調整の意味も兼ねて歩いてもいいですがね」
 エミリー:(どこにいるの?シンディ……)
 敷島:「エミリー。自動券売機で、バスの乗車券買って来てくれ。お前の分も入れて4人分な?」
 エミリー:「かしこまりました」
 萌:「あれ?ボクの分は?」
 鷲田:「お前は荷物として乗れ」
 萌:「えーっ!」
 鷲田:「エミリーは曲がりなりにも人間と同じ姿形をしているが、お前は人間のフリをしようったってムリがある」
 村中:「そうだよ。逆に、網棚という特等席に乗れる権利があるよ」
 萌:「あ、何だ。荷物室じゃないんですね」
 敷島:「さすがにな。幸い、バスには手荷物検査は無いから、エミリーは人間のフリをして乗ることができるし、お前も俺の鞄の中にでも入ってりゃいい」
 萌:「なーんだ。それならOKです」

 エミリーはバスのキップを買いに行った。
 その肩に乗っかってついていく萌。

 敷島:「手荷物検査か……」
 鷲田:「何だ?」
 敷島:「シンディだって直に飛行機の貨物室行きとはいえ、検査は受けたはずです。で、降ろす時にシンディの電源を入れる暇が無かったなんて……」
 鷲田:「シンディを連れて行くことは、科学館の職員達も知っていたんだよな?」
 敷島:「もちろんです」
 鷲田:「知っているのに、ここでの電源を入れる時間を確保しておかなかったというのは確かに不自然だな」
 敷島:「ええ。そもそも、アリス達は本当に新千歳空港行きの飛行機に乗ったのでしょうか?」
 村中:「ただ、あの時も航空ダイヤは少し乱れていて、私達が乗った便も、あの時は20分くらいは遅れてたらしいからね。有り得なくは無いよ?」
 敷島:「うーん……」
 鷲田:「とにかく、ホテルに行ってみよう。そこでも話が聞ければ、もう少し何か分かるかもしれん」
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“Gynoid Multitype Cindy” 「アリス達の足取りを追う」 3

2017-02-17 21:35:53 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月3日13:00.天候:晴 新千歳空港]

 村中:「さすがは北海道。雪がたんまりですな」
 鷲田:「当たり前だ。ターミナルから一歩でも外に出ると、俺達は震え上がることになるだろう。……で、奴さん達はどうした?」

 2人の私服刑事はトイレの方を見た。

 敷島:「いやいや、遅くなりまして」

 敷島とエミリーがバタバタと走って来る。
 因みに萌はエミリーの肩に乗っていた。

 村中:「せっかく飛行機がダイヤ通りに着けたというのに、頼むよ」
 敷島:「すいません。萌の再起動に時間が掛かりまして……」
 鷲田:「今時、こんなファンシーロボットが役に立つのかね?」
 敷島:「KR団のアジトに潜入する時とか、結構役に立ちますよ」
 萌:「任せて安心です!」
 鷲田:「そうかぁ?」
 村中:「それより敷島社長、科学館の皆さんはこの後どうやって札幌まで行ったんだい?」
 敷島:「行程表によると、貸切バスで向かったようです。バス会社が……北国観光?」
 村中:「予め、依頼しておいたんだろうねぇ?」
 エミリー:「北国観光バスです!」

 敷島達のいるターミナルは到着口であり、そこから外に出るとバスターミナルになっている。
 エミリーがちょうどそのターミナルを通過していく観光バスを見つけた。

 エミリー:「誰も乗っていないので、回送でしょう」
 村中:「なるほど。空港からの観光客を当て込んでいるバス会社ならば、空港内に営業所を持っていてもおかしくはないな」
 鷲田:「待て待て、村中君」
 村中:「何です?」
 鷲田:「その前に1つ聞きたいのだが、キミの秘書代行ロボットの喋り方は、こんな滑らかなものだったかね?もっとこう、いかにもロボットが喋っているような喋り方だったと思うのだが……」
 萌:「あ、そうそう!ボクも気になってた!」

 萌は見た目には10代の少女を模した妖精型ロイドなのだが、何故だか試作中の頃の名残りのままで、未だに自分を『ボク』と呼ぶ。
 いわゆる、『ボクっ娘』になっていた。

 敷島:「えっと、それはですね……」
 エミリー:「言語ソフトを更新しました。やはり昔のままですと、皆さんにも不便をお掛けしますので」

 エミリーはニコッと笑って説明した。
 もちろん、その言葉はウソだろう。
 少なくともエミリーを監視している端末を見ても、言語ソフトが更新された記録は残っていない。
 わざとロボット喋りをしていて、元の仕様に戻しただけである。

 鷲田:「ふむ。そういうことか」
 村中:「同型の姉妹機だから顔はよく似ているけども、さすがに声までは違うからね。妹さんと、こんがらがることは無いか」
 鷲田:「ま、そういうことならいい。さっさとバスの営業所に行くぞ」

 敷島達は天候は良いものの、北海道の寒風の吹き荒ぶターミナルの外に出た。

 敷島:「エミリー、ナイス誤魔化し」

 敷島は小声でエミリーに言った。
 エミリーはフッと笑って答えた。

 エミリー:「人間がロボット喋りをすれば不自然極まりないでしょうが、ロイドがロボット喋りをすることに、誰も何の疑問も抱きませんでしたからね。そして、ロイドが人間と同じ喋り方をすることも……」
 敷島:「シンディだのキールだのレイチェルだの、他の弟妹達が普通の喋り方なのに、お前だけロボット喋りなことに、もっと疑問を持つべきだったよ」
 エミリー:「ですが、それも無理は無いと思います。何故なら、その妹達ですら何の疑問も持たなかったのですから」
 敷島:「ったく。どいつもこいつもバカばっかりだ」

 敷島達はバスターミナルの外れにある貸切バスの乗り場までやってきた。
 そこには件の観光バスが停車していた。

 係員:「では皆様、お気をつけて行ってらっしゃいませ!」

 敷島達が駆け付けると、団体客を乗せたそのバスが発車して行った。
 係員は50代くらいの男性で、バス会社の名前が入ったコートを着ていた。

 鷲田:「あー、ちょっと今、お話よろしいですかな?」
 係員:「はい?」
 村中:「私達、東京から来た警視庁の者です」

 鷲田と村中が警察手帳を見せると、係員はびっくりした顔になった。

 係員:「警察の人が何ですか?」
 鷲田:「あなたはいつもこうやって、団体客を見送っておられるのかな?」
 係員:「はい。飛行機の到着口からは少し距離がありますので、私共の方でそこまでお迎えに行きまして、そこからこの乗り場までご案内しているんですよ」
 村中:「1月30日もそのようにしていたわけですか?」
 係員:「はい。その時も勤務でしたから」
 鷲田:「あなたが案内した団体の中に、DCJロボット未来科学館の慰安旅行のツアーはいなかったかね?」
 係員:「DCJ?……ああ、何かそんな名前の団体さんがいましたね」
 鷲田:「その中にアメリカ人……金髪の白人の女性がいたと思うが、覚えていらっしゃるかね?」
 村中:「およそ30名ほどの日本人のツアーに、1人だけ外国人が混じっているわけだから、結構インパクトに残ると思うんだ。思い出せないかな?」
 敷島:「警視達、シンディも入れれば2人ですよ?」
 鷲田:「バカ。シンディは電源が入っていないんだろう?」
 敷島:「あ、そうでした」
 係員:「あ、思い出した。確かに、いましたよ。欧米の方らしく、とても陽気な人ですね」
 鷲田:「ここから乗ったので、間違い無いのかな?」
 係員:「はい。札幌の東急REIホテルまで行かれるとか……」
 敷島:「当たってる!」
 鷲田:「ふーむ……。では、空港からホテルまでの道筋も合っているわけか」

 だが、係員は信じられないことを言った。

 係員:「ポルトガルから来られた、いかにも陽気なラテン系って感じの人でしたね。ポルトガルじゃ雪は珍しいんでしょうね、この辺に積もっている雪を触っては、随分喜んでましたよ」
 敷島:「は?」
 鷲田:「おい、ちょっと待ってくれ。私達が捜しているのはアメリカ人だぞ?」
 村中:「どういうこと?というか、どうしてあなたはその外国人女性がポルトガル人だって分かったの?」
 係員:「ポルトガル語を喋っていたからですよ。あ、日本語も喋れるみたいですけど。前に私、スペインやポルトガルから来たツアーの人達をご案内したことがあったので、ポルトガル語だと分かったんですよ」
 鷲田:「敷島社長?」
 敷島:「アリスがポルトガル語を喋っていたのを聞いたことはないですよ。てか、あいつ、英語と日本語しか喋れないはずです」
 村中:「一体、どういうことなんだ?」

 一口に白人といっても数々の民族に分かれているわけだが、申し訳無い。
 日本人から見れば、全部一緒くた(一色淡というのは誤用)である。

 鷲田:「利用する時に書類にサインとかするだろう?」
 係員:「ええ、もちろん」
 鷲田:「その控えを見せてもらいたいのだが、可能かね?」
 係員:「ちょっと、私の一存では……」
 鷲田:「分かった。営業所に行ってみよう。営業所はどこかね?」
 係員:「あちらです」

 敷島達はバスの営業所に行くことにした。
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“Gynoid Multitype Cindy” 「アリス達の足取りを追う」 2

2017-02-16 22:43:00 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月3日09:30.天候:晴 羽田空港第2ターミナル]

 敷島はアリスが入店したというカフェで朝食を取っていた。

 敷島:「アリスのヤツ、随分食いやがるなぁ……」
 エミリー:「アリス博士の体付きの良さがよく分かりますね」
 敷島:「俺が毎日こんなに食ったら、すぐ太っちゃうよ」
 エミリー:「それはそれで、社長らしくなって良いと思いますよ」
 敷島:「悪かったな。今は全然社長らしくなくて。財団が崩壊して行き場を失ったミク達が可哀想になったから、事務所を立ち上げることにしたんだよ。危うく、皆バラバラに売られる所だったんだからな」
 エミリー:「御英断だと思います。ボーカロイド達は社長にばかり感謝しているようですが、本当はもっと敷島エージェンシーの立ち上げと運営に協力して下さった方々にも報恩感謝するべきだと思います」
 敷島:「いや、うちの面々はそこまで求めてないよ。せいぜい、もし報恩感謝するつもりなら、売り上げて応えてくれってところだろう。俺から言わせれば、皆それができてると思うよ。……ああ、MEGAbyteとかはまた事情が違うからな」
 エミリー:「朝食が終わりましたら、私を荷物として詰め込んでください」
 敷島:「あいつはどこでシンディを詰めたんだ?」
 エミリー:「多目的トイレです」
 敷島:「ああ、なるほど」

[同日10:00.天候:晴 同場所]

 エミリーと萌の電源を切ってキャリーケースに詰め込んだものの、その重量はとても重いものだった。
 マルチタイプ姉妹はだいぶ軽量化が進んだとはいえ、その体重はまだ3ケタあったはずである。

 敷島:「なるほど。それで電動アシスト付きキャリーケースなんてあるんだ」

 因みにDCJのロゴマーク入り。
 もしかして、製作したロボットをこれに入れて密輸出するつもりだったりするのか?
 敷島は預ける荷物として、そのスーツケースを出した。
 因みに品名は精密機械としたが、何と重量オーバーで預け入れを拒否されてしまった!

 敷島:「しょうがない。萌だけ手荷物だ」

 敷島は手荷物として電源の切れた萌を移し替えた。
 それにしても、エミリーの重さだと特別料金がハンパ無い。

 敷島:(これ、手荷物検査の無い新幹線の方が楽なんじゃないのか?)

 因みに今、北海道新幹線で北海道上陸は可能である。
 萌に関しては、パソコン周辺機器を収納する袋に入れた。

 警備員A:「お客様、これは?」
 敷島:「あ、それは試作品のロボットです。あ、もう電源は切ってありますんで」

 敷島は嘘はついていない。
 萌は妖精型ロイドの試作品である。
 因みに設計図はあるのだが、未だにどういうわけだか、増産の予定も商品化の予定も無かった。
 敷島の説明に、手荷物検査係の警備員はX線検査機に萌を通した。

 警備員A:「OKです」
 警備員B:「はい。お客様、どうぞ通りください」
 敷島:「はい」

 ピー!(金属探知機に引っ掛かった音)

 敷島:「ありゃ!?」
 警備員B:「失礼します。お客様、こちらへ」
 敷島:「マジで?」

 萌は大丈夫だったが、敷島はダメだった。

 警備員B:「お客様、腕時計は外してください」
 敷島:「あっ、いっけね!こりゃ失礼!」

 そして、どうにか手荷物検査を終えた敷島だった。

[同日11:00.天候:晴 ANA61便機内]

 搭乗手続きが始まり、敷島はやっと機上の人となった。
 尚、ツアー客が乗ったのはエコノミーである為、敷島もエコノミークラスだ。

 敷島:(お、窓側席だ)

 敷島は3人席の窓側に座った。
 見ると、そんなに空いているわけではない。
 恐らく、たまたまキャンセルか何か出たところをそのタイミングで押さえることができたのだろう。

 女性客:「すいません」
 男性客A:「はい」

 すぐ前の席では、そこそこ美人の女性客が通路側に座る男性客のすぐ前を通過して敷島の前の席に座った。

 敷島:(おおっ?いいなー)

 今なら敷島の浮つきを咎める者はいない。
 今のところ、敷島の隣の席に来る者はいないが……。

 男性客B:「お隣よろしいですかな?」
 敷島:「はい……?」

 敷島のすぐ隣に、ゴツい男の声がした。
 振り向いて見ると……。

 敷島:「げっ!?鷲田警視と村中課長!?」
 村中:「よお」

 ドッカリと座る鷲田。

 鷲田:「なにもそんなに驚くことはあるまい?」
 敷島:「いや、驚くでしょ!?どうして鷲田警視達が!?捕まえた犯人達の尋問で忙しいんじゃ!?」
 鷲田:「それは部下達に任せる。それより今回の件がKR団が絡んでいるとあれば、そうのんびりもできないんじゃないかと思ったのだ。だから敷島社長、キミに同行することにした」
 敷島:「私はただアリス達の軌跡を辿るだけですよ」
 鷲田:「分かっている。だが、何か分かるかもしれんぞ」
 敷島:「そうですかね……」

〔「……シートベルトの御着用をお願い致します。……」〕

 敷島達はシートベルトを締めた。

 鷲田:「1つ分かったことがある。いや、まだ確証は無いのだが……」
 敷島:「何ですか?」
 鷲田:「どうもDCJのツアー客は、ホテルになど入っていないようだぞ?」
 敷島:「えっ?でも、ホテルのスタッフは入ってるって……」
 村中:「おかしいだろ?だから調べてみたんだよ。これを見てくれ」

 敷島は通路側席に座る村中から、1枚のプリントを受け取った。
 それはPCの画面をコピーして印刷したものだった。

 敷島:「ツアー募集の広告ですか?」
 村中:「うん。ちょっとよく見てもらえないかな?」

 そのツアーはDCJ観光という観光会社が企画した、北海道2泊3日のツアーだった。
 日程などを見ると、これがまたDCJロボット未来科学館の慰安旅行とほぼ同じだ。
 違うのは新千歳までの航空便。
 DCJ観光とやらは成田出発になっていた。
 だが、そこから先の行程は科学館の方のツアーと全く一緒なのである。
 新千歳空港からバスで向かうのも、東急REIホテルにチェックインする時間も全く同じであった。

 敷島:「これは……!?」
 鷲田:「調べてみたのだが、旅行業としてのDCJ観光という観光会社は存在しない。全く登録がされていないんだ」
 敷島:「ええっ!?」
 村中:「我々が思うに、これは本物のDCJさんが行方不明になったとしても、捜索の手をかく乱する為に、わざと偽のツアーを仕立てて、それでカムフラージュする目的があったんだと思うね」
 鷲田:「だから恐らく、偽のツアー参加者は容疑者でも何でも無いだろう。偽ツアーと知らずに、ただ純粋に北海道旅行を楽しんだだけだと思う」
 敷島:「じゃあ、本物のDCJさん達……アリス達は?」
 村中:「恐らく、北海道の別の場所に誘拐されたんだと思う。ただ、今のところ犯行声明が出ていないのが気になるところだ」
 鷲田:「とにかく、件のホテルに行ってみよう。既に、捜査協力依頼書は持っているからな。何とかホテル側から詳しい話が聞ければいいのだが……」

 既に飛行機は離陸体制に入っており、機内安全ビデオが流れていた。
 英訳担当はイケメンの白人男性であったが、少なくともこのビデオはアリス達も見ていたはずだった。

 敷島達を乗せた飛行機はジェットエンジンを吹かし、北海道へ向かって離陸した。
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“Gynoid Multitype Cindy” 「アリス達の足取りを追う」

2017-02-15 19:21:04 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月3日07:20.天候:晴 JR大宮駅西口]

 敷島とエミリーは、あの時アリス達を見送ったバス停にいた。
 羽田空港行きのリムジンバスが出るバス停である。
 もしかしたら、既にこの時から事件の臭いは漂っていたのかもしれない。
 だからなるべく、アリス達と同じ足取りを追うことにしたのである。

 エミリー:「バスが来ました」
 敷島:「ああ」

 大宮駅西口7時20分発のバスは、京急バスが担当する。
 だから昨日、豊洲駅から乗ったエアポートリムジンと違い、バスの車体の塗装も白と赤というものだった。
 バスが敷島達の前で停車して、大きなエアー音を立てる。

 運転手:「はい、お待たせしました。羽田空港行きです」

 アリス達が乗って行ったのとは違う運転手が降りて来た。
 バスの乗務員はローテーションで動いているので、毎日運行のバスであっても、毎日が同じ運転手とは限らない。

 運転手:「お荷物はそこに置いておいてください。後で積み込みます」

 係員のいないバス停では運転手が積み下ろしをするので、バスの荷物室の前に荷物を置いておくことになる。
 敷島とエミリーは運転手にチケットを渡してバスに乗り込んだ。
 既に数人の乗客が乗っているのは、このバスが始発ではないからだろう。

 エミリー:「社長、こちらに」
 敷島:「ああ」

 敷島達はアリス達が乗ったのと同じ場所、後ろの席に座った。
 豊洲駅発と違い、こちらは後ろにトイレが付いている。
 そのすぐ前の席だ。

 敷島:「まさか送った相手と同じバスの、しかも同じ席に座ろうとは思わなかったな」
 エミリー:「ええ。ですが、車両までは違うものです」
 敷島:「そうなのか?」
 エミリー:「ええ。ナンバーが違います」
 敷島:「お前、そういう所も見てるんだなぁ」
 エミリー:「特殊工作用としての用途も、私達にはありますので。もっとも、シンディはそこまでしているか分かりませんが」
 敷島:「おいおい。同型機なんだから、同じようにしてもらわないと困るよ」
 エミリー:「規格は同じなんですが、平賀博士やアリス博士とではコンセプトが違いますから」
 敷島:「うーむ……」

 だいたい半分くらいの席が埋まったところで、バスは出発した。
 早朝の便だと、この後でさいたま新都心駅にも止まるようだが、この便はもうこのまま羽田空港に向かうようだ。
 まずは女声の自動放送が流れた後、運転手の肉声放送が流れる。

〔「……羽田空港第2ターミナルには8時45分、第1ターミナルには8時50分、終点国際線ターミナルには9時ちょうどの到着予定です。……」〕

 敷島:「このルートをアリス達が通ったはずだ。エミリー、シンディの電源が切られる前の動きは覚えてるな?」
 エミリー:「はい」
 敷島:「なるべくアリス達が通ったルートをそのまま行く。何か変わったことがあるはずなんだ」
 エミリー:「了解しました」

[同日08:45.天候:晴 羽田空港第2ターミナル]

 エミリー:「社長、起きて下さい。まもなく第2ターミナルです」
 敷島:「……はっ!?しまった!つい、眠ってしまった!アリス達の動向を追うはずが……」
 エミリー:「私はずっと見ていましたが、特に変わった所はありませんでしたよ」
 敷島:「そ、そうなのか?」

 そういうことしているうちにバスが停車した。

 運転手:「羽田空港第2ターミナルです」
 敷島:「ああっと!」

 敷島は手荷物として荷棚に置いた荷物を下ろした。
 そして、急いでバスを降りる。

 係員:「お荷物ありますか?」
 エミリー:「あります。社長」
 社長:「ああっと!そうだった!」

 敷島はバスの荷物室から、大きなキャリーケースを降ろしてもらった。
 これはエミリーを飛行機で輸送する為のものである。

 社長:「早いとこ行くぞ」
 エミリー:「ちょっと待ってください」
 社長:「何だ?」

 エミリーはその大きなケースを開けた。
 その更に内側にあるポケットの中を開ける。

 エミリー:「何をしている!」

 エミリーは咎めるように言った。

 敷島:「お前は……!?」
 萌:「エヘヘヘ……」

 妖精型ロイド、萌だった。
 旧KR団最後の研究者、吉塚広美が製作した唯一の妖精型である。
 井辺のことを1番慕っていて、今ではロボット未来科学館でアルエットと一緒に展示されていた。

 萌:「おはよーございます」
 エミリー:「どういうことか、説明してもらおう」

 エミリーは険しい顔付きになって萌を睨みつけた。
 尚、萌という名前は彼女の型番、MOE-409から取った。
 井辺が見つけた時はまだ試作中だった為か性別の設定が無く、萌は自分のことをボクと呼んでいた。
 ところが後でアリス達に、妖精は女の子ということで、性別設定を女にされた。
 体付きや顔付きも、もう少し女の子に近いものに改良されたのだが、未だに何故か一人称はボクのままである。

 萌:「いや〜、井辺さんがなかなか会いに来てくれないんで、社長さんの荷物の中に紛れ込んじゃいました」
 エミリー:「さっさと帰れ!」
 萌:「帰り方が分からないんです。GPSが付いてないもんで」
 敷島:「今からDCJさんに送り返す時間も無ければ、うちの会社まで持って行く時間も無いぞ。しょうがない。もしかしたら、お前にも働いてもらう機会があるかもしれない。一緒に来てもらう」
 萌:「井辺さんは?」
 敷島:「いないよ」
 萌:「えーっ!」
 エミリー:「いい加減にしろ。ワガママ言うと、私が強制送還するぞ?」
 萌:「ひぇっ!そ、それだけは……!」
 エミリー:「それなら、敷島社長の言う事は全て聞け」
 萌:「は、はい……」
 敷島:「萌程度なら、手荷物として機内持ち込みできるかな?」
 エミリー:「金属探知機に引っ掛かるのがオチだと思います」
 敷島:「……だな」

 妖精型だけに、萌の身長は30cmも無い。
 フィギュア程度の大きさである。

 敷島:「エミリーと仲良くここに入ってもらうから」
 萌:「ボク、お荷物ですか?」
 敷島:「さっきもバスの荷物として乗っていただろうが」
 エミリー:「そういうことだ」
 敷島:「で、エミリー。アリス達はこの後、どうしたんだ?」
 エミリー:「はい。集合時刻まで時間があったようで、朝食を取られています」
 敷島:「よし。俺も同じ店で朝飯食うぞ。どこだ?」
 エミリー:「こっちです」

 エミリーは自分が荷物として詰め込まれるケースを引きながら、敷島を誘導した。
 尚、萌はしばらくの間、エミリーの肩に乗っかっていた。
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