[9月4日03:45.天候:晴 宮城県大崎市古川 東北自動車道・長者原SA]
東北自動車道に入った敷島達だったが、高速道路に入ったら安心したのか、色々と気が抜けたようだ。
アリスは腹が減ったというし、敷島は眠気を感じていた。
敷島:「ガソリンスタンドもある大きなサービスエリアだ。何か食えるだろう」
アリス:「お腹空いた……」
平賀:「タバコ切れた……」
敷島はSAへハンドルを切った。
敷島:「こんな真夜中の、それも日曜日じゃガラガラか……」
平賀:「随分と長い間、廃坑にいたんですねぇ……」
マイクロバスでは、大型駐車場に止めることになる。
敷島:「はい、着きました」
アリス:「やっと食べれる……」
平賀:「タバコ吸える……」
敷島がインパネ横のスイッチを操作して、スライドドアを開けた。
すると何故か臭ってくるものがある。
アリス:「なに?この臭い……」
平賀:「多分、牧場の臭いだな。場所柄、そういうのがあってもおかしくはない」
平賀はあんまり気にすることもなく、バスを降りてしまう。
敷島:「エミリーはシンディを見てておいてくれ。一応、シンディは充電中だからエンジンは掛けておくから」
エミリー:「了解・しました」
敷島は平賀とアリスが降りた後、自動ドアを閉め、自分は運転席のドアから降りた。
平賀は売店でタバコを買いに行き、アリスはスナックコーナー(軽食堂)に行き、敷島はトイレに向かった。
いずれも24時間営業である。
エミリーは人間達が施設内に入って行ったのを確認すると、バスのドアを開けた。
エミリー:「シンディ、ここで・待て」
妹機にそう言うと、エミリーはバスのすぐ近くに止まっている長距離トラックに近づいた。
運転手は仮眠を取っているのか、キャブの窓にはカーテンが引かれていて、中の様子を窺い知ることはできない。
もちろん、エミリーはそちらの方には興味が無く、あったのはむしろ積み荷の方。
エミリーは運転手に悟られないよう、ハコの扉をノックした。
すると、中から扉が開いた。
そこにいたのは、バージョン4.0。
右腕には108という番号が振られている。
エミリー:「お前か?情報を・私に・くれる・というのは?」
108号機:「ハイ」
エミリー:「時間が無い。手短に・頼む」
エミリーはスッと服の下に隠し持っていたエンジンオイルを渡した。
ロイドのような人間形態に近い機種は、かなり高級なオイルを使用するのだが、バージョンのようなロボットは安価なオイルを使うことが多い。
エミリーが渡したのは、そんなロボットには似つかわしくない、ロイドが使用するタイプのオイルだった。
これがエミリーからの報酬。
DCJではそういったオイルも製造している会社と提携して、ロイド用に特化したオイルの製造を考えているらしい。
バージョン4.0の108号機は、逆にエミリーに提案してきた。
エミリー:「それは……本気で・言ってる・のか?」
108号機はコクコクと丸い頭部を縦に振った。
エミリー:「……分かった。責任は・私が・取る。直ちに・それを・実行せよ」
エミリーは108号機の提案を了承した。
108号機は大きく頷くと、再びトラックに乗り込んだ。
ナンバーが横浜になっていたから、この108号機も、横浜港辺りからどこかの国際貨物船に乗せられるのだろうか。
エミリーは足早にマイクロバスに戻った。
エミリー:「復讐……開始……!」
結局、皆で夜食を食べた敷島達。
その後で、ちょっと仮眠を取ることにしたらしい。
『走る司令室』に改造されたマイクロバス。
シートは殆ど取り外されてしまって、モニタなどの機器が設置されている。
運転席のシートを倒したり、残ったシートを倒したりして明るくなるまで仮眠を取ることになった。
[同日06:00.天候:晴 同場所・喫煙所]
平賀は1人降りて、喫煙所でタバコを吸っていた。
エミリー:「プロフェッサー平賀」
平賀:「エミリー。別に、車の中にいていいんだぞ。どうせ自分は、タバコを吸ってるだけだ。敷島さん達、タバコ吸わないからな」
エミリー:「イエス。あの……」
平賀:「ん?」
エミリー:「先ほど・ニュースが・入って・きまして、フィリピンに・向かって・航行中の・貨物船が・爆発を・起こして・沈没した・もようです」
平賀:「何だって!?それはもしかして、ルディの?」
エミリー:「それは・分かりません。ですが・可能性は・高いと・思います。あくまで・速報です」
平賀:「よし、分かった。それなら、早とこ仙台に戻って、情報を集めないとな」
エミリー:「イエス」
平賀:「自分はこの後、トイレに行って来るからな。6時半くらいになったら、敷島さん達を起こそう」
エミリー:「イエス」
エミリーは平賀にお辞儀をして、それからバスへと戻っていった。
その顔は、ほくそ笑んだものになっていた。
エミリー:(復讐……完了……!)
[9月4日10:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 東北工科大学・南里志郎記念館]
平賀:「アルエットの修理が終わったと思ったら、今度はシンディの修理か。忙しいな」
でも何故か楽しそうな平賀。
平賀にとって、ロボットやロイドいじりは子供の頃からの楽しみなのであった。
敷島は、日曜日でライブやイベントに出るボカロやマネージャー達に電話で指示を出した後で、記念館の応接室で休んでいることにした。
アルエット:「お姉ちゃん!心配かけてゴメンね!もう大丈夫だよ!」
エミリー:「アルエット。修理が・終わって・良かった」
エミリーは少ししゃがんだ形になって、従妹機であるアルエットを抱きしめた。
アルエット:「でも、今度はシンディお姉ちゃんが……」
エミリー:「心配無い。シンディも・必ず、直して・もらえる」
アルエット:「本当!?本当なの!?」
エミリー:「ああ。心配無い。何故なら……」
平賀:「ありゃ!?ウィルスの半分以上が既に除去されている!?」
アリス:「しかも、ウィルス汚染でオシャカになったはずのソフトも復元されちゃって……。もしかして、明日までには修理完了できちゃうってオチ?」
平賀:「……だな」
エミリー:「……という・ワケだ」
アルエット:「そうなの!?スゴイ!スゴーイ!さすがは初音ミクさんだね!」
エミリー:「だから・何も・心配しなくて・いい」
アルエット:「うん!」
敷島は応接室のソファに横になっていたが、
敷島:(ルディの乗った貨物船が都合良く爆発したか……。都合が良過ぎるな……。ルディのヤツ、まだ何か企んで……zzz……)
さすがは歴戦の強者、何となくおかしいと思ったようであるが、徹夜戦の眠気には勝てなかったようである。
東北自動車道に入った敷島達だったが、高速道路に入ったら安心したのか、色々と気が抜けたようだ。
アリスは腹が減ったというし、敷島は眠気を感じていた。
敷島:「ガソリンスタンドもある大きなサービスエリアだ。何か食えるだろう」
アリス:「お腹空いた……」
平賀:「タバコ切れた……」
敷島はSAへハンドルを切った。
敷島:「こんな真夜中の、それも日曜日じゃガラガラか……」
平賀:「随分と長い間、廃坑にいたんですねぇ……」
マイクロバスでは、大型駐車場に止めることになる。
敷島:「はい、着きました」
アリス:「やっと食べれる……」
平賀:「タバコ吸える……」
敷島がインパネ横のスイッチを操作して、スライドドアを開けた。
すると何故か臭ってくるものがある。
アリス:「なに?この臭い……」
平賀:「多分、牧場の臭いだな。場所柄、そういうのがあってもおかしくはない」
平賀はあんまり気にすることもなく、バスを降りてしまう。
敷島:「エミリーはシンディを見てておいてくれ。一応、シンディは充電中だからエンジンは掛けておくから」
エミリー:「了解・しました」
敷島は平賀とアリスが降りた後、自動ドアを閉め、自分は運転席のドアから降りた。
平賀は売店でタバコを買いに行き、アリスはスナックコーナー(軽食堂)に行き、敷島はトイレに向かった。
いずれも24時間営業である。
エミリーは人間達が施設内に入って行ったのを確認すると、バスのドアを開けた。
エミリー:「シンディ、ここで・待て」
妹機にそう言うと、エミリーはバスのすぐ近くに止まっている長距離トラックに近づいた。
運転手は仮眠を取っているのか、キャブの窓にはカーテンが引かれていて、中の様子を窺い知ることはできない。
もちろん、エミリーはそちらの方には興味が無く、あったのはむしろ積み荷の方。
エミリーは運転手に悟られないよう、ハコの扉をノックした。
すると、中から扉が開いた。
そこにいたのは、バージョン4.0。
右腕には108という番号が振られている。
エミリー:「お前か?情報を・私に・くれる・というのは?」
108号機:「ハイ」
エミリー:「時間が無い。手短に・頼む」
エミリーはスッと服の下に隠し持っていたエンジンオイルを渡した。
ロイドのような人間形態に近い機種は、かなり高級なオイルを使用するのだが、バージョンのようなロボットは安価なオイルを使うことが多い。
エミリーが渡したのは、そんなロボットには似つかわしくない、ロイドが使用するタイプのオイルだった。
これがエミリーからの報酬。
DCJではそういったオイルも製造している会社と提携して、ロイド用に特化したオイルの製造を考えているらしい。
バージョン4.0の108号機は、逆にエミリーに提案してきた。
エミリー:「それは……本気で・言ってる・のか?」
108号機はコクコクと丸い頭部を縦に振った。
エミリー:「……分かった。責任は・私が・取る。直ちに・それを・実行せよ」
エミリーは108号機の提案を了承した。
108号機は大きく頷くと、再びトラックに乗り込んだ。
ナンバーが横浜になっていたから、この108号機も、横浜港辺りからどこかの国際貨物船に乗せられるのだろうか。
エミリーは足早にマイクロバスに戻った。
エミリー:「復讐……開始……!」
結局、皆で夜食を食べた敷島達。
その後で、ちょっと仮眠を取ることにしたらしい。
『走る司令室』に改造されたマイクロバス。
シートは殆ど取り外されてしまって、モニタなどの機器が設置されている。
運転席のシートを倒したり、残ったシートを倒したりして明るくなるまで仮眠を取ることになった。
[同日06:00.天候:晴 同場所・喫煙所]
平賀は1人降りて、喫煙所でタバコを吸っていた。
エミリー:「プロフェッサー平賀」
平賀:「エミリー。別に、車の中にいていいんだぞ。どうせ自分は、タバコを吸ってるだけだ。敷島さん達、タバコ吸わないからな」
エミリー:「イエス。あの……」
平賀:「ん?」
エミリー:「先ほど・ニュースが・入って・きまして、フィリピンに・向かって・航行中の・貨物船が・爆発を・起こして・沈没した・もようです」
平賀:「何だって!?それはもしかして、ルディの?」
エミリー:「それは・分かりません。ですが・可能性は・高いと・思います。あくまで・速報です」
平賀:「よし、分かった。それなら、早とこ仙台に戻って、情報を集めないとな」
エミリー:「イエス」
平賀:「自分はこの後、トイレに行って来るからな。6時半くらいになったら、敷島さん達を起こそう」
エミリー:「イエス」
エミリーは平賀にお辞儀をして、それからバスへと戻っていった。
その顔は、ほくそ笑んだものになっていた。
エミリー:(復讐……完了……!)
[9月4日10:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 東北工科大学・南里志郎記念館]
平賀:「アルエットの修理が終わったと思ったら、今度はシンディの修理か。忙しいな」
でも何故か楽しそうな平賀。
平賀にとって、ロボットやロイドいじりは子供の頃からの楽しみなのであった。
敷島は、日曜日でライブやイベントに出るボカロやマネージャー達に電話で指示を出した後で、記念館の応接室で休んでいることにした。
アルエット:「お姉ちゃん!心配かけてゴメンね!もう大丈夫だよ!」
エミリー:「アルエット。修理が・終わって・良かった」
エミリーは少ししゃがんだ形になって、従妹機であるアルエットを抱きしめた。
アルエット:「でも、今度はシンディお姉ちゃんが……」
エミリー:「心配無い。シンディも・必ず、直して・もらえる」
アルエット:「本当!?本当なの!?」
エミリー:「ああ。心配無い。何故なら……」
平賀:「ありゃ!?ウィルスの半分以上が既に除去されている!?」
アリス:「しかも、ウィルス汚染でオシャカになったはずのソフトも復元されちゃって……。もしかして、明日までには修理完了できちゃうってオチ?」
平賀:「……だな」
エミリー:「……という・ワケだ」
アルエット:「そうなの!?スゴイ!スゴーイ!さすがは初音ミクさんだね!」
エミリー:「だから・何も・心配しなくて・いい」
アルエット:「うん!」
敷島は応接室のソファに横になっていたが、
敷島:(ルディの乗った貨物船が都合良く爆発したか……。都合が良過ぎるな……。ルディのヤツ、まだ何か企んで……zzz……)
さすがは歴戦の強者、何となくおかしいと思ったようであるが、徹夜戦の眠気には勝てなかったようである。
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