報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

「郵政民営化」とメディア(9)

2005年08月13日 16時44分20秒 | □郵政民営化


http://news.ft.com/cms/s/ae844de4-0834-11da-97a6-00000e2511c8.html

 8月8日、FINANCIAL TIMES.COMがこのような報を出していたようです。
 上段の最後の行に、
”The global finance industry will have to wait a little longer to get its hands on that $3,000bn of Japanese savings. ”
「国際金融業は、3兆ドルの日本の預貯金を手にするのに、もうほんの少しだけ待たなければならない」
 とある。
 
 まるで天気予報のようだ。
 ちょっと曇りましたが、すぐ晴れます。傘は必要ありません。
 そんな感じだ。
 我々の350兆円だ。

 米国メディアは、国際金融資本が、郵貯・簡保の350兆円を手にするのは、一点の曇りもない既成事実であると確信していることがうかがえる。
 当の国際金融資本は言うに及ばないだろう。
 海の向こうでは、こんな記事が平然と書かれている。

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6 コメント

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Unknown (Ojos)
2005-08-17 15:00:54
中司さん。

いつも興味深くブログ拝見しています。国際紛争地域などの情報は、新聞等既存メディアにはどうしても偏りがあり、さまざまなブログから情報を収集し選別し自分なりのものの見方を作ることが重要だと思っています。

さて、郵政民営化問題。中司さんは反対の立場ですが。私は賛成です。もちろん今出ている法案が100%とは思っていませんが、改革への第一歩になると思います。たしかに小泉さんはパフォーマーなところはあり、のらりくらりとしていて、おいおいと突っ込みいれたくなります。があの解散演説は実に胸をうちました。反対派や民主党のしどろもどろにくらべたら、実にシンプルに自分の信念を語っている。そして、国民に信を問うという姿勢はすばらしいと思います。なぜ官にできることが民にできないのか。この部分が一番重要ではないでしょうか?少子化、高年齢化で大きな政府ではいられないのはだれの目にも確かなのに。やはり民営化反対と声高に反対する議員からはたんなる既得権を死守したいだけとしか私にはうつらない。

私はこのままでは日本は沈没してしまうと非常に危機感を持っています。

最初から完璧なものは何もないとおもう。でも何も踏みださなければ、なにも変わらず、じりじりと船が沈んでいくだけだと思うのですが。

まだまだ、法案内容も勉強中で知識も足りない中コメントしてしまいましたが、とにかく選挙には皆さんに行ってもらいたいものです。
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Unknown (rei)
2005-08-17 17:45:53
私は郵政民営化には反対だ。

重要なのは、郵政事業は金儲けのためにやっているのではないということにある。民営化後、徹底的に利益追求に走り郵便会社は大儲けしたとしてもはたして国民は何を得るというのだろう。

そして民営化したことで、資金需要の無い現在、一体何処に融資するというのだろう。融資先が無く結局特殊法人にも金は流れ続けるだろう。消費者金融に手を出すかもしれない。

また官と民という区別も漠然としたものだ。「官のお金を民に流す」というが、官が使ったお金は民に流れないというのか?そんなことはない、例えば公務員にしたって給料という形で官のお金が民に流れているではないか。

改革という言葉も非常に曖昧だ、だが多くの国民は小泉の改革を脈略も無く正しいものとして認識し、その上で実行できるかどうかの評価をしているに過ぎない。実行できるかどうかではなくすべきかどうか考え、小泉が何をしようとしているかを知るべきである。

世間は小さな政府を妄信している。大きな政府は悪だと信じきっている。それでは何故大きな政府はダメで小さな政府なら全て上手くいくと妄信できるのか。そもそも政府の役割を知っているのだろうか?

政府の役割、それは所得の再配分である。強者から弱者へのお金の流れである。それを放棄することは強者にとってはプラスになる。



今回の解散をガリレオ解散だと小泉は言っていたが、なるほどその通りである。圧倒的な力で天動説以外の説を否定しガリレオを宗教裁判にかけたキリスト教会の姿と小泉はピッタリ一致する。

果たして国民は何を見るのだろう。いつか真実が身をもって分かるときが来る。そのとき国民は振り返って小泉にどんな評価を下すのだろうか。

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Ojosさんへ (中司)
2005-08-17 18:08:52
コメントありがとうございます。

「郵政民営化」問題は、国内問題として見ている限り、その本質は見えてきません。国際的な政治経済の歴史的流れを見る必要があります。



このブログで何度も述べてきてますが、アメリカの財政というのは、とっくの昔に破綻しています。対外債務はすでに4兆ドル。ブッシュ政権になってから双子の赤字は毎年7000~8000億ドルにのぼります。2005年度の財政赤字は3310億ドル。経常収支赤字は5000億ドル。そして、アメリカの貯蓄率はほぼゼロです。



つまり、毎年海外から8000億ドルを調達しないと、いまのアメリカ経済は回らない。その資金の大部分を回しているのは日本です。日本は、一国でアメリカの赤字の約4割を支えています。また、2003年度は、為替市場に約30兆円を投入し、そこで得たドルで米国債を買っています。為替介入資金の上限も140兆円まであげています。現在、約80兆円分の米国債を保有しているので、あと60兆円分買えるということです。米国債の購入によって、ドルをアメリカに回しているのです。民間の金融機関も莫大な米国債を保有しています。



それから、日本の金利は常にアメリカより低く抑えられ、アメリカに資本が回るようにもしています。



政府、民間合わせて、日本が保有しているドル資産(債権、証券、現金)は、いったいどれくらいになるのか、誰にも分かりません。300兆円とも400兆円とも言われています。そして、日本の保有しているこれらのドル資産は、日本に戻ってきません。アメリカが歴史的に要求してきた円切り上げ(ニクソン・ショック、プラザ合意)によってすでに目減りしてしまっているからです。プラザ合意の時点で円は235円。現時点で、110円。ドル資産は、法貨にすると半減してしまっているわけです。これを日本に持って帰ってくれば、莫大な損益を計上することになります。



仮に損失覚悟で、これらのドル資産の何割かでも、円に替えれば、急激な円高となり、日本経済は打撃を受けることになります。二重の意味で、ドル資産は日本に持ってかえれないのです。日本の生保会社はもろにこの影響を受けています。生保が保有しているドル資産は半減し、円化することもできなくなったため、そのしわ寄せはすべての顧客にまわされました。将来受け取る年金を減らされたのです。



日本の保有するドル資産は、日本国と日本人のためには使われることはありません。永遠にアメリカ政府や金融界が運用します。それどころか、間接的にアメリカの戦争を支えることにもなっています。



このように日本は、歴史的にアメリカ経済を支え続けてきました。

なぜ、日本が巨額の富をアメリカに投入し続けるかと言えば、日本は、対米貿易で成り立っている国だからです。日本の貿易高の約3割がアメリカ向けです。つまり、アメリカの財政が破綻すると、日本の貿易額の三分の一がなくなるということです。だから、常に日本はアメリカにお金を回し続けなければならない。そのお金でアメリカは資源や製品を買う。この循環を止めれば、日本もアメリカも世界も破綻する。永遠に走り続けなければならない自転車のようなものです。





こうした文脈から、「郵政民営化」を見れば、その本質は歴然としています。これまで同様、日本国民の富で、増え続けるアメリカの財政赤字を支えるためです。残念ながら、日本国民は何も知らされていません。
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reiさんへ (中司)
2005-08-17 19:38:17
reiさんへ

コメントありがとうございます。

おっしゃるように、郵政事業は営利目的ではないことによって、国民の資産を守ってきました。



バブル崩壊以降、日本の民間金融機関は、莫大な不良債権を抱えました。多くの金融機関が破綻し、吸収合併が繰り返されました。生き残った金融機関も、アメリカ政府に押し付けられたBIS規制(自己資本率8%)をクリアーするために、外国資本を受け入れました。いま、日本の金融機関(銀行、証券、生保)のほとんどに外国資本が参加しています。完全に乗っ取られた金融機関も多数あります。



この過程で、不良債権処理のしわ寄せは、中小企業に回されました。貸し渋り、貸し剥がしによって、何万という中小企業が無慈悲に倒産させられていきました。倒産してしかるべき不良企業もありますが、優良企業でさえ、融資を剥がされ倒産していきました。外国から押し付けられたBIS規制8%という、何の根拠もない数字をクリアーするために。



現在、日本の産業は空洞化が進み、国内には設備投資の需要が激減しています。実体経済の縮小により、金融機関の資産は、危険なマネーゲームに向かっています。いわゆる「デリバティブ(金融派生商品)」です。アメリカの金融界で発明され複雑化してきたデリバティブは、アメリカと日本とでは大人と子供ほどの差があります。日本の金融界には、デリバティブに関する実践的手腕のある人間は、ほとんどいないと言われています。子供が、複雑なマネーゲームに手を出せば間違いなく損失を出し続けることになります。



郵貯・簡保が民営化され、実体経済の中で需要のない350兆円は、危険なマネーゲームの中に消え、米国債となり、アメリカを潤すだけの結果をもたらすでしょう。日本のごく一部の資本も潤うと思いますが。日本の経済団体は、郵政民営化を積極的に支持しています。



いま、郵貯・簡保を民営化することは、日本の未来を剥ぎ取ることになります。
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今日もとても勉強になり、感謝申し上げます (大高)
2005-08-20 12:38:26
今日もとても勉強になり、ありがとうございます。

私は連日、小泉自民が勝ってしまったらどうしようと

悩み、皆さん騙されないで~!と言う心境で不慣れな

日記を書くお手伝いをさせて戴いています。



そのなかで、中司さんのHPを見つけたときは

荒涼たる原野に戦友を見つけたような心強さを抱きました。(大げさでは無いのです。)

ビル・トッテンさんのHPも中司さんのお陰様で

勉強させて戴いています。



先日、中司さんのこちらの英文記事を活用させていただきました。事後報告で申し訳ございません。

訳文を活用させて頂いているので、使用料が発生するのでは、と申し訳なくおもいます。



その節はどうぞお申し付けください。



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大高さんへ (中司)
2005-08-20 15:47:53
当ブログが多少なりとも参考になり、お役に立つなら、これ以上の喜びはありません。

記載内容は、ご自由に引用していただいてなんら問題ございません。



マスメディアは、知っているにもかかわらず、国民の目から多くの事実を遠ざけています。そうした事実の一片でも伝えていけたらと思っています。



ある意味では、いまはいろいろなものがはっきり見える好機だと思います。誰が信頼にたる人物で、誰が国民の眼を欺いているのか、実に良く見えます。何も言及しないで、どちらが勝つか壁の後ろで見ている者もいます。この機会にしっかり見極めたいと思っています。



一時的な運動の盛り上がりは、必ずしぼんで消えてしまいます。そしてあとに何も残しません。大事なのは、一市民である我々一人ひとりが、見極める眼を持つことだと考えています。それが未来に繋がっていくのだと思います。



小泉首相や取り巻きは余裕を失っています。

我々は、のんびり、ゆっくり、歩みましょう。

歴史はまだまだ続いていきます。
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