ご質問:
前にコメントしたときにも言っておられましたがなんでアメリカは「脅威」が必要なんでしょうか??
お返事:
アメリカはかつて世界最大の債権国でしたが、いまや世界最大の債務国です。
そこにすべての答えがあります。
第二次世界大戦で世界は破壊されましたが、アメリカ一国だけは無傷で生き残り、世界の工場&農場として、世界中に工業製品と農産物を売り、貿易黒字を膨らませていきました。
戦後世界の基軸通貨は「ドル」です。戦前は、英ポンドが主流です。それから仏フランも。戦後は国際貿易にはドルしか使えなくなりました。しかし、戦争後の世界にはドルはまだ流通していません。アメリカは世界にドルを供給する必要がありました。そこでアメリカは、戦後復興援助としてヨーロッパをはじめ、世界にドルを供給しました。日本などは戦争賠償金を免除されたうえに、復興援助金までもらいました。
資源国には石油、ガス、鉱物などの資源を買うことによって、資源のない国には、復興援助という形でドルを供給したわけです。戦後、しばらくすると、当然のごとくアメリカは巨額の債権国になり、巨額の貿易黒字を経常しました。しかし、これは、たいへん困った事態なのです。
要するにばら撒いたドルが自分のところに戻ってきただけです。度を越した貿易黒字というのは、自分で自分の首を絞めるようなものです。おカネというのは、循環することによって経済を活性化します。まさに血液であり、隅々にまで行き渡らなければ意味がありません。巨額の貿易黒字は経済の貧血みたいなもので、ほっとけばぶっ倒れてしまいます。
アメリカは効率よく世界にドルをばら撒く必要がありました。しかし、必要以上に天然資源を買うわけにはいきません。援助としてばら撒くのにも限界があります。国民を納得させるだけの理由が必要だからです。過度の援助は納税者が納得しません。そこでアメリカは最も効率よく、かつ国民が反論できない形で世界にドルをばら撒く方法を考えました。
戦争です。
第二次大戦終結から、たった5年後の1950年に朝鮮戦争が起こったのはこのためです。
米国民と世界を納得させるために発明した理由こそが「共産主義の脅威」です。
アメリカ政府は、民主主義を脅かす共産主義を防ぐという名目で、世界に軍事援助をはじめます。これなら世界もアメリカ国内の納税者も納得せざるを得ない。「共産主義の脅威」「ソ連邦の脅威」が過度に演出され、アメリカは難なく世界にドルを供給することができました。またベトナム戦争などの局地戦を行うことによってもドルをばら撒き続けました。
アメリカにとって戦争とは、世界中にドルを供給するための手段です。ドルそのものは、輪転機を回すだけでいくらでも刷れます。基軸通貨ドルが世界の隅々にまで行き渡り、世界の中央銀行に備蓄されることによって、世界は急速にドルに支配されていきました。
世界がドルでジャブジャブになることによって、ドルはどんどん不安定になります。ドルが安くなれば、世界に備蓄されたドルの価値が下がります。もしドルが暴落すれば世界経済は崩壊します。世界は、ドルの価値を維持するために、アメリカに投資をし、かつアメリカ国債を買って、ドルを支えざるを得なくなりました。こうしてさらにドルが備蓄されていくわけです。いま世界は、ドルに支配されているのです。基軸通貨ドルこそが、アメリカの覇権と繁栄を生む源泉です。
たとえばいま日本が溜め込んでいるドルの何割かでも売ると、ドルの価値は急落します。そうなると世界で備蓄されているドルが目減りしてしまいます。世界中の経済が不安定になります。そんなマネをすると世界中から非難されます。世界はこれ以上ドルを抱え込みたくないのですが、アメリカが毎年出す、巨額の財政赤字と国際収支赤字を補填せざるを得ず、さらにドル備蓄を増やしています。抱え込んだドルの価値を維持するためです。もはや無限地獄です。
アメリカ国家の最大の命題とは、基軸通貨ドルを供給し続けることです。「戦争」はそのためのポンプです。戦争のためには理由が必要です。それが「脅威」です。かつては「共産主義の脅威」であり、いまは「テロの脅威」です。アメリカは戦争の理由を創造し続けます。
アメリカにとって、ドルに対する挑戦者などはもっての他です。
イラクが爆撃されてサダム・フセインが倒されたのは、彼が石油決済通貨をユーロにシフトし、ドルの権威に挑戦したからです。石油や軍需、再建ビジネスなどはオマケと言ってもいいでしょう。
アメリカの覇権の源泉とは「基軸通貨ドル」です。
決して軍事力ではありません。
アメリカの軍事力とは、「ドル」を防衛するためにこそあります。
いま世界は、世界最大の借金国に支配されています。
前にコメントしたときにも言っておられましたがなんでアメリカは「脅威」が必要なんでしょうか??
お返事:
アメリカはかつて世界最大の債権国でしたが、いまや世界最大の債務国です。
そこにすべての答えがあります。
第二次世界大戦で世界は破壊されましたが、アメリカ一国だけは無傷で生き残り、世界の工場&農場として、世界中に工業製品と農産物を売り、貿易黒字を膨らませていきました。
戦後世界の基軸通貨は「ドル」です。戦前は、英ポンドが主流です。それから仏フランも。戦後は国際貿易にはドルしか使えなくなりました。しかし、戦争後の世界にはドルはまだ流通していません。アメリカは世界にドルを供給する必要がありました。そこでアメリカは、戦後復興援助としてヨーロッパをはじめ、世界にドルを供給しました。日本などは戦争賠償金を免除されたうえに、復興援助金までもらいました。
資源国には石油、ガス、鉱物などの資源を買うことによって、資源のない国には、復興援助という形でドルを供給したわけです。戦後、しばらくすると、当然のごとくアメリカは巨額の債権国になり、巨額の貿易黒字を経常しました。しかし、これは、たいへん困った事態なのです。
要するにばら撒いたドルが自分のところに戻ってきただけです。度を越した貿易黒字というのは、自分で自分の首を絞めるようなものです。おカネというのは、循環することによって経済を活性化します。まさに血液であり、隅々にまで行き渡らなければ意味がありません。巨額の貿易黒字は経済の貧血みたいなもので、ほっとけばぶっ倒れてしまいます。
アメリカは効率よく世界にドルをばら撒く必要がありました。しかし、必要以上に天然資源を買うわけにはいきません。援助としてばら撒くのにも限界があります。国民を納得させるだけの理由が必要だからです。過度の援助は納税者が納得しません。そこでアメリカは最も効率よく、かつ国民が反論できない形で世界にドルをばら撒く方法を考えました。
戦争です。
第二次大戦終結から、たった5年後の1950年に朝鮮戦争が起こったのはこのためです。
米国民と世界を納得させるために発明した理由こそが「共産主義の脅威」です。
アメリカ政府は、民主主義を脅かす共産主義を防ぐという名目で、世界に軍事援助をはじめます。これなら世界もアメリカ国内の納税者も納得せざるを得ない。「共産主義の脅威」「ソ連邦の脅威」が過度に演出され、アメリカは難なく世界にドルを供給することができました。またベトナム戦争などの局地戦を行うことによってもドルをばら撒き続けました。
アメリカにとって戦争とは、世界中にドルを供給するための手段です。ドルそのものは、輪転機を回すだけでいくらでも刷れます。基軸通貨ドルが世界の隅々にまで行き渡り、世界の中央銀行に備蓄されることによって、世界は急速にドルに支配されていきました。
世界がドルでジャブジャブになることによって、ドルはどんどん不安定になります。ドルが安くなれば、世界に備蓄されたドルの価値が下がります。もしドルが暴落すれば世界経済は崩壊します。世界は、ドルの価値を維持するために、アメリカに投資をし、かつアメリカ国債を買って、ドルを支えざるを得なくなりました。こうしてさらにドルが備蓄されていくわけです。いま世界は、ドルに支配されているのです。基軸通貨ドルこそが、アメリカの覇権と繁栄を生む源泉です。
たとえばいま日本が溜め込んでいるドルの何割かでも売ると、ドルの価値は急落します。そうなると世界で備蓄されているドルが目減りしてしまいます。世界中の経済が不安定になります。そんなマネをすると世界中から非難されます。世界はこれ以上ドルを抱え込みたくないのですが、アメリカが毎年出す、巨額の財政赤字と国際収支赤字を補填せざるを得ず、さらにドル備蓄を増やしています。抱え込んだドルの価値を維持するためです。もはや無限地獄です。
アメリカ国家の最大の命題とは、基軸通貨ドルを供給し続けることです。「戦争」はそのためのポンプです。戦争のためには理由が必要です。それが「脅威」です。かつては「共産主義の脅威」であり、いまは「テロの脅威」です。アメリカは戦争の理由を創造し続けます。
アメリカにとって、ドルに対する挑戦者などはもっての他です。
イラクが爆撃されてサダム・フセインが倒されたのは、彼が石油決済通貨をユーロにシフトし、ドルの権威に挑戦したからです。石油や軍需、再建ビジネスなどはオマケと言ってもいいでしょう。
アメリカの覇権の源泉とは「基軸通貨ドル」です。
決して軍事力ではありません。
アメリカの軍事力とは、「ドル」を防衛するためにこそあります。
いま世界は、世界最大の借金国に支配されています。
物を知らない自分なりにも納得の出来るお話で、
とても毎回ためになっています。
今日のお話もとてもショック…(>_<)。
愕然です。。
アメリカの援助と戦争で一時期潤った世界は、結局、ドル漬けになり、ドルに支配され、富を奪われ続けています。
アメリカの戦争を止めるには、ドルの支配構造を根本から変えなければなりません。
実は、日本は唯一それができた国なのですが、バブルなどという小手先の方策ですべてを台無しにしてしまい、いま完全にドルの支配下にあります。
すばらしく深い洞察に感銘を受けるばかりです。
人間としてのモラルをここまで度外視して利益を追求する人間達に哀れみすら覚えると同時に、狡猾極まりないやり口に対抗していく為の難しさも感じています。
いずれにしても、このような情報がなかなか入ってこない状況を残念に思います。
この現状を打開するためのアプローチが圧倒的に不足しているのでしょう(直接的にも間接的にも)。
自分は医学部志望の身ですが、医療行為自体に満足せず、中司さんのように人々を触発できるような人間になりたいと思うばかりです。
アメリカというのは、もともと他国の干渉を嫌う鎖国国家だったのですが、植民地政策のヨーロッパ諸国が二つの世界大戦で自滅したために、一躍世界の覇権を取る立場に踊り出たわけです。それを利用するな、と言う方が無理なのかもしれません。当時、同じ立場にあれば、どこの国でもそうしたでしょう。今日の世界の有様を決定したのは、ヨーロッパの愚かな植民地主義に遡ることができると思います。
ただ、アメリカは実に巧みでした。
ヨーロッパ諸国は、戦後のアメリカの企みにまったく気づいていませんでした。フランスは途中から気づいたようですが、ヨーロッパ諸国の足並みが悪く(いまでもそうですが、特にイギリスが)、結局からめとられてしまいました。フランス人が頑なに英語をしゃべろうとしないのは、そのあたりにあるのかもしれません。基軸通貨ドルとともに、英語も世界共通言語になっていますから。
maxさんは医学部を目指しておられるのですね。
アメリカやIMF、世界銀行の政策によって、途上国の医療・保健分野はことごとく破壊されています。僕が頻繁に訪れている東ティモールでは、1ドルもしない寄生虫予防薬が買えないために人が命を落した例がありました。
解剖を執刀した医師は、
「この21世紀に、人が(数十セントで予防できる)寄生虫で死ぬなんて誰が信じられるだろうか」
とコメントしていました。
しかし、そのような例は世界中で起こっているはずです。世界中の医療関係者の方々に、なぜ途上国医療は向上しないのかを理解していただきたいと思っています。
ぜひとも医学部へ入られることを願っております。