甘い生活 since2013

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明るいアランフェス

2021年08月22日 07時14分56秒 | わがまま音楽

 アランフェス協奏曲といえば、いろんな人に取り上げられた第2楽章の、しっとりと歌いまくる、人の心に入り込んでいくメロディのところ、あそこしかずっと知りませんでした。

 若い頃、少し興味本位に近づいてみたら、何だこの頼りない曲は! と腹立たしくて、それからずっと遠ざかっていたような気がします。

 私は、冨田勲さんの「宇宙幻想」(1978)からアランフェスに入った人だったんですね。だから、アランフェスには、不思議な情念みたいなのがあって、それを聞かせてもらいたい。人の哀しい思いに触れたい。そういう気持ちを癒してもらいたい。なんていう甘い幻想を抱いて、アランフェスに触れようとしたので、もちろんアランフェス協奏曲は、そんな人には門戸を開いてくれませんでした。何だか頼りない、実体のない曲でした。


 それが、どういう経緯でうちにあるのかもう忘れてしまったけれど、2003年の4月に村治佳織さんのCDをコピーしていて(人から指示されたわけではなくて、自発的に!)、そのままずっと忘れ去っていたものがありました。

 それで、先日FMを聴いていて、曲の紹介で「アランフェスをやります」と曲の紹介があって、曲がかかる前から、ちゃんと第1楽章の軽快なメロディが頭の中に広がっていました。どういうわけか、私は既聴感があった。

 コピーして、何もかも忘れていたけど、この軽やかさはすでに知ってたんだ。とても素晴らしい! あれ、これ、うちにあったかもしれないと、家の中を探して、見つけて、昨日から第1楽章だけ何度も聞いています。

 2楽章は聞きましたけど、やはり今の気分には合いませんでした。不思議なものです。音楽は、頭の中で鳴り響く時がそれぞれにあって、今はもうやたらめったら第1楽章が鳴り響いている。ギターも、適度に鳴っている。たったの5分くらいしかないのがもったいない。すぐに第2楽章が始まるから、「いや、そうじゃなくて」とスキップしなくてはならなくなります。


 1939年にロドリーゴさんは作曲したそうで、1940年に初演されたということでした。

 えっ、そんな最近の曲なのだと、あらためてビックリしたところでした。

 あれ、1939年? と、少しだけ調べてみたら、スペイン内戦が収まってから、ロドリーゴさんはスペインにもどり、そこで発表したということでした。

 何もかも忘れていたけど、ヘミングウエイが参戦し、アンドレ・マルローも戦った共和国軍。これらはやがて敗れて軍人のフランコさんが権力を握り、ここから30年近く独裁者として君臨していくわけでした。そんなスペイン内戦があって、世界はそこから戦争の時代に入っていったんでした。ロドリーゴさんも、よそのヨーロッパにいても、落ち着かなかったかもしれませんね。

 ロドリーゴさんは、独裁国家でも、戦争をしてないのなら、帰国しようかと、帰国したようです。ロドリーゴさんは、幼い頃の病いが原因で目が不自由でもあったそうです。ギターも弾かなかった。でも、ギターの協奏曲を作曲した。

 そう、第2楽章のしっとりも、その他もすべて含めてアランフェスなんですけど、全体は、明るさと軽やかさがある曲なんだけど、スペイン内戦も、世界の戦争も、何もかもを乗り越えて今の私たちに届いている曲なんですね。

 知らなかった。しばらくは、第1楽章を飽きるほど聞いて、曲全体になじんでいきます! CDは村治佳織さんだから、コピーしたんだろうな。借りたんだろうか。レンタルだったのか? 全く何も憶えてないなんて、恐ろしいくらいのボケの私です。


* ロドリーゴさんは長生きで、1901年生まれで1999年に亡くなっています。他にはどんな曲があるのか、少しだけ知りたくなりました。ギターの曲はないんですね。ピアノでもいいんですけど。



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