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思い出観劇記‐イングリッシュ・ナショナル・バレエ「眠れる森の美女」

2006-02-11 23:59:15 | 思い出し観劇記・バレエ
イングリッシュ・ナショナル・バレエ
「眠れる森の美女」
 振付…プティパ(原版)、ケネス・マクミラン(改訂)
 セット…ピーター・ファーマー
 衣装…ニコラス・ジョージアディス
2005年11月26日マチネ
パレス・シアター、マンチェスター
キャスト
 国王フロレスタン14世King Florestan XXIV- Adam Pudney
 王妃His Queen Jane Haworth
 侍従長カタラブッテCattalabutte, Master of Ceremonies- Michael Coleman
 オーロラ姫Princess Aurora- Erina Takahashi(高橋エリナ)
 デジレ王子Prince Desire- Cesar Morales
 リラの精Lilac Fairy- Elena Glurdjidze
 カラボスCarabosse- Maria Ribo Pares
 水晶の泉の妖精Fairy of the Crystal Fountain- Desiree Ballantyne
 魅惑の園の精Fairy of the Enchanted Garden- Adela Ramirez
 森の泉の精Fairy of the Woodland Glade- Lenaig Guegan
 歌姫の精Songbird Fairy- Kei Akahosi (赤星ケイ)
 黄金のぶどう酒の精Fairy of the Golden Vine- Emma Northmore
 イングランドの王子English Prince- Fabian Reimair
 スペインの王子Spanish Prince- Daniel Jones
 インドの王子Indian Prince- Van Le Ngoc
 フランスの王子French Prince- James Streeter
 金の精Gold- Andre Portasio
 ダイアモンドDiamond- Elisa Celis
 銀Silver- Sarah Mcllroy, Emma Northmore, Kei Akahosi
 長靴を履いた猫と白猫Puss in Boots and the White Cat- Desiree Ballantyne, Van Le Ngoc
 青い鳥とフロリナ姫The Bluebird and Prince Florine- Maria Kochetkova, Pedro Lapetra
 赤ずきんと狼Red Riding Hood and the Wolf- Jennie Harringron, Pedro Lapetra

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)はロイヤルに次いでイギリスで第二の規模を誇るバレエ団です。バレエ・リュッス出身のプリマ、アリシア・マルコヴァが1930年代に設立して以来、何度か名称変更+経済危機をくぐり抜けて今に至ります。
 とは言ったものの、バーミンガム・ロイヤルもよく「二番手」と言われるのですが・・・とりあえず、ダンサー人数では二番目に多いです。元々カンパニーの性質も違うしね。
 
 この「眠れる森の美女」はケネス・マクミランが87年にアメリカン・バレエ・シアター用に製作した作品で、今回、ENBは初めて採用したのだそうです。マクミランというと「マノン」とかロミジュリという印象なので、こんな古典をどうやって改訂したのかしら?と少し不安でしたが、意外や意外、まともなおとぎばなしになっていました。実を言いますと「眠れる森の美女」をまともに見るのはこれが初めてなので、どういった所が改訂なのかはまるでわからなかったのですが…
 まず思ったのが「すごい形式美で彩られた作品」。踊りを見せることがまず第一で、ストーリー展開をあまり重視していないことにまず驚きました。
まあ、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」だって同じ趣向なんですけどね。個人的に「マノン」やBRBの「ホブソンズ・チョイス」のように、物語バレエが好きなので、どうも「妖精たちの踊りなげえー」など思ってしまったり、隣の友人が三幕でうたたねをしてしまったり。(すみません。)
そうは言ってもやはり、華やかな踊りや庭園、宮廷、そしてリラの精の乗るゴンドラなど舞台装置も工夫が凝らされた華やかな舞台でした。

 オーロラ姫を演じたのは日本人プリンシパルの高橋エリナさん。弾むように出てくる登場から、天真爛漫で可愛いお姫様でした。
ただ、ひやひやしたのが悪名高いローズ・アダージオ。求婚者の4人の王子からバラを受け取るのに、片足ポワントで静止したポーズを取るという背骨と腰にきそうなシーン。

いみじくもプログラム中で、デボラ・マクミラン(マクミランの未亡人)が『…原版を振付けたプティパという人は少しばかりサディストだったのではないかと時々思います。かわいそうなオーロラ!…』と書いていましたが、いやはや、きつそうでした。2、3人目の王子様の手を離すとき、少しグラついて、手を握りなおしたのでひやりとしましたが、その後持ち直して、錘で指を刺した時の驚愕→取り繕うように強がり→崩れ落ちて眠りにつくまで、姫様に同調して見ていました。二幕の「たましい」状態で王子と踊るシーン、三幕のバリエーションも美しかったです。
 
王子役はチリ出身のソリスト、セサル・モラレス。ラテンにかっこいい王子様でした。とりあえず毎日なんか憂鬱で、そんなときにオーロラを幻で見て、自分こそが彼女を救うんだ!と燃える所がわかりやすいというか、フェアリーテイルだなあ。でもカラボスと直接対決しなくて、リラの精に守られてばっかりと、ちょっと軟弱な王子様。これも伝統版なんでしょうか?うーむ。

リラの精はグルジア出身のエレナ・グルージズェ。毅然と美しく、カラボスと渡り合うプロローグから、お供従えてバシバシと踊るかっこよい妖精でした。
魔女カラボスのマリア・リボ・パレスはお供の引く車で登場。悪役ですがなんだか憎めないんです。カーテンコールで大ブーイングが飛んでましたが…まあ悪役に対する賛辞ってことでしょうか。いやはや。
因みに、終演後、劇場前をうろうろしていたら、何とエリナさんをはじめ、何人かの出演者にサインを頂くことができました。本当に感謝しても、したりません。舞い上がりました。


ところで、今年は偶然なのか、しめし合わせたかは不明ですがイギリスの三大カンパニー、(ロイヤル、BRB,ENB)が揃って「眠れる森の美女」を上演します。

ENBに加え、BRBのピーター・ライト版が2月から(見たかった・・・)、そしてロイヤルの新版が春に行われるんですが、この連打について、秋ごろに“Curse of the Sleeping Beauty(眠り姫の呪い)”という記事がとある新聞に出ました。特に興味深いのはロイヤルの過去2回の改訂(ダウエル版、マカロワ版)が短命に終わったことを受けての改訂であり、少ない予算(イギリスのバレエ事情は貧乏抜きには語れない・・・)でどこまでロイヤルが名誉挽回できるか?という疑問を示唆していました。ううむ。何とも言えませんが、ロイヤルには頑張ってほしいものです。



最後に強烈な思い出をひとつ
真後ろに座っていた70代とおぼしきヒゲのご老人。バレエファンなのはわかるが、上演中、大声で筋書きの説明しすぎ!なおかつ三幕では音楽にのってしまい、リズムにあわせて持ってる杖をゴンゴン叩く叩く!

・・・・色々な人がいるものです、ハイ。


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