花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

魔女の瞳に魅せられて一切経山(いっさいきょうざん)

2013年09月30日 | 登山

一切経山の絶景に集う登山者

一切経山(1949m)は、吾妻連峰の東側を代表する火山である
その昔、空海が一切経を埋めたという事から「一切経山」と
名付けられたという。尚、山渓の「福島の山」では「いっさいきょうやま」
と書かれているが、同じ山渓の「日本の山1000」の読み方に従った

空海という人、四国の室戸岬の洞窟で修行している時、洞窟の
中から目にするものは、空と海だけであったから「空海」と
名乗ったという。
後に醍醐天皇から「弘法大師」の諡号を贈られた真言宗の
開祖である。

追記、一切経山の名前の由来にはもう一つの説がある
阿倍貞任が仏門に入って、一切経の経本千巻を埋めたという
言い伝えによる

阿倍貞任(あべのさだとう)、平安時代中期の奥州の武将
前九年の役で源頼義と争い破れたが、頼義の子、義家と衣川の戦いで
「衣のたては ほころびにけり」と和歌の下の句を投げかけられ時
振り返ってにっこり笑い「年をへし糸の乱れの苦しさに」と上の句を
返した逸話が有名
無知で卑しい俘囚の武人と思われていた人が、都人にも勝る雅心を
持っていたことに義家が驚いて追うのやめたという話が伝わっている

登山口は、湿原の広がる浄土平にある。
磐越道の磐梯熱海ICで降りて、中沢温泉を抜け磐梯吾妻
スカイラインを目指す。
がこの道は嫌な道で、わかりにくい分岐と交差点がある。
地図的には、右の安達太良山と左の磐梯山の間を走る
コースなので、時折磐梯山が雲の上に見えた。
磐梯吾妻スカイラインに入ると、曲がりくねった上り坂が
続き、磐梯山方向に大雲海が広がっていた。

9時過ぎに浄土平ビジターセンター前の駐車場に着いた
トイレと身支度をして出発の準備する。
一切経山の中腹から亜硫酸ガスが吹き上げている。
湿原の上は抜けるような青空で、彼方の蓬莱山は紅葉が
始まって、赤や黄色の山肌が日に映えている。

山の上なら雲海が見えるかも知れないから、一切経山に
登ろうと言うので、湿原を抜け酸ヶ平への登山道を登る
道脇には、シラタマノキの実が、文字通り白い実を鈴なりに
付けて、どこまでも続いている。
左の蓬莱山の山肌は、光を受けて錦繍に染まっている。

例のごとく私たちは、後から登ってくる登山者にどんどん
追い抜かれてしまうのだった。
途中で振り返ると、吾妻小富士の裏に大雲海が広がっていた

酸ヶ平分岐から右に曲がって避難小屋を抜けると、ザレの
続く急登である。
汗にまみれながらゆっくり登っていった。
尾根にたどり着くと、硫黄の強い臭いが流れてきた。
ここからは一切経山特有の構造土と呼ばれる縞模様
山肌を見ながら登る道だ。
山頂までの道のりに、アリンコの行列のように登山者が
続いている。
そして吾妻小富士の火口が見える所に着くと、大雲海に
包まれた吾妻小富士の姿が見えた。

ぽっかりと口を開けた吾妻小富士の火口、周りに雲海が
迫っていた。それにしても隣の山から火口が見える場所は
滅多にない。やがて火口は雲海に飲み込まれていた。

みんな雲海の写真に夢中である。
雲海の上に山の姿が浮いている
みんなにこにこと挨拶を交わしながら登っていく。
そして山頂で目にしたものは、魔女の瞳と呼ばれる五色沼の
怪しいばかりの湖面の色と、鳥海山や月山などの東北の
名峰の絶景であった。
そして背後の南には、大雲海の広がりである。


魔女の瞳とか吾妻の瞳と呼ばれる五色沼
天候や時間によって刻々と変わっていく湖面の色から
五色沼と呼ばれる火口湖である
対岸の左の山が家形山で、その後方に薄く茶色に見えるのが
米沢盆地で、さらに奥には鳥海山と月山が並んでいる。


湖岸の紅葉と湖面の色が人を魅了してやまない。


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追記メモ
那須の観光協会のブログを見ると、那須の姥ヶ平の紅葉もだいぶ
進んで、10月初旬には見頃になるだろうとのこと。
写真を見る限り、今でも良さそうな気がする。
那須にするか浄土平にするか迷ったが、原発問題を考えると
やはり浄土平に行きたかったのである。

古い紅葉の写真を見ていたら、那須の紅葉の写真があった
撮った自分でも記憶にない写真である。

2004年10月1日撮影の那須の紅葉
前後の写真に茶臼岳山頂の鳥居が有るので、撮影場所は
茶臼岳山頂と思える。
噴煙や尾根の登山道や平原状の山頂から日の出平を撮影
した写真と思われる。
この頃から、笹原の緑が好きだったのだ。
懐かしい写真である。




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