いつかはそんな時が来るかもしれない。
この職に就いた時から、僕はそう覚悟しながら仕事をしてきた。
だから、僕の机の引き出しには常に辞表がしまい込んである。
できれば辞表なんか不要の方が良いに決まってる。
でも、そうせざる得ないことって起きるのだ。
僕にとっては、今回のトラブルがそうだった。
危機管理上、トラブルの未然防止は職場を預かる者の責務。
しかし、いくら未然防止に努めても、想定外のことって起きてしまう。
しかも、いったんトラブルが起きると、「想定外」などといった言い訳は効かない。
トラブルが起きてしまったら、それを適切に処理するのも危機管理なのだ。
ところが問題は、この処理の仕方にある。
対応が一歩でも誤れば、トラブルが拡散してしまうリスクが多いからである。
あの東日本大震災の際、福島第一原発の吉田所長と本店(本社)との間で
原子炉の対応を巡って切迫したやり取りがあった記事を新聞で読んだことがある。
一国を揺るがすほどのトラブルではないものの、
今回のトラブルは本店と現場を預かる僕との間で意見が対立してしまった。
本店の言っていることが正論なのだろう。
だが、現場はマニュアル通りにいかないこともあるのだ。
本店の指示に従うか、従わないか。
そう迫られたとき、僕は机の引き出しから辞表を取り出した。
まるでドラマのような話しだけど、僕にはそれしか方法が見当たらなかったのである。
本店の指示を拒否し、僕は自分の信じたやり方を押し通した。
果たして自分のやり方が正しかったかは、数週間経った今も分からない。
そして、辞表は保留にされたまま、僕は他の職場へ異動となった。
それも、我が社の中では最も規模の大きい現場へとである。
ある人は「栄転ですね」と言い、ある人は「ご愁傷様です」と言う。
いずれにしても、ここが僕の最終墓場になるに違いない。
【追記】
1ヶ月に1回は更新しようと決意しましたが、
2ヶ月ぶりの更新となりました (謝)
早くも・・・今年の決意は挫折です。(悲)