Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

ムスとギフト

2009-09-30 09:07:27 | アフリカ
ボストンで旧友たちと共に一夜を過ごしたあと、ペンシルバニアまで車を走らせ、6ヶ月ぶりにギフトとムスに会ってきた。
http://blog.goo.ne.jp/kuniphoto/e/fe340fc09b236d1e88e7b2caf0ce9069

たった半年とはいえ、ムスの成長ぶりにはまたもや驚かされた。ギフトが結ってくれたという長めのドレッドヘアのせいもあるだろうが、顔つきもすらりとし、背も一段と伸びて、会う度に少女の面影がなくなっていくのがわかる。

もともとは日曜日だけを過ごしてシカゴに戻る予定だったのだが、彼女たちの強いリクエストもあって滞在を一日延ばしてきた。インドにいってしまえば、次にいつ会えるかもわからない。

彼女たちの元気な姿を見てとりあえずは一安心。しかし、内戦の後遺症に悩まされていた半年前とはうってかわり、見違えるようにやる気満々で授業を受けているギフトに対して、ムスのほうはどうにも勉強に対して気が乗りきらないようだ。そんなムスのやる気をいかに引き出すことができるか、ジョディが頭を悩ませている。

ムスは留学生としてアメリカに来ているため、成績が悪すぎて奨学金などが受けられなくなると、この先ビザの更新などに影響が出てくる可能性もある。彼女はもともと非常に頭の切れる子なので、何かいいきっかけさえ見つけることができれば、学力もみるみる向上する事は間違いないんだけれど。。。

ふざけあうムスとギフトの姿を眺めながら、僕の頭にはあらためて感慨深い思いがよぎっていた。

思えば内戦中のリベリアで彼女たちと出会ってからもう6年だ。内戦の終わった翌年、首都モンロビアの町で2人と再会したとき、まさか将来彼女たちがアメリカで生活する事になろうなどとは、一体誰が想像し得ただろう。彼女たち自身にとっても、この数年間はまさに夢のような経験だったに違いない。人生なんて、本当にどう転ぶかわからないものだ。

そして、僕自身も今はこうして20年ちかく住み慣れたアメリカを離れ、インドへ居を移す準備に追われている。

ムスたちとはまた違う大陸に住むことになってしまうので、もうこれまでのような頻度では彼女らに会うことはできないだろう。成長していく彼女たちの姿を、半年とか一年ごとに写真に収めていくのが楽しみだった。しかしこれからは数年に一度ほどしか会えなくなってしまうかも知れない。

まあ、僕がいようがいまいが、彼女たちは成長し人生を謳歌していくわけで、彼女らにとって僕の存在などさして重要なものではないだろう。それでもやはり、これから先も、「アンクル・クニ」と慕ってもらうことができれば嬉しいな、とは思う。





ボストンへ

2009-09-26 13:31:47 | 報道写真考・たわ言
3日半のニューヨーク滞在を終え、いまボストンに向かうバスの中。

グレイハウンドのような米国の長距離バスに乗るのはもう何年ぶりだろう。最近まで知らなかったのだが、値段の安さと便利さで最近人気のボルト・バスというのに乗ってみた。車内には電源プラグやワイヤレス・ネットワークも装備されている。ボストン在住の頃はニューヨーク行きにはアムトラック(鉄道)を利用していたのだが、その運賃も今では100ドルほどになってしまった。対するボルトバスは19ドル。新聞社を辞めてフリーになったこの身、こんなところでもしっかり節約せねばならないのだ。だけどなにかワイヤレスの調子が悪いようで、ネットへの接続がとぎれとぎれ。まあこういういい加減なところはアメリカらしいんだけれど。。。

ニューヨーク滞在中はぎっちりアポをいれて、3日間で12の雑誌編集者とフォトエージェンシーと会ってきた。時間があればもっと多くをまわりたかったところだが、タイムやニューズウィークをはじめとした大手はカバーできたのでまあよしとしよう。

手応えはまずまずといったところか。。。10分で簡単に話しを切り上げられたところから1時間以上じっくりつき合ってくれた人までそれぞれだったが、編集者たちと話す事は僕としてはいい勉強になったし、何より僕の顔と作品を知ってもらった事でインドに移ってからのやりとりが楽になる。これからあとは自分の作品と売り込み方次第。写真の良し悪しに関わらず定期的に給料が振り込まれてきた新聞社のスタッフ時代と違って、手を抜けばそれがもろに自分に跳ね返ってくる厳しいフリーの世界だ。これまでとは違った心構えでやっていかないと餓えるなあ。。。

シカゴに移ってから5年以上、一度もボストンに戻る機会がなかったが、今夜久々に元の同僚や旧友たちと会えるのが楽しみだ。





ニューヨークでの顔つなぎ

2009-09-23 02:24:10 | 報道写真考・たわ言
日本で2週間ほど怒濤のような日々を過ごし、昨夜シカゴへ戻ってきたのもつかの間、朝7時の便でニューヨークへやってきた。

東京での1週間を営業、というかネットワーキングのために費やしてきたが、この先数日はニューヨークだ。これからフリーでやっていくために必要な、編集者たちへの「顔見せ」である。タイム・マガジンをはじめとしたニュース雑誌からフォト・エージェンシーに至るまで、なるべく多くの編集者たちと顔つなぎをしておかなければならない。インドに行ってからの仕事にすぐに直結するかはともかく、これからフリーランスとして生き延びていくために必要なプロセスだ。

今朝も時差ぼけで午前3時過ぎに目が覚めてしまい、なんだか頭もすっきりしない状態だけれど、そんなことは言ってられない。

これからまず最初のアポ先であるビジネス・ウィークの編集者に会いにいってくる。