7月9日朝6時。
沖縄県竹富町波照間。
ラジオ体操風に言えば、「希望の朝」ですが、
この日の自分には、そんな希望は、ありませんでした。
くまぞー「携帯カメラよ、なんとか復活してくれ…」
昨晩は夕食の後、結婚披露宴が行われていました。
民宿の常連客さん同士で付き合い始め、結婚したというカップルが
民宿のオーナーさんにご報告を兼ねて泊まりに来ていました。
実は前回も、この民宿で披露宴に出くわしています。
こういう旅行中に出会って、そのまま縁が結ばれるって、
離島の旅だからこそ、のような気がします。
同じく新婚で来ていたカップルも急遽、式に加わり、
さらに別のカップルも、男の子がみんなの前でプロポーズし、
女の子が感動で涙が止まらなくなり、祝福ムードは最高潮に。
宿泊客が三線で唄い、楽しい宴が延々と続きます。
が、しかし!
夜10時前に、雨が降り出したのでした。
それはそれは、嵐のような雨です。
雨よけのブルーシートが長椅子とテーブルを取り囲むように屋根から降ろされます。
観光客A「すごい雨になりましたね。別館に帰れるかな…」
くまぞー「こんなシート用意してまでするゆんたくって、意気込みがすごいですね。」
常連客A「この長椅子、シート被せて、みんなが座ってもその後を歩けるようになってるんだよ。」
たしかに!
シートで囲うと、歩くところがなくなってしまい、席を移動するのに一苦労。
だから座板の幅を広く取って、歩けるように、ここの民宿の常連客さんが作ったのだとか。
雨はどんどん強くなり、足元には水たまりができ始めています。
泡盛で酔っ払っているせいか、まるで、プールのように、楽しいです。
音「ポトン。」
くまぞー「??」
何かが落ちたようです。
くまぞー「携帯!!」
あわてて拾い上げた時には、まだ大丈夫でした。
が、しかし!
…十数分後。
くまぞー「やばい!!」
液晶の画面が、見たことのない中途半端な暗さをしています。
そしてやがて、真っ暗に。
あわてて部屋に帰って、充電します。
携帯「……。」
全く反応しません。まずい。
これから会う予定の友人の連絡はどうするんだ!
困った!どうしたらいいんだ??
電池パックも、SIMカードも濡れているじゃないか!。
あーなんてことを!
どうして、落とした時にすぐ気付かなかった!
それよりも、雨が降ってきた時、
水が溜まりはじめた時にどうして注意しなかった!
時間よ、戻ってくれ!
くまぞー「寝て忘れよう…」
部屋の明かりを消しました。
外では、まだゆんたくが続いています。
こんな状況で、あの楽しい輪に加われるはずもありません。
電池パックもSIMカードも外し、カードスロットや充電コネクターの開口部のカバーも開けて
どうか乾いてくれ、どうか奇跡が起きてくれと、
祈るように携帯電話を扇風機に当てていました。
…しばらくすると、ゆんたくが終わって、同じ部屋の宿泊客が帰ってきました。
くまぞー「携帯電話水没させちゃって、動かなくなっちゃったんですよ。ふて寝してました。」
常連客B「あらら、それはそれは」
くまぞー「あのー石垣島でソフトバンクショップって見たことありますが?」
常連客B「見かけたことあるよ、ちょっと調べてみるよ……あったあった、730交差点から登ったところだよ」
くまぞー「ありがとうございます!…はぅ、明日は、1便で石垣島戻ろうかな。おやすみなさい。」
その後も、ずっと携帯電話を乾かしていました。
しだいに、充電ランプが点灯し、また消え、少しずつ、反応しはじめてきました。
でも、その復活を見届けるほどの気力はもう残っていませんでした。
……
いつの間にか寝てしまっていました。
そして、朝。
奇跡的に、携帯電話の電源が入り、電話もネットもつながる!
でも、でも、カメラが、どうしても動かない…。
いや、カメラが動かないのではなく、
カメラレンズの内側に水滴がびっちりついて、
映らなくなっていました。
ブログやmixiの更新も、画像がこれでは…。
この日の朝の食事は、携帯電話のカメラのことがずっと気になっていました。
宿泊客A「そのうち乾けば、なんとかなるよ」
宿泊客B「ゆっくり乾かさないとだめだよ、冷蔵庫入れたりね。」
くまぞー「冷蔵庫かー」
帰りの高速船のことでも迷っていました。
このまま波照間にいても、楽しめないだろう。
ならば、一層、石垣で携帯電話を買い替えようか。
たましろさん「1便で帰る方は手を上げてください~」
迷いながらも、手を挙げていました。
だとすれば、借りていたバイクを早く返さなくては!
実は朝食の時間が遅れて、1便の時間も、迫っていました。
携帯のカメラが気になって、結局、バイクを返すタイミングを外してしまいました。
常連客C「俺が後で返しておくよ」
くまぞー「ありがとうございます!」
送迎のワゴンに乗っても、
桟橋で宿泊客のみなさんのさよならの挨拶も、
船が出発しても、ずっと携帯のカメラの水滴が気になっていました。
海の青さも、空の青さも、僕の眼には映っていなかったかもしれません。
僕は、どうか、カメラが復活してくれと、
レンズを指で擦って、外側からレンズ内部を温めてなんども水蒸気を追い出しては、
またすぐにレンズにびっしりと水蒸気が付く様子に
何度も、がっくりしていました。
……
でも、なんだろう。
旅の目的はなんだったのだろうか?
ブログを更新したかったから?
いや、それは違う!
ブログのための旅行ではないじゃないか。
一眼レフのほうは無事なんだ。
携帯電話を買い替えるなんて馬鹿らしい。
ならば、もう携帯のカメラの心配なんてするのはやめよう。
いや、でも気になる。
旅の目的は、ブログのためじゃないけれど、
その瞬間に感じたこと、思ったことをその場で
画像を撮って簡単に言葉できれば、旅はもっと楽しくなるし、
かけがえのない思い出になる。
仮に、そうでなくても、壊れたままの携帯のカメラを持ち続けても、
気になって、旅行をちっとも楽しめないじゃないか。
だとすれば、はやり、携帯電話を買い替えようか。
……
あっ、昨日の夜、薬飲み忘れていた。飲まなくちゃ。
だめだな、自分。
石垣へ向かう高速船に乗りながら、
僕はそんな思いを巡らせ、自問自答していました。
沖縄県竹富町波照間。
ラジオ体操風に言えば、「希望の朝」ですが、
この日の自分には、そんな希望は、ありませんでした。
くまぞー「携帯カメラよ、なんとか復活してくれ…」
昨晩は夕食の後、結婚披露宴が行われていました。
民宿の常連客さん同士で付き合い始め、結婚したというカップルが
民宿のオーナーさんにご報告を兼ねて泊まりに来ていました。
実は前回も、この民宿で披露宴に出くわしています。
こういう旅行中に出会って、そのまま縁が結ばれるって、
離島の旅だからこそ、のような気がします。
同じく新婚で来ていたカップルも急遽、式に加わり、
さらに別のカップルも、男の子がみんなの前でプロポーズし、
女の子が感動で涙が止まらなくなり、祝福ムードは最高潮に。
宿泊客が三線で唄い、楽しい宴が延々と続きます。
が、しかし!
夜10時前に、雨が降り出したのでした。
それはそれは、嵐のような雨です。
雨よけのブルーシートが長椅子とテーブルを取り囲むように屋根から降ろされます。
観光客A「すごい雨になりましたね。別館に帰れるかな…」
くまぞー「こんなシート用意してまでするゆんたくって、意気込みがすごいですね。」
常連客A「この長椅子、シート被せて、みんなが座ってもその後を歩けるようになってるんだよ。」
たしかに!
シートで囲うと、歩くところがなくなってしまい、席を移動するのに一苦労。
だから座板の幅を広く取って、歩けるように、ここの民宿の常連客さんが作ったのだとか。
雨はどんどん強くなり、足元には水たまりができ始めています。
泡盛で酔っ払っているせいか、まるで、プールのように、楽しいです。
音「ポトン。」
くまぞー「??」
何かが落ちたようです。
くまぞー「携帯!!」
あわてて拾い上げた時には、まだ大丈夫でした。
が、しかし!
…十数分後。
くまぞー「やばい!!」
液晶の画面が、見たことのない中途半端な暗さをしています。
そしてやがて、真っ暗に。
あわてて部屋に帰って、充電します。
携帯「……。」
全く反応しません。まずい。
これから会う予定の友人の連絡はどうするんだ!
困った!どうしたらいいんだ??
電池パックも、SIMカードも濡れているじゃないか!。
あーなんてことを!
どうして、落とした時にすぐ気付かなかった!
それよりも、雨が降ってきた時、
水が溜まりはじめた時にどうして注意しなかった!
時間よ、戻ってくれ!
くまぞー「寝て忘れよう…」
部屋の明かりを消しました。
外では、まだゆんたくが続いています。
こんな状況で、あの楽しい輪に加われるはずもありません。
電池パックもSIMカードも外し、カードスロットや充電コネクターの開口部のカバーも開けて
どうか乾いてくれ、どうか奇跡が起きてくれと、
祈るように携帯電話を扇風機に当てていました。
…しばらくすると、ゆんたくが終わって、同じ部屋の宿泊客が帰ってきました。
くまぞー「携帯電話水没させちゃって、動かなくなっちゃったんですよ。ふて寝してました。」
常連客B「あらら、それはそれは」
くまぞー「あのー石垣島でソフトバンクショップって見たことありますが?」
常連客B「見かけたことあるよ、ちょっと調べてみるよ……あったあった、730交差点から登ったところだよ」
くまぞー「ありがとうございます!…はぅ、明日は、1便で石垣島戻ろうかな。おやすみなさい。」
その後も、ずっと携帯電話を乾かしていました。
しだいに、充電ランプが点灯し、また消え、少しずつ、反応しはじめてきました。
でも、その復活を見届けるほどの気力はもう残っていませんでした。
……
いつの間にか寝てしまっていました。
そして、朝。
奇跡的に、携帯電話の電源が入り、電話もネットもつながる!
でも、でも、カメラが、どうしても動かない…。
いや、カメラが動かないのではなく、
カメラレンズの内側に水滴がびっちりついて、
映らなくなっていました。
ブログやmixiの更新も、画像がこれでは…。
この日の朝の食事は、携帯電話のカメラのことがずっと気になっていました。
宿泊客A「そのうち乾けば、なんとかなるよ」
宿泊客B「ゆっくり乾かさないとだめだよ、冷蔵庫入れたりね。」
くまぞー「冷蔵庫かー」
帰りの高速船のことでも迷っていました。
このまま波照間にいても、楽しめないだろう。
ならば、一層、石垣で携帯電話を買い替えようか。
たましろさん「1便で帰る方は手を上げてください~」
迷いながらも、手を挙げていました。
だとすれば、借りていたバイクを早く返さなくては!
実は朝食の時間が遅れて、1便の時間も、迫っていました。
携帯のカメラが気になって、結局、バイクを返すタイミングを外してしまいました。
常連客C「俺が後で返しておくよ」
くまぞー「ありがとうございます!」
送迎のワゴンに乗っても、
桟橋で宿泊客のみなさんのさよならの挨拶も、
船が出発しても、ずっと携帯のカメラの水滴が気になっていました。
海の青さも、空の青さも、僕の眼には映っていなかったかもしれません。
僕は、どうか、カメラが復活してくれと、
レンズを指で擦って、外側からレンズ内部を温めてなんども水蒸気を追い出しては、
またすぐにレンズにびっしりと水蒸気が付く様子に
何度も、がっくりしていました。
……
でも、なんだろう。
旅の目的はなんだったのだろうか?
ブログを更新したかったから?
いや、それは違う!
ブログのための旅行ではないじゃないか。
一眼レフのほうは無事なんだ。
携帯電話を買い替えるなんて馬鹿らしい。
ならば、もう携帯のカメラの心配なんてするのはやめよう。
いや、でも気になる。
旅の目的は、ブログのためじゃないけれど、
その瞬間に感じたこと、思ったことをその場で
画像を撮って簡単に言葉できれば、旅はもっと楽しくなるし、
かけがえのない思い出になる。
仮に、そうでなくても、壊れたままの携帯のカメラを持ち続けても、
気になって、旅行をちっとも楽しめないじゃないか。
だとすれば、はやり、携帯電話を買い替えようか。
……
あっ、昨日の夜、薬飲み忘れていた。飲まなくちゃ。
だめだな、自分。
石垣へ向かう高速船に乗りながら、
僕はそんな思いを巡らせ、自問自答していました。