システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に

2009.11.27.京都大学図書館機構講演会「次世代OPACを考える:目録情報の視点から」

2009-11-28 22:35:56 | 次世代OPAC
2009.11.27.京都大学図書館機構講演会「次世代OPACを考える:目録情報の視点から」

<他の記事> (2009.12.4.追記)
・egamiday3 さんのまとめは整理されていてGood。
今後のアイデアもいいですね。
若手に発言させようという仕掛けも、少し考えたいね。
けど、若手の皆さんも積極的に発言、分からないところは質問する、という態度もぜひ。
http://egamiday3.seesaa.net/article/134571173.html

・空手家図書館員の奮戦記も、
コンパクトにまとめていただいています。
http://karatekalibrarian.blogspot.com/2009/11/blog-post_30.html

■開会挨拶
・図書館機構長から

■次世代OPACとこれからの目録情報/渡邊隆弘(帝塚山学院大学) :基調講演
○この3年間にあったこと
●1.次世代OPACとは?
○ARL加盟観での導入状況調査
○「次世代」という言葉の背景
 反省の上に立った試みの総称
○主な機能

●2.次世代OPACを生かす目録情報
・目録情報+検索システム・インターフェース
 日本では後者がメイントピックであったが、前者も考えるべきではないか。
○既存の書誌情報を生かす部分:
 ファセット型ブラウジング と FRBR化
○ファセット型ブラウジング
 従来は"典拠コントロール"されたものの利用
 ファセット型ブラウジング: 結果の「集合」に対しての操作
○「ファセット」の種類
○件名標目
 北米の?書誌レコード。MARC21(項目650)に所定の形式で入力されている。
  $aIndustries $zUnited States ...
 NC-CATの件名データ: そもそもの付与率の低さ
  SHD=Industries--United States ...
"SHK"で件名の種類を示すのみ→ ファセットに分解できない

○FRBR
・2つの方向性
 新たな書誌データ構造を前提とした設計
 既存の書誌データから自動処理(WorldCat等、多くは後者)

○FRBR化の実効性と目録情報

○次世代OPACを生かす目録情報
・目録情報にも目を向ける必要性
・集中機能と典拠コントロールの重要性
・目録情報の機械可読性
・日本の目録情報の特異性と脆弱性

●3.新しい目録規則の姿
・FRBRの説明

○RDA(Resource Discription and Access)
 AACR2の全面改訂
 FRBRに密着した構成

 #う~ん、実例を実際にやってみないと、よく分からないかもしれない。

○まとめ

●4.おわりに
○これからの目録に求められるもの
 「付加価値」
 「開放性」(他のシステムとの「連携」)
======================================

■清田陽司先生、知識体系の新たな融合:情報探索と件名標目表の活用をめぐって

#以前、お聞きした話もあるので、大幅に省略しています。ご了承を。

○NDLの「リサーチ・ナビ」
「テーマグラフ」の表示にWikipediaを利用。

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■田辺浩介さん、次世代OPAC実装への取り組み:Project Next-L Enju を素材として
○人的・NW的に孤立した場所が、Enju開発背景の一つだった
・そんな中、英語圏の図書館関係(特にIT関係)のWebやMLを読んでいた。
 話題が前向き。
 世界では多くの関係者が議論、公開
 →自分で作ろう
・背景として
 -英語圏の取り組みを参考にした
 -それらを公開する姿勢を参考にした
○Enju
・二つの性格:
 小規模館の情報化、図書館の世界の明日を考えるため
・Enjuには、「次世代OPAC」的な機能もあり
 #田辺さん:OPACという用語を使わなかったから、注目度の向上に問題があったかも
○なぜFRBRモデルか
 そんなに大きなコンセプトを元に採用したわけではない
・デモ
 Enjuで、"W"はWork、"M"はManifestation 
 手動登録のデモ
 Work(著作) を登録→ 著者を登録→ 体現形(M)→ 所蔵=個別資料(Item)を登録。 #なるほど
○FRBRの実装
・IFLAの報告書より一部簡略化
 Person/CorporateBody → Patron など
 複雑になりすぎるのを避けるため
・感想
 従来の目録法:用紙のマス目を埋めていく 感覚
 FRBR:積み木で組み立てる 感覚
・メリット
 (IT関係者も作成に関わっていることも背景に)
 資料と資料の関連を表す「広がり」を表現できる
 RDB上で表現しやすい
 "Patron"が、著者・編者・出版者・所有者のどれにもなれる
  →一種の著作者DBになれる
・デメリット
 なにがWork(著作)で、何がExpression(表現形)か
 データの量や、入力の手間が増える。
  *)後者は技術向上では改善できない
 ほんまに、4階層のレコードであるべきか
  *)図書館向けではないのでは、という本音も →会場から笑いが少し
・誰が作るか
 自動化・集中化は必須
 「目録センター館」構想との関連は?
○Project Next-L (Enju) で総合目録も考えてみる
 書誌センター(書誌管理サーバ)
 各図書館では、Manifestation/Itemの関連のみ
・図書館ないしユーザごとにID管理 (この辺は、構想より妄想)
 図書館員でなくてもいいんじゃない?
・総合目録の動作デモ
○おわりに
・図書館システムを考えること
 =データのモデルを考えること
 =図書館の目録を考えること
・多くの人で考えるための素材はあるぞ
 フリーウェア、OSS
・未来は大きな組織だけで考えるものではない

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■討論
・司会は古賀先生
○NDLのあんどうさん
・フォークソノミーについて
・タグクラウド とか...

○関学・井上さん
・「メタデータの相互運用性」って? →渡邊先生
 博物館、文書館との関係
・MLやブログでプッシュしてほしい →田辺さん
 日本の関係者にログ、アーカイブはせめて公開してほしいと。
 #nxopacのログは...

○私
(1)NC-CATの運用が細かい書誌レコード調整に追われたり、従来のOPACが目録情報学的なOPACだったという

ことを苦々しく思う立場から。
今回の話はデータモデル中心だったが、そればかりだと、またそんな状況になりはしないか。
インターフェースのこともバランスの上で考えるべきだと思いますが。

(2)CAT-Pのデータモデルは今後どうしたらよいか、漠然とでもご意見を。

・渡邊先生:
(1)インターフェースはモデルがあれば、なんとでもなる。
 公共図書館のOPACの評価もしているが、考えていかないといけない。
(2)MARC21も時代遅れ、RDA?

・田辺さん:
(1)業務画面、利用者画面の工夫の余地はある。
 FRBRは表現力はある。
(2)CAT-Pは、XMLにしてもらえると、データを取りやすくなる。

・清田先生:
(1)インターフェースは研究として取り組んでいる。
 複数の人が関わるのは難しいので、

○まとめ
・田辺さん
 Enjuはボトムアップ。
 けど、NII、NDLの動きは注目している。
 それらにも応えていきたい。
・清田先生
 Wikipediaの成果を活用する、価値を高めることを期待。
・渡邊先生
 図書館目録の価値は、典拠コントロールと言いましたが、書誌記述以外のことも。あるべき方向性も皆さんと共に考えていきたい。

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■個人的感想(簡単に)
データフォーマットが大切な論点というのは理解。
一方、それを変えるのに時間もかかるので、現状で何ができるか
考えるのも、現実的には重要か。

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■まとめ
・今回の講演会は、テーマ設定と、講師選定がよかったと思う。
 準備された関係者の皆さま、ありがとうございました。
 #また借金が増えた。

※写真:カナダ/ケベック州、ローレンシャンの紅葉
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