日本日本語助辞「は」が表す文法機能は格の機能レベルの論理関係を含め統語機能を超えた用法がある。表現のレベルでとらえても、文法機能を覆うため、峻別して議論することは困難かつ不明瞭になった。その表現のレベルの説明は意味の解明にとどまってきている。「は」の用法は文法機能の本質を捉えなおして説明を試みるとわかりよいと考え、その機能の成立を見直そうとする。
日本語は古典語において草仮名で表記されていたことは周知のことである。時代が下って、その仮名書きに変体仮名と呼ぶ文字種を多く生み出している。上代仮名で使われた字種に着目して、助辞「は」に使われた字母の中に「者」字を用いる仮名の用法が見える。「は」が「波」字の崩し字であることは明白なことと思われるが、「者」を崩して用いていた事実は字音から見れば興味深い。
変体仮名について、文字種によって書写する、書き手による表記意識を探る試みから、文法的使い分けに踏み込むものはない。書き分け意識を持たなければならないほど、文字種によっての表記意識が働かなかったためである。「波」字と「者」字に発音を「は」とする、現代語音韻で同じ/wa/とする限り、数種の字母についても意味機能を与える書き分けはなかったとするのが一般である。
しかし、「は」の文字種に「者」を含むのは、字音によるのではなくて字訓によるという事実を認め、それを漢文訓読による「者」字の文法機能を意識していたために、音表記に用いられていたと推測を立てることは可能なようである。したがって、日本語の助辞「は」を表記するために漢文を訓読する際の「者」字の用法が影響して訓となった、と仮説を立てることができる。
日本語助辞「は」の表記に中国古代語の文章を訓読する表記が用いられたとする事実は、日本語に「は」が用いられる場合の文法機能と、中国古代語を翻訳する際の「者」字の用法が一致したのである。助辞「は」の本質として日本語をここに説明しようとするのは、文法の格機能の代表的な助辞「が」を意識し定着するとされる以前からあった日本語のひとつの用法だったからである。
漢文訓読「者」 ←―――――→ 和文用法「は」
古代中国語法のひとつ ⇔ 古代日本語の用法のひとつ
= =
訓読文法の影響 翻訳日本語の用法
↓
助辞「は」の本質
1 接尾語/体言化 ①話題
2 名詞、名詞句を導く ②取立て/措定
3 仮定 ③条件
*
ですが、「取立て/措定」と考えなければ矛盾が起きる、ということに気がついて「は:弱いとりたて」「が:強いとりたて」ということでなはいのかと思いました。
「主格を表す格助詞」というものが「ある」というのを前提として探したところ、「は」「が」があった、という印象を受けていますが、じつは日本語には「主格を表す格助詞」というものは存在せず、とりあえず「は」で埋めておいたという話ではないかと思います。
「象は鼻が長い」のですが、「長い」は連体形(「活用形が同じではあるけれど、終止形である」という意見には反対します)であり、「象は鼻が長い」は「象は鼻が長い(X)(である)」の省略形だと解釈しないと、システムがちゃんと動いてくれないんですよ。「象は鼻が長いんです」「象は鼻が長い動物です」と、統一的に扱えません。
そういえば、「象」には「鼻が長い」という特性以外に、「大きい」という特性があります。「ゾウミジンコ」が比較的に小型のミジンコだと知ってびっくりしました。