『やがて目覚めない朝が来る』 大島真寿美
¥1,400+税 ポプラ社 2007/11/5発行
ISBN978-4-591-10001-1
タイトルがいい。
もちろん、内容もいい。
内容というか、文章がいい。
祖母、蕗さんについて語る有加の一人称。
女優だった蕗さん。その息子と、蕗さんの友人だった充子の娘の間に生まれたのが有加。
有加の母は、離婚したあと、有加を連れて蕗さんの家で家政婦として住ませてもらうことにした。母と蕗さんは嫁姑の仲であり血縁はないのだけど、蕗さんもそれを当然のように受け入れた。
それから有加は、蕗さんの周囲の人々に囲まれて育つ。
女優だったころの蕗さんのマネジャーだった富樫さん、衣装デザイナーのミラさん、ファンだという建設会社の会長さん、芸能記者だった田幡さん。
蕗さんの中心とした世界。
完璧な。
だけど、いつか、どんな完璧な毎日でも、やがて目覚めない朝が来るのだ。
静かで優しい、美しい物語でした。