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子ども医療費無料化の「国のペナルティー」完全撤廃要望 〈2017年9月10日〉

2017年09月11日 08時30分00秒 | 記事

医療費無料化でペナルティー(写真は御坊市国保年金課)


 全国的に子ども医療費の助成(無料化)が進み、日高地方でもすべての市町が高校卒業あるいは中学卒業まで無料化を拡充している。子育て支援など少子化対策の柱の一つになっているが、地方単独事業で子ども医療費に助成している市町村に対して厚労省が国民健康保険国庫負担金減額調整を行っている。いわゆる「国のペナルティー」で御坊市は年間約410万円、町で数十万円から数百万円が減額され、その分はそれぞれの市町が補填している。「少子化対策に逆行する」と以前から市長会、町村会等を通じて完全撤廃を求めている。

 国による子ども医療費の無料化制度はなく、地方自治体が独自に実施。医療費を無料にするなど助成すれば医療費高騰につながること、助成実施の有無や助成内容、対象年齢は自治体によって異なることから公費財源を公平に配分する観点から、地方で単独に助成している自治体の大多数に当たる現物支給(医療機関窓口での支払いを無料にする)方式を採用している自治体に対し、国保の国庫負担金を減額調整している。
 管内では御坊市が年間約410万円、日高町が約250万円、美浜町が約55万円など数十万円から数百万円単位のペナルティーを受けており、減額された分は市町がそれぞれ一般会計から繰り入れるなど負担している。このうち、御坊市は小学校卒業までだった対象を昨年12月から18歳(高校卒業程度)まで拡充しており、減額分は約100万円増えるとの試算。町でも地方創生交付金を高校卒業までの無料化拡充の財源として活用するなど財源確保に苦労しているだけにペナルティーによる負担増は大きい。
 地方の大きな課題である「少子化対策の流れに逆行する」と、以前から全国知事会、市長会、町村会などを通じて減額調整の廃止、国による無料化制度の創設を求めている。これに対して国は「すべての市町村が未就学児までは何らかの助成措置を行っている実態を踏まえ、自治体の少子化対策の取り組みを支援する」と、平成30年度から未就学児までの医療費助成については減額調整を廃止する方針を全国自治体に通知した。これにより減額分は多少減るが、管内ではすべての市町が小学生以上が助成対象のため、ペナルティーは今後も継続する。
 市財政課によると、以前は交付金削減など目に見えたペナルティーは多々あったが、いまは国保の減額調整が際だって目立っているという。市国保年金課は「ようやく未就学児までのペナルティーは廃止されたが、まだ小学生以上の完全撤廃の流れには向いていない。今後も年齢による制限を設けず、減額調整を完全撤廃するよう引き続き国に要望していく」としている。


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