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印南町出身の音楽家・丸田大雅氏の貴重な写真見つかる 〈2017年6月10日〉

2017年06月10日 08時30分00秒 | 記事

見つかった丸田氏の貴重な写真
(ピアノの前に足を組んで座るのが丸田氏)


 印南音頭や印南盆唄など郷土の歌を作詞・作曲、バイオリンの名手として楽団で活躍するなど天才音楽家として知られる印南町出身の丸田大雅氏(1897~1978年)が昭和5年に東京のレコード会社で自身が作詞・作曲した歌を吹き込む時に撮影した写真が見つかった。丸田氏の写真はこれまでなく、今回初めて見つかったもので、印南音頭の伝承など印南の文化・歴史を学び広く知ってもらおうと取り組んでいる町ふるさと歴史文化研究会長の坂下緋美さんは「丸田氏の若き日の音楽活動の様子を知る印南町にとっても大変貴重なもの」と喜んでいる。

 丸田氏は明治30年、同町印南生まれ。幼名は伊之助、僧籍に入るため9歳の時に義純と改め、大雅は文学、音楽上の筆名。旧制田辺中を卒業後、東京へ遊学。音楽に天才的な才能を有し、無声映画全盛時代には浅草の映画館の楽士として活動する傍ら、作詞・作曲にも取り組み、昭和8年に作った「印南音頭」をはじめ「印南盆唄」(昭和45年)「印南哀史小唄」(同)など愛郷あふれる歌も多く残っている。昭和20年3月10日の東京空襲で腕を負傷し楽器が弾けなくなったことで作詞・作曲活動に専念、多くの歌を世に送り出した。
 今回、町ふるさと歴史文化研究会が郷土の歴史・文化、偉人を広く町民にも知ってもらおうと17日から開講する「寺子屋・土曜ふるさと塾」の第1回で丸田氏を取り上げることになり、坂下さんが資料集めの一環で御坊市在住の丸田氏のおいにあたる丸田好男さんに写真など丸田氏に関する資料が残っていないか探してもらいたいと依頼し写真が見つかった。
 写真はレコードの製造販売を行う日本オデオン(株)のピアノを置いたレコーディング室で昭和5年10月27日に自身が作詞・作曲したお伽歌劇「太郎の初夢」「人魚の嘆き」「おむすびころりん」の3曲を吹き込んだ時のもので、歌を歌った少女歌劇団や曲を演奏した楽団のメンバーらと一緒に撮影したもの。この他、バイオリンを演奏しているもの、僧籍に入ったことを裏付ける写真や丸田好男さんの父で丸田氏の兄にあたる丸田安太郎さんに宛てて出したハガキも見つかった。ハガキの裏に歌劇団所属の美しい女性2人と撮影した写真が添えられるなど当時華やかに活躍している様子がうかがえる。
 17日に開講するふるさと塾の前に丸田氏に関する貴重な写真が見つり、坂下会長は「印南の宝でもある丸田氏の写真がなく人となりを紹介しづらかったのでとてもうれしい。伝えていくには写真がないのとあるのでは大違いで分かりやすく伝えられる」と開講を楽しみにしている。


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