AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

証言を残すことの意味

2007年10月16日 | 日本語教育
先週、NHKで「証言記録 兵士たちの戦争」「証言記録 マニラ市街戦」といった番組が放送されました。実は、まだ何本かあったのですが、録画し忘れてしまって。

授業の準備をしながら録画の確認をしています。

当時の日本語教育の場面の映像なども出てきて、貴重なものです。
一方、当時、戦場にいた民間人、兵士、の証言で構成されています。

聞くに堪えない話も出てきます。

アジアと日本はどう向かい合っていけばいいのでしょうか。
あの戦争でどれだけの被害を及ぼしたのか。

あの戦争に意義があった、なかった、自衛のためだった、侵略だった、いろいろな意見があるのは知っています。

でもね、あの時代を実際に生きていた人たちにとっては、今晩殺されるかもしれない、明日食べるものがない、といった事実の方が大切だったんだと思います。そして、その原因が、どんな理由があったとしても、例えば、日本にとって自衛のための戦争で、大東亜共栄圏建設という意義があったという意見であったとしても、日本が朝鮮半島、中国東北部、フィリピン、マレーシア、あんな地域に軍を送らなければ生じなかったことだと思うんですけどね。

証言は、その当時、社会の上層部でどのような意思があったのかに関わらない、具体的に何が行われ、それをどう感じたのかがわかる重要なものです。

以前は日本語教育において使用された教科書が興味の対象でしたが、最近は、その教科書でどう習っていたのか、何が残っているのかというコトに興味が移りつつあります。

そういう意味で、証言をとること、それを残すことの重要さを再認識しました。
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2 コメント

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Unknown (むらかみ)
2007-10-27 08:59:55
父親としての姿勢、研究者としての姿勢、教育者としての姿勢など、いつも敬意を持って拝見しております。

それで、このようなことを書くのは非常に心苦しいのですが、一点だけ、疑問があります。

あの帝国主義の時代に、日本が中国東北部や朝鮮半島に軍を送らなかったら、はたしてその地域は日本以外のどこにも侵略されずに平和なまま暮らせたのでしょうか。

もちろん日本が侵略した事実は否定できませんが、日本が「軍を送らなければ生じなかったことだ」というのは、きちんと検証する余地のあることではないかと思います。


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コメントありがとうございます (管理人)
2007-10-27 13:04:32
むらかみさま、コメントありがとうございます。
おっしゃるように、可能な限り検証しなければならないことだと思います。書いたものを読み返して、あらためてそう感じました。歴史の研究に「IF」を持ち込むことはできませんが、日本とアジアの関わり方が、あの戦争が無ければ、大きく異なっていたのではないかとつい考えてしまうのです。
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