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母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

2019-04-16 18:31:51 | 映画2019
 火葬場、通夜、33年前と、目まぐるしく時を逆回転させて、サトシはいつしか万引き少年(推定5歳)となっていた。コンビニ店員が彼を叱りながらも、「あと15分でお母さんが来るからね」と言った途端に到着していた母明子(倍賞美津子)。この田んぼのあぜ道を走る姿が終盤に生きてくるのだ。また、中学生の時に白血病だとわかり、兄の骨髄を移植するエピソードも重要なファクターだ。

 あとから生きてくる伏線のために作られたかのような前半のエピソード。正直言って、この前半部分は笑えないし、どこにでもあるような家族の死にまつわる話がメインなためにつまらなく感じた。考えてみれば、イチゴやカレーライスの伏線も引っ張れるだけ引っ張ったあざとさまであったのだ。

 そんな自分なりの低評価が徐々に上昇していく後半。なんといっても安田顕の演技力のおかげだ。彼の垂らした鼻水は本物か?CGか?などとも考えてみましたが、ただただその泣きの演技に泣けた。母を亡くすこと、家族を亡くすことで大事なこと。病院で死ぬということは、ある意味幸せなのかもしれない。死ぬ直前までに伝えたい思いを伝えられるのだから。ただ、この作品には死後しばらく経ってから泣かせるエピソードが用意してあり、サトシがお百度参りしたメモ、白血病骨髄移植前の採取など、がつんと泣かされる。

 泣き虫というDNAは受け継がれていくものなのか。父も兄もそれほど登場シーンは多くないのですが、海(湖?)でのシーンではやはり泣き虫DNAはあったのだと確信した。父の時は自分が!と、申し出た兄の気持ち。それがサトシを東京に送り出すことで実現しそうな予感。やっぱり兄弟っていいなと思えるエピソードでした。


★★★★

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